始まり3
心当たりのない箱だった。
少なくとも頼んでいない。
だとしたら親だろうか?しかし、うちの親はあまり通販で物を買うタイプではない。
むしろ、いまだにガラケーを使っている。
いわゆる機械音痴だ。
親でもない。自分でもない。じゃあ誰が?
,,,,,,,,,,,,そうだ!。
きっと配送先を間違えたんだと思った。
確かにここら辺は住宅地だし、家と家の距離も近い。
初めてここらに来る人は分からなくても無理はない。
膝をおり、しゃがんでシールを確認した。
住所は合っていた。
配達者の間違いではなかった。
ということは親が頼んだ物らしい。
にわかには信じられない。
まさか通販を使えるなんて。。
自分たちの荷物だと分かったので荷物を持ち上げる。
「やけに軽いな。」
思わず声が出てしまった。
ダンボールの大きさ的にもっと重い物だと思っていた。
この重さならあとふた回りくらい小さくても問題ないと思うんだが。
ガチャ。ドドンッ。カチッ。
タッタッタ。,,,ポス。
とりあえずリビングの机に置く。
........中身が気になる。
機械音痴な親が何を買ったのか。
駄目なことだとわかっていた。
でも、やってしまった。
ビリッ、ビリリリッ。
右手にはハサミ。無断で開けてしまった。
ダンボールを開く。
中にはプチプチに何十にもくるまれた小さなケースがあった。
自分でも分からなかった。
ビリッ、ビリッ、ビリッ、ビリッ、ビリッ
なんで今日はこんなにも....
ビリッ、ビリッ、ビリッ、ビリッ、ビリッ
邪魔なものはなくなった。あとはこのケースを開けるだけ。
「駄目だ駄目だ。」
声が聞こえた気がした。
これを開けたらもう戻ってこれない気がした。
それでも..それでも....。
「もう止めることはできなかった。」
そうして「それ」は開けられた。