だから私は。
だから私はここまで生きてこられた。
あなたの事を好きだったから。
でもその想いも今日でお終い。
あなたは私の想いには気づいてくれなかった。
涙が出そうになったのを必死でこらえ
その場を後にした。
涙は案の定溢れてきた。
この瞬間が来るのが怖かった。
こんな事になるなんて信じたくもなかった。
「どうしたの?」
その声に気づいて顔を上げた時
彼がいた。
心配してくれたのがうれしかった。
また涙が出た。
彼に全てを話した。
「そっか…でもさ…」
頬にちょっと暖かい感触がはしる。
「俺だったら…そんな顔、お前にさせない。」
「へっ!?」
「俺は…俺は…
お前が…好きなんだ…ずっと…好きだった…」
私の心臓が跳ねた。
私が好きだったのはあの人だけだったけれど
頭が混乱する。
次の瞬間には抱きしめられていた。
暖かかった。
こんな暖かさに触れたのは初めてだった。
そこで
やっと
気づく事が出来た。
「どうしたんだ?」
不安げになる彼に
こう言った。
「私も……好きだよ…‥」
私は気がつかなかっただけだった。
あの人を好きだと錯覚していた。
私は長い間“人間”を拒絶していた。
でも
心の鍵を解いてくれたのはあなた。
うれしかった。
愛しかった。
~~~
あれから
私はあの人と両想いになれた。
これから
あなたがいる。だから私は生きていける。
あなたがいる。だから私は勇気がでる。
あなたがいた。だから私は
いきていける