プロローグ
お久しぶりです。初期投稿や書籍版と同じ部分、改稿部分、直し切れていない部分等あるかと思いますが全年齢版始めました。
よろしくお願いします。
ふわりと横からの風が凪いだのを感じ、薔薇とは違う香りが漂ってきた方向へ顔を向けると、
「このバルコニーでレオンハルト殿下はセイラ妃殿下にプロポーズしたって__そう王家には伝わってる」
いつの間にか真横に来ていた王子が教えてくれる。
(うわぁ、乙女ゲームの王道中の王道シチュエーション……!セイラ妃殿下ってその時もう記憶あったのかな?)
そんな考えに頭を占領されていた少女はいつの間にかここに王子と自分だけになっていた事に気が付かなかった。
そして、
「確かに僕はいつも先に謝って下手に出る事でその場が有利に運ぶならいつだってそうしてきた」
王子が唐突に呟いた言葉に、
「?」
訳がわからず首を傾げると、
「君以前訊いてきたでしょ?〝何故何かある度に真っ先に頭を下げるのか〟って」
「あぁ……」
そういえば、あったなそんなこと。
一年生の時の事だ。
「これからもそうすると思う、必要ならね」
「はい?」
(別にどっちでも良いですが?)
着地点がみえない。なんだこの会話は。
「 __君 以外には」
「は?」
益々もって意味がわからず顔をあげると、王子のエメラルドの瞳と自分の瞳が出会す。
「君にそんなの通じないでしょ?いつだって本音で誠実な言葉と態度に出さなきゃ信じてもらえない。だから君にはやらない、ていうか出来ない」
そう言って、王子は私の前に跪いた。
(え……)
掬いあげるように手をとられて、
「君は間違い無く、今迄出会った中で一番素敵な女の子だ。だからお願い、アリスティア・メイデン。僕と結婚して?」
「え 嫌です」
王子のプロポーズに速攻で返した金の髪に空色の瞳を宿す少女の名はアリスティア・メイデン。
日本で一時期流行った乙女ゲーム『伝説の乙女〜薔薇の祝福〜』のヒロインとして転生したのはこんな残念美少女だった。
セイラは「記憶が戻った伯爵令嬢はまだ恋を知らない」の主人公です。
タグにある通りセイラとレオンのラスト後が一部こちらにクロスオーバーしています。
初出がこのなろうで、改稿版がアルファポリスにて掲載中です。初出は初投稿時なのでかなり読みにくいかと思いますが、ご留意ください。
単体で読んでいただいても問題ありませんが、良かったら覗いてみてください。