74:みんな大好き、ソフィアちゃん!
――医者のシンによる判断で、ソフィアは三日間の休養を命じられた。
その間も彼女は住民たちが喧嘩でもして暴動に発展しないかと(自己保身から)心配し続け、その疲れていてもなお領民を思い続けている(ように見える)姿にシンは『理想の指導者』のイメージを見出して感動したり、“彼女に比べて、我は何をやっていたんだろうな……”と謎の後悔に胸を苦しめられていたりしたという。
そんな元テロリストの心情はともかく、街のほうは至って平和だった。
人間と亜人種はお互いにあまり良いイメージを持っていない。それが同じ職場で働くことになったからには、言い争い程度は普通にある。
だが、あくまでもそれだけだ。そこから殴り合いに発展することだけは、お互いに意識して避けていた。
「だからそれはっ――って……いけねぇな、熱くなりすぎちまった……。この話はまた落ち着いてからにしようや」
「そうだな……トラブルを起こしてソフィア様に心労をかけたくない」
「ああ、それに関しちゃ同意見だわ」
共にソフィアの負担を考え、きっぱりと論争をやめる人間と亜人種の若者たち。
そう、領主である彼女が疲労で熱を出したという件は、彼らの仲を取り持つエピソードとなっていた。
両族同士の雰囲気はまだよそよそしくとも、しかしどちらもソフィアの存在に対しては敬意と感謝の念を持っている。
そんな彼女が自分たちの仲を良くするために奔走し続け、ついには寝込んでしまったというのだ。これでくだらない争いなど出来るわけがない。
「ったく、ソフィア様は優しすぎだよなぁ。変なフード男に唆されて押しかけてきたオレら貧民に、住む場所や仕事を与えてくれたりよぉ……」
「たしかにな。今後、彼女の優しさを利用しようとやってくる者が現れるかもしれん。そこは我らが目を光らせておかねばな」
「おうよ。同じ街に住むことになった者同士、お姫様の護衛といきますか~!」
「ハハッ、貧民と亜人種の護衛騎士など、世の姫君はこぞって嫌がるだろうな。――だが、彼女ならばきっと受け入れてくれるだろう」
ソフィアの話をきっかけに、つい先ほどまで言い争っていた若者たちの雰囲気はとても和やかなものとなっていた。
かくして彼女が寝込んでいる間も、シリウスの街の領民たちは平和に時を過ごしていくのだった。
――もっとも、前世のネガティブ思考が抜けきっていないソフィア本人は、今この時も「あわわわわ……みんなが殺し合いとかしてたらど~しよ~……! 今すぐベッドを抜け出したいけど、ハオを怒らせたら怖すぎるし……!」などと、くだらないことを考えているのだったが。
そのトラブル体質も相まって、本当に気苦労の絶えない女であった。
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