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10話。増殖。



ミミックはどうやって繁殖しているのだろう。王立図書館を探し、古い文献を求めて各地を渡っても、どこにも記載されていない。


そもそも、ミミックにも種類がある。噛み付く種類と触手を使う種類。共生したり、しなかったり。性別があるのか、無いのか。単体で増えるのか、仲間が必要か。謎だらけだ。


今日は、一年中雪に覆われている街に来ている。山奥に古代遺跡があると教えてもらい、許可を貰って向かう。


遺跡の中を巡っていると、一つの部屋を見つけた。そこは天から降り注ぐ太陽光が強く集まる場所で、他の部屋に比べて暖かい。

床の上にポツリと宝箱がある。大型犬が伏せているくらいの大きさだ。小刻みにカタカタと震えているので、ミミックだ。


『パキッ、バキッ……バキッ』


ミミックは小刻みに震えながら、音を立てて次第に捲れている。そう、脱皮のようにひと皮剥けていくのだ。脱皮し大きくなる個体なのだろうか。邪魔をしてはいけない。僕は息を殺してミミックを見守る。

少し剥けたミミックは横倒しになり、まるでいきむかのように苦痛に耐えている。頑張って欲しい。僕も手に自然と力が入る。


『バキッ、バギィ…パカッ。』


1時間程かかっただろうか。ミミックが脱皮を終えた。脱いだ後は直ぐに起き上がり、元の場所へ移動していった。脱いだ殻は完璧な形状を保っている。美しいのでいただこうかな。


体力を使い切ったのか、大人しくなったミミック本体を刺激しないように横倒れの抜け殻にそっと近づくと。


『…カタッ………カタッ…』


「こっ、これは…。」


柔らかな抜け殻は生きている。いや、これは増えたと言うべきだ。強い光を浴び、柔らかな体を硬質化させていく。

僕は世紀の瞬間を目の当たりにしたようだ。感動で言葉も出ない。


半開きのミミックの抜け殻の中身を覗いてみれば。内壁に臓器のようなものがへばりついている。コレが、どうなっていくのだろう。暫く観察しよう。


2日目。抜け殻の方のミミックは横倒しの状態から蓋を器用に使い、起き上がった。何度も挑戦しては失敗し、最後には起き上がる姿に感動した。

そして、本体と抜け殻の2体は寄り添うようにして朝日を浴び、静かに佇んでいる。


3日目。

早朝、本体が触手を一本箱の中から出し、抜け殻の蓋を開けた。もう一本触手を出して、自身の中から何かの塊を抜け殻の箱の中に仕舞う。

大人しくなった所で中身の確認に向かうと、どうやら本体の臓器の一部のようだ。こんな僻地だ。獲物は殆ど来ない。本体の柔らかな臓物を抜け殻はじっくりと味わうようにして消化していく。こうして獲物の味を学ぶんだな。勉強になる。


本体の蓋を開けて調べると、肝臓のような部分を引きちぎった形跡を見つけた。再生するのか定期観察の必要があるね。


4日目。

2体はピッタリと寄り添い、仲良く陽の光を浴びている。動きは無い。


5日目。

抜け殻が触手を4本出して自身を動かして移動を始めた。親離れのようだ。本体は静かに、ただ抜け殻が去る姿を見送っているかのようだ。

抜け殻は部屋を出て通路を進み、隣の薄暗い部屋に入った。ここを拠点にするようだ。


こうして僕はミミックの誕生から巣立ちまで立ち会う事ができた。本体も少し寂しそうではあるが、元気そうだ。また元気な子を作って欲しい。


「見せてくれてありがとう。また来るね。」


僕はミミックに挨拶をして古代遺跡を出た。街に戻る際に気がつく。そういえば、5日程寝ていない。夢中になりすぎて不衛生な状態になってしまった。先ずはお風呂に入ろう。


「さて、次はどんなミミックに出会えるかな。」


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