異世界編④
不思議な家だった。外見は木製だとよく分かるのに、中に入ってみると壁色は真っ黒だった。
彼女は靴を脱がずに真っ黒な床を歩いていくから、アメリカとかみたいに靴を履いて家に入るのが普通なのだろう。
ただ、日本の暮らししかしてこなかったため、靴を脱いでから上がった。
「お茶淹れてくるから椅子に座って待ってて。」
真っ白な机と椅子を彼女は指した。
横長長方形の机と各辺に一席ずつ置いてある椅子を彼女は指した。
ただなんとなく、家の中をよく見れる席に座った。
存外、女の子の家は質素だった。
物が溢れかえっているわけでもなく、むしろ、最低限の物しか置いていないように感じた。
机と椅子だけでなく、他の家具もやはり白だった。
内装をよく見ていると写真立てがあることに気づいた。
四人写っている。
彼女の家族写真だろうと思い、もっと近くで見てみようと立ち上がろうとしたとき,,,
「お待たせ。」
と彼女がトレイに湯飲みを二つ乗せてやって来た。
間が悪いから写真は後で見ようと思った。
彼女はお茶を目の前に置き、俺の反対側にも一つ置く。
「あ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
彼女はそう言い、トレイを机の端に置き目の前の椅子に座った。