47:どうしようもない女、ソフィアちゃん!!!
特区『シリウス』で過ごす最初の夜。私は与えられた領主邸の寝室で、ウォルフくんと一緒に寝ていた。
もちろん男女のアレとかそういう意味で同衾してるんじゃない。ヒト族のことを殺したいほど恨んでいる獣人族対策だ。
単純にボディガードになってくれるだろうし、それになによりウォルフくんは『獣人国ライエ』の元王子様だからね。顔を見ただけで即謝罪ってことになってもおかしくはない。
ふぅ、あれからウォルフくんを連れて獣人族の人たちに会おうとしたんだけど、街のどこを探してもいなかったんだよね。そうしてる内にすっかり夜になっちゃって、このままだと逆に危ないから領主邸へと撤退。
それで仕方なくウォルフくんと一緒に寝ることにしたんだけど……、
「ぐぉ~ぐぉ~……ぺろぺろ、ちゅうちゅう……」
「んんっ……!?」
しあわせそうな顔で熟睡しながら、首筋を舐めてきたり吸ってきたりするウォルフくん。美味しそうで何よりだけど、たまに噛んでくるのはやめてほしい。
私はハァ~と溜め息を吐いた。今晩は一緒に寝ていいよと言ったら喜んで飛びついてきて、鍛えられた手足でカラダをガッツリホールドされて抱き枕状態だ。しかもウォルフくん、寝るときは上半身裸派だからね。もう傍から見たら大変アレな状況だ……!
「んぉぁ……ふかふか、やわらけぇ……」
「もう、そういうのはウォルフくんの未来の奥さんに悪いからなしだって……!」
首筋から胸に顔を移し、感触を堪能するウォルフくんを引っぺがそうとする。
ってビクともしないほど動かない……!? まさかウォルフくん、王都の魔法使いたちでも調べられなかった例の『筋力増強魔法』を使ってるな……!?
こっちも魔法を使えばどうにかなるだろうけど、あいにく私は火と水と『爆発』を発生させることしか出来ない。どれを食らったとしても流石にそれは可哀想すぎるし、正直言って別にそこまで嫌じゃない……。
う~んでもなぁ~と悩む私。その間に彼は、胸に顔を押し当てはじめ、
「チュゥゥウ……!」
「んぁあっ……!?」
薄いワイシャツの上から思いっきり吸い付いてきた!
まるで赤ちゃんのように稚拙な舌使いで、だけど大人の男の人の強さで……!
身をよじろうとも彼は全くやめようとしない。それどころか、搾り上げるように吸う力をさらに強めていくばかりで……って、
「もうっ、いい加減にしなさーい!」
「ウォオっ!?」
耳元で叫んで無理やり意識を覚醒させる。
キ~ンと痛そうにイヌ耳を抑えるウォルフくんだが、私は悪くないと思いたい。
……こうして寝ぼけてる彼にセクハラ無双を食らうのは、もう十二回目になるからね。
「うひ~、一体何が……ってどうしたんだよソフィア、胸のところが濡れてるぞ?」
「ってこれはウォルフくんの唾液だよバカ~!」
未だに寝ぼけている彼を叱りつけるも、ウォルフくんはブツブツと「しょーがねえだろ。だってソフィアの身体、ミルクみたいな匂いと味がするし……」と食後のレポートをしてくる始末。
そんな彼を真剣に叱るんだけど……はぁ。最終的にはなぜか許してあげちゃってるんだよなぁ。その結果、最近ではほぼ毎晩セクハラ無双を受けている気がする。
「もうウォルフくん……いつか本当に好きな子が出来たら、軽率に身体を触ったりしちゃダメだよ?」
「何言ってんだ、俺が好きなのはお前だっていつも言ってるだろうが?」
「んぐぐっ……もうもうっ! そういう言葉は王様への借金五億ゴールドをなんとかしてから言いなさいっ!」
「おう、頑張るぜッ!」
わりと絶望的な金額のはずなのに、やる気いっぱいの笑みを浮かべてガッツポーズを取るウォルフくん。
その呆れるほどのポジティブさと、そんな彼から好意を受けてることが実はあんまり嫌じゃないという自分のダメさに、私は改めて溜め息を吐くのだった。
・借金五億の彼氏持ち、ソフィア・グレイシアちゃん――!
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