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異世界編①
子供の頃を思い出す。目の前にある景色を見ると。
コーヒーカップに乗った。
ハンドルを勢いよく回しすぎて酔いそうになった。
メリーゴーランドに乗った。
白いペガサスと黒いペガサスがいた。
黒いほうがカッコいいと思ったからそっちに乗った。
今も多分、黒いペガサスを選ぶと思う。
ジェットコースターに乗った。
確か、ギリギリの身長だった。
落ちる時のフワッと浮く感じが怖くてそれから乗らなくなった。
笑い声が聞こえた。
透明で穢れのない3つの美しい声。
もう、聞こえなくなったその声が。
辺りを見渡す。
周りは緑でいっぱいだった。
テーマパークというよりはテーマパーク風の公園のような感じだ。
....何もいない。
ヒトもトリも小動物さえも。
風が吹く。
緑たちは大きく体を揺らす。
気温はちょうどいいのに、風は少しだけ冷たかった。
とりあえず人に会い、ここがどこなのか教えてもらおうとして歩きだす。
一歩目を踏み出したその時....。
「ねぇ!」
身体は声
に反応して振り返る。
それが彼女との出会いだった。