始まり4
ドンッ。はぁ、はぁ。
頭がくらくらする。立っていられない。
脚はふらつき、椅子に身体がぶつかる。
視界が真っ白になっていく。
吐き気もしてきた。
壁に手を押しあて、身体がを固定する。
押しあてた手がぶるぶる震える。
身体が重い。怠い。力が入らない。
ドタッ。
力のない手は身体の重さに耐えきれず崩れる。
ウッ。
中のものが込み上げてくる。
もう....耐えられそうにない。
オエッ、ブフェ......。
吐いた。
ベチャ、ベチャ、ベチャ。
醜い音がする。
オエッ。
吐くものなんて無いのに何度も繰り返す。
どれだけ経っただろうか。
ようやく落ち着いてきた。
目の前には嘔吐物か一面に広がっていた。
でもそれは普通ではなかった。
いや、そもそもこんなに吐くこと自体普通ではなかった。
だけど、それ以上に歪だった。
真っ黒だった。
血の色とかそういうものではない。
漆黒。いや、闇のような色だった。
床が無いのではないかと錯覚するほどだった。
身体がは冷え、動かすことができない。
あるのは微かな意識だけ。
でも、その意識ももうすぐ消えそうだった。
死。
これが死なんだと分かった。
消え行く意識の中で、誰かが目の前に立っていた。
もう、色彩はなかった。
誰だか分からない。
でも、最期に知りたかった。
あのケースの正体を。......
光が身体を包む。
冷えた身体を光が暖める。
「あ......」
声が聞こえる。
でも、何て言っているか分からない。
「あ....と..」
声が近付いてくる。
目が覚めた。
今度は確かに聴こえた。
「ありがとう。」
とそう彼女は言った。
目の前に広がる世界を見た。
「ここはどこだ?。」