42:パワハラ人事だ、ソフィアちゃん!
みなさまお久しぶりです! 「底辺領主」と「貧乏令嬢」の書籍化作業でだいぶ時間が経ってしまってすいません! どちらもめどが立ちましたので、ちょくちょく更新していきます!
……ちなみに書籍化に伴いオトナの都合で、二話と三話でソフィアちゃんが冒険者になりたがってると勘違いしたお父さんの「メイドとデキちゃってお金がない」という嘘発言がなかったことになり、普通に病気になったと言った設定になりました。
それに対してソフィアちゃんが「前世ではこんなことなかったのに、私が食べさせまくったせい!?」とこちらも勘違いを爆発させたりしてるので、見ていただけると嬉しいです!(1/25日変更)
あと野良猫は食べていないという設定になりました。
食べられた猫はいなかったんやーーー!いいね!?(´;ω;`)
前回までのあらすじ:お城に呼ばれた(薄汚い)ソフィアちゃんは、王様に気に入られてお金いっぱいもらうために王様にすり寄りました。
「フッ……久々に笑わせてもらったよ。さて、それではソフィアくん。そろそろ君のことを紹介するとしよう」
陛下は私の肩に手を置くと、会場の貴族たちへと言い放つ。
「諸君、注目したまえッ! ……我が王国の要である商業都市を半壊させたテロ騒動。あれを解決に導いた立役者こそ、このソフィア・グレイシアである!」
『おおおおおおぉぉぉおおおおおおおお……ッ!』
王様の発表にどよめきが走った。前世ではまったくご縁のなかった上流階級の人たちが、こぞって私に注目する。誰もが口々に「あんなに年若い少女が……!?」「グレイシア家といえば、あの貧乏領の……!?」と驚きの声を上げていた(貧乏で悪かったなチクショウッ!)。
そうしてざわつく貴族たちに、王様はさらに言葉を続けた。
「ハオ・シンランという男が起こした未曽有の事件……この解決にもっとも尽力したのがソフィアくんだが、彼女以外にも獅子奮迅の働きをした者たちがいる! それがこちらの二人、我が執事であるウェイバーと我が飼い犬であるウォルフだ!」
王様の紹介に冷たい顔をさらに冷たくするウェイバーさんと、仏頂面で鼻を鳴らすウォルフくん。
うわぁ、それなりに付き合いが長いおかげで、二人の考えが手に取るようにわかるよ……! 絶対あの二人、『私はソフィア様の執事だ!』とか『俺はソフィアの番犬だ!』とか思ってるよね……!
ちなみに貴族たちのほうも、この発表には複雑な顔をしていた。
ウェイバーさんだけならともかく、立場の悪い獣人族のウォルフくんが英雄扱いなんだからね。ついさっき思いっきり罵っちゃった後だしさ。
というわけで、会場が微妙な空気に包まれたのだが……それを平然と打ち破るのが、我が王国のブラック上司・ジークフリート様である。
「どうした諸君――さっさと讃えたまえ」
『ぉッ、おおおおおおおおおおおおおおおッ! 流石ですぞウェイバー殿、ウォルフ殿ォオオオオオオオオオオオッ!!』
冷や汗を浮かべながら盛大な歓声を上げる貴族たちッ! うわぁぁぁぁぁあ、こんなパーティーの盛り上げ方があるなんてソフィアちゃん知らなかったんですけどぉおおおおッ!?
パワハラで差別問題を解決した国王陛下に、私は頭が痛くなりそうだった……!
そんな私の気も知らず、彼は(無理やり)盛り上がる貴族たちを見て満足げに頷く。
「ああ、それでいいのだ。……僻地の貧乏令嬢だろうが、貧民街の出身者だろうが、敗戦国の異種族だろうが関係ない。結果を出した者は報われるべきだ。力ある者は、称賛されて然るべきなのだ。そうした土壌が整ってこそ――私を面白くさせてくれるような強い人間が現れるというものだ……!」
そう言って笑う陛下を見て、私は自然と寒気が走った……!
やっぱり彼は危ない人だ。何も知らない者が今の言葉を耳にすれば、立派な君主論に聞こえるかもしれない。だが私は違うと断言できる。
だってこの人は、自分に恨みを持つウォルフくんを襲撃者として飼うような危険人物なのだから。王である自らが戦場に立ち、いくつもの国を蹂躙してきた極限の『戦闘者』なのだから……!
「さて、それでは三人の英雄たちに褒美をくれてやらねばな。まずは三人の願いを問うが……ウェイバーよ、君は貧民たちの救済といったところか?」
「……その通りです、陛下。できることならば貧困層の働き口を増やしていただきたい。わずかな補助金のばら撒きでは、根本的な解決にはなりませんので」
「なるほど、元住民の意見は参考になるな。『貧民街の王子』の願い、しかと承った」
「っ、その呼び名はやめてください……微妙に恥ずかしいので」
不愉快そうに眼鏡を押し上げながら、わずかに頬を染めるウェイバーさん。
そっか、ウェイバーさんって貧民街の出身者だったんだ。だから貧乏令嬢である私のこともやたらと慕ってくれてたんだね。ウォルフくんと比べたらあんまりプライベートな話もしたことないし、今度じっくりと会話してみるのもいいかもしれない。……ウェイバーさん、終始アヘアヘしそうだけど。
そんなことを思っていると、次に陛下はウォルフくんに声をかけた。
「ウォルフよ、君と話すのは久しぶりになるな。冒険者になってからはどう過ごしていた? 何か病気になったりは? 変なものを食べたりはしてなかったかね?」
「ってうっぜーなッ!? テメェは俺の親かよッ!」
「む? 君の親なら戦争で私が殺したが?」
「ああああああああああああああああああわかってるよコンチキショウッ!」
……口先一つで遊ばれまくりなウォルフくん。もうこの会話だけで二人の力関係がわかるというものだ。ウォルフくん、可哀想に……!
