4人目 エピローグ 同族嫌悪は程々に
カグツチ討伐後、とある人物の部屋へとアベルは訪れていた。
〚ルルワ!カグツチの遺体ゲットしたからよ、何かアイテム創ってくれよ!〛
「…わざわざ牢獄から出て、神様を屠って来るとは…超越者側は邪神討伐の目処はついたんですか?」
〚ああ!ヤクイの方は順調に育ってきてるな。ってか、今はアベルだからさ…ハルルの方の強化を進めたいんだけど?だから、コレでアイテム創ってくれ〛
「最初はあんなに敵対的な雰囲気だったのに、彼が希望の子だと教えてから、随分と肩入れするようになりましたね」
〚あの時は…絶滅しそうな種族があったからさ、適当にやってたんだよ。あと、あん時はイライラしてて…ハイになってた〛
「…まぁ、アダムから希望の子を邪神復活までに育てなさい、って言われてますし、創りますよ。なので、カインをここに連れてきてください」
〚えぇ~…めんどっ!〛
「じゃあいいです。お帰りください」
〚ごめんごめん!怒んなって…連れて来るから、はぁ〜…カインのあの力があればここまで一瞬なのにな。んじゃっ、牢獄まで半日かかるから、その間に設計しといてな〛
「はいはい、期待しておいてくださいね。ギルトくん」
〚おうっ!ちゃんと寮の中でステイしてるんだぞ?ヴィル姉〛
アベルは天を仰いで大きく声を張り出した。
〚ノアー!読んでるんだろー?俺を運んでくれー……………〛
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〚……よし!ナイスノア!〛
何もない世界にポツンと作業台が置かれている。
アベルはその傍らにて作業を進める、シアン色の髪の男へと声を掛けた。
〚何創ってんだ?また変装用のマスクか?〛
カインは声に反応して作業の手を止め、首だけを動かしてこちらへ視線を向けた。その顔はどこか、ニヤケが出ている。恐らく、いい発明品でも出来そうなのだろう。
「アベル…ワタクシに何か用ですか?今は忙しいので、手短にお願いしますね」
〚ルルワに強化アイテムを創ってもらう為に、カインの手伝いが必要だ。ってな訳で行ってこい〛
「では、キリがいいところまで終わり次第すぐに向かいますね」
〚はいは~い〛
さてと…しばらくは暇になった訳だ…。
……適当に遊んでくるか。
〚ノア〛
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〚…にしても…本当に邪神に勝てるくらい、強くなれるのかね。ハルルはともかく、ヤクイは弱いんだよな〜〛
ギルトは今、セラフィムの街を闊歩しながら、ブツブツと言葉を漏らしている。
〚超越者に、ファミリーに、種族王に…掛け持ちしすぎだな俺。でも、あと数年経過したら、俺はファミリー辞めるしな。なら、別にいいか〛
「おー、ギルト様じゃん!久しぶりー!」
〚あ?……おう、ちゃんと使徒の仕事はしてたか?〛
「してたよ!でも、一つ問題があって…」
〚どした?話してみ?解決出来たらするよ〛
「前に貰ったこの…ギャル?っていうファッション?街の人からめっちゃ注目受けるんだけど。もっと露出少なめのやつ無い?特に足に視線が集まるんだよね」
〚ギャル良いだろ…ん~~…なら、今から3つ候補あげるから、そん中から選べ〛
「ほーい」
〚一つ目がセーラー服、二つ目がジャージ、三つ目が…俺とオソロ。さぁ、二つ目選べ。萌え袖しろ〛
「オソロで!」
〚ッケ!〛
ギルトは指をパチンと鳴らしてみせた。
「おお!これこれ、格好いいから来てみたかったんだよね!」
〚…まぁ、引き続き街の管理よろ。別ん所行くわ〛
「はーい、ギルト様またねー!」
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今度は自らの足で牢獄へと戻ってきたアベルは、何も無い世界をただひたすらに駆けている。
やがて、目的を達成したのかその足を止めた。
〚相変わらず牢獄の端っこで生活してんな。こんな所に居て何が楽しいんだよ?〛
〈アベル…我に何か用でもあるのか?〉
〚セトっていつも此処に居るけど、何して過ごしてんの?ってか、この先に空間なんてあるのかよ?〛
眼前に広がる暗闇を視てアベルはそう言った。
〈いいや、何も無い。ただ…亡き妻と暮らしていた家が、この先にあったのでな。その近くで暮らしたいと思うのは、当然ではないか?それと、普段はこの世界を維持しつつ、どれだけ外へと出られるかを計測している〉
〚……この世界って、そんなに大事かね?もう何も無いんだから、捨ててもいいだろ?そもそも、形あるものはいつか壊れるんだから、この機会にファミリー全員で引っ越そうぜ?〛
〈…我がこの身体を捧げてまで維持した世界を、自らの手で離さないといけないのか?〉
〚だってそれ、過去の話だろ?別に良くね?つーかさ、セトってハルルに対して何かやった?邪神復活までに育てないといけないって言われてたじゃん〛
〈……我は………ハルルが此方に来てくれれば、直接、体術や剣術等の指導が出来るだろう。…我は、妻と出会い過ごした、この世界を手放せない。現に、数百年間はこの生活をしているだろう?〉
〚…そうかよ。第三者から無理矢理にでも連れ出してほしいって、自分でこの世界から離れる勇気が無いって、そう受け取るわ。んじゃあな、また様子視に来るわ〛
〈ああ…いつでも来てくれ〉
〚またな、昔の英雄〛
〈…………〉
はぁ~…昔のが、楽しかったな。
戦争や魔物…日常茶飯事として行われていた犯罪…今じゃどれも稀にしか視られない。
って、これじゃ俺もセトと同じになるか…?
まぁ…どうでもいいか。
やることないし、寝るか。
たまには種族王の部屋で寝るのも悪かねぇかもな。
〚…ノア〛
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〚センキュ〛
この部屋も久しぶりだな。
旧世界樹の根の中にあるこの部屋に訪れるのは、大体…十年ぶりか?
〚たまには布団も悪くねぇな〛
…さて、しばらく寝るか。
冬までは旧世界樹の根の中だ。
流石に寿命が近いからな…英気を養わせてもらおう。
〚…あ~…ココノが北枕がどうとかって言ってた気がするな。どっちが北だっけな〛
まぁ…十六分の一だし、別にいいか。
寝よう。




