男
お姉さんは、少し驚いた様だった。何となく判るけどね。
だって、私の髪は真っ黒の腰までの艶々ロングだからね。
大学生になってからは、髪にはかなり拘っていて、今の髪の状態は自分でもかなりのお気に入りだったの。
でも、もう良い、私は変わりたいの! 何だか気分も変にハイになって来たし! これでいく!
「色もこれで、髪型もこれにして下さい」
「でも、これ宣伝の写真で2.5次元ミュージカルの俳優よ。それに男の子だけどいいの?」
「はい! お願いします」
「できるけど……色抜いてアッシュグレーにして長めのアシンメトリー系になるわよ。
パーマは? この写真では、軽く掛けてるけど……
そうねぇ。普段は軽く流したり、アイロン等で外ハネにしたり遊べるから、パーマはしない方がいいかもね」
「それでお願いします」
「本当に切っていいの? 後悔しない? 私も普段なら聞かないんだけど、貴女の髪は手間掛かってるよね。
綺麗で大切にされて来た感あるから……」
「大丈夫です。バッサリいってください」
「そう……なら切るわね。すっごくかっこいい女の子にしてあげるわ。
今、男装女子って居るしね。確か近くにもそんな感じのカフェかバーがあった様な気がするわ。
じゃあ! お姉さんに任せといて」
「はい。宜しくお願いします」
私はさっきまでの落ち込みが嘘の様にウキウキして来た。髪をバッサリ切るのは、テンション上がるみたい。
今は過去は忘れて新しい未来を探してみよう。
「タブレットでそのまま雑誌でもアプリでも色々あるから観ててね。時間掛かっちゃうから」
私は初めて2.5次元ミュージカルをガッツリ見てしまった。何だろう、新しい世界が開いちゃったかも……