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11 ミーナ一家の滅亡

よろしくお願いします

 ミーナは子供のいない親戚の子爵家の養女に入っていた。一度知った贅沢の味は止められなかったらしく貴族である事をお金で買っていた。

親の方は用意周到に資産を隠し持っていたらしく平民として裕福に暮らしていた。いずれ貴族に嫁がせ返り咲く事を考えているのは明らかだった。




養子の縁組をする時に何故もっときちんと調べないのかとシュトレイン家の諜報が首を捻るほどだったらしいが、ミーナは性格の良い娘を演じることでその座を掴んだらしい。


縁組をした後で礼儀のなさが分かったため、急遽礼儀作法の教師が付けられる事になった。低位貴族の礼儀作法をやっと身に付けた頃、学院で皆の憧れの伯爵令息クロードを見つけた。次男だが頭が良く剣が強く輝くばかりのイケメンだった。


子爵家令嬢の自分なら狙えると思った。祖国では沢山の令息を虜にした実績がある。可愛い顔と妖艶な身体があるのだ。手管は持っていた。

儚げに近づいて身体で落とす。

義理の両親は何処かで事故で亡くなって貰うことになっている。


婿に来てもらえば実の両親を子爵にして領地で暮らして貰うという何とも杜撰な計画を立てていたのだ。



シュトレイン家の諜報はその計画を知りほくそ笑んだ。

お嬢様の旦那様を狙おうなんて潰れたなと悪い顔をして主人に報告をした。



旦那様は大魔術師だ。逆らえば命はない。お嬢様の事は目に入れても痛くないほど可愛がっていらっしゃる。前の婚約者にお嬢様が蔑ろにされたせいで、何もかも嫌になって眠ってしまわれ、宮殿ごと吹き飛ばしそうになるほど怒っておられた。


よく我慢をされたと思う。地位の高い王子だったから潰されなかったが、浮気でもしていたら確実に国ごと吹っ飛ばしていただろう。いやいずれ報復するかもしれない。





まずはシュトレイン家から子爵家に手紙が出され当主に訪ねてきてもらうことを頼んだ。拒まれればそれまでのことだ。

だが子爵は慌ててやって来た。新参だが飛ぶ鳥を落とす勢いのあるシュトレイン家に呼ばれたのだ。来ない理由がなかった。


緊張した面持ちで子爵が応接間に入って来た。

「良くおいでくださいました。大事なお話がありましてお呼びだてをしました」

「今までお会いしたことはなかったと思いますが、お知り合いになれて光栄です。さてどの様なご要件でしょうか」

「貴殿の家のご令嬢ですが良からぬことを考えておられるようで、いらぬ世話かと思いましたが一言ご注意申し上げようかと」

「もう少し慎重に縁を結ぶべきでした。噂は知っていたのですが実際に会ってみると案外と良い娘だと思ってしまったのです。領地の財政が逼迫しておりまして金銭援助と引き換えに養子の話を持ち出されました」

「貴方がたの暗殺を企んでいますよ。お家乗っ取りですね。証拠はここにあります」

「なっ、何と。どうしてそこまで教えてくださるのですか?」

「娘の婚約者を婿として狙っているようでしてね、無視できないのですよ」

「なるほど、分かりました。これを機に縁を切ります。子爵領は国に返しても良いです。私にはもう荷が重いようですので」

「では我が家に売ってくださいませんか。確かに国に返していただけるという保証は無いのではありませんか?」

「奴らに狙われているなら危ないかもしれませんね」

「危険な芽は摘み取っておきましょう。では手続きをしましょうか。セバスチャン書類作成の準備を」

「畏まりました。直ぐに準備致します」




手続きを終えた両当主は握手を交わした。

「私は魔術師でしてね、貴方に守護魔法を掛けておきましょう。何かあっては後味が悪いですから」

「有難うございます。お金と気持ちに余裕ができましたので護衛を雇って身を守ります。妻と二人でしたらゆったりと暮らせます」

「お金は銀行の方に入れておきます。セバスチャン頼んだよ」

「はい、旦那様」




☆☆☆☆☆


親の方は暗殺を企てていたというだけでは潰せないのでギャンブルに依存してもらう事にした。諜報員が気の良い貴族に化けてバーで飲んでいる父親をカジノに誘って大勝ちをさせる。気持ちよくなった後で深みにはまるという作戦だ。


これは相手の理性が試される。手を出すのは大勝ちの所までだ。贅沢を知ったあとにお金の無くなっていく心細さから、殺人に手を染めようとしたのだからギャンブルで取り返そうとするのではと読んだ。


後は自滅するのを待つだけだ。

存外自滅は早かった。一年だった。娘が返されて来たので借金の穴埋めに娼館に売り飛ばし、妻も売った。金を無くした男は何処へか姿を消した。以来姿を見た者はいない。


ゴミが片付いたとシュトレイン夫妻はにやりとした。

子爵は名前を出すほどではありませんので名付けませんでした。

シュトレイン家の腹黒さ全開でした。カリナちゃんは知りません。

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