「フッ……それでウォルフ、君はどんな褒美が欲しい? 『呪いの首輪』を外して欲しいというのなら、まぁいいだろう。君はそれだけの活躍をしたと思っているからね」
「あぁ? テメェからの褒美なんていらねぇよジークフリートッ! ……最初にテメェが言った通り、五億の金を稼ぎ上げて自力で自由を勝ち取ってやるッ! その上で、獣人国の王子としてお前をぶっ殺すッ! それが俺の願いだ!」
「ほほうッ、やはり君は素晴らしい! いいだろう、その時を楽しみにしているぞ!」
ぶっ殺す宣言をしたウォルフくんに、満足げに笑う国王陛下。
うわぁ金色の瞳をキラッキラとさせてるよ! やっぱりこの王様、根っからの戦闘馬鹿だーーーー!
その点だけはウォルフくんと似てるなぁと、私はなんとなく思ってしまった。
かくして最後に、国王陛下は私に問いかけてくる。
「さて、それでは一番の活躍をしたとされるソフィアくん。君の願いはずばり『金』だね?」
「……お恥ずかしながらその通りです。我がグレイシア領は非常に貧しい上、つい先日、父が病にかかっていることがわかりました。さらには領民たちの間で流行り病が蔓延しているとも。その治療費を賄うために、私は冒険者になったのです……!」
そう語ると、見守っていた貴族たちのほうから少なからず同情の声が上がった。涙を浮かべながら「あんなに若いのに苦労して……!」とつぶやいたり、特に年配の方々の涙腺に大ヒットみたいだ。
うん、でもごめんねぇえええええええみなさんッ! 領地のみんなが病気になっちゃったのは、たぶん私のせいなんですよぉおおおおおおおおおおおッ! モチモチになったお父様が病気になったのは半分自業自得だけど、他の人たちが病んじゃったのは間違いなく私が失敗作の回復薬をばら撒いたからですからぁぁああああッ! ウワーンだから同情しないでぇえええええええ! 心が痛むぅううう!
改めて感じる罪悪感のせいで、目尻に涙を浮かんでいた時だ。なんとパワハラ鬼畜トンチキ野郎だと思っていた国王陛下が、そっと指で涙を拭い取ってくれたのだ――!
目を合わせると、彼の金色の瞳には優しい光が……!
「そうか、そうか……苦労したね、ソフィアくん。きっとそうした環境が君の慈愛に満ち溢れた心を作ったのだろう。君の『聖女』と呼ぶにふさわしき活躍の数々は、ウェイバーを通して聞いているからね。
よしいいだろう……ダーニック大公と相談し、君には何億でも何兆でも好きなだけ稼げるようにしてあげよう!」
ファッ、ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!? 億っ、兆ッ!? うぉおおおおおおおおおおっ何それしゅごしゅぎりゅううううううううううう! やったー! 大金ゲットだーーーーー! 私の人生大逆転だぁああああああああ!! いや~パワハラ鬼畜トンチキ野郎のジークフリート様にも優しさってもんがあったんですねーーーー! 気に入られたようでよかったよかった! このソフィアちゃん、一生ついていきます! わんわんっ!
予想を超える金額が飛び出したことで、私が有頂天になっていた時だ。……私はふと思ってしまった。
“好きなだけあげる”じゃなくて、“稼げる”ってどういうことかと。
「陛下……稼げるとは……?」
「はははっ。いやなに、ポンと金を渡して解決では面白くないと思ってね。それにウェイバーも言っていたことだが、一時的な補助金で急場をしのいだとしても、再び領地に流行り病が蔓延したらどうするね? ……そこでソフィアくんには、稼ぎとなる『土地』を明け渡すことにした」
はっ……土地ィイイイイッ!? どどどどどどどどゆことどゆことどゆことぉおおおおおおッ!?
人生最大の困惑に固まる私に、国王陛下はバッと腕を向けて言い放つ――!
「王の名において、ソフィア・グレイシアに命ずるッ! 我が王国との戦争に敗れ、祖国を失った異種族たちの新設特区『シリウス』の領主を務めるがいいッ!」
ってはいぃいいいいいいいいいいいいいッ!? 新設特区の領主をしろってぇッ!? い、いきなり何言ってんのこの人ーーーーー!? しかもそこに集まるのは……戦争に敗れて祖国を失った異種族たち!? え、それってめっちゃ危なくないぃいいいいいいいいいいいッ!? そんなん絶対襲われるじゃーーーんッ! パワハラ人事やめてーーーーーッ!
陛下の突然すぎる命令に、私は心の中で泣き叫んだのだった!
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