28:それぞれの戦いへ!
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仲間からの信頼という重圧に、私(※強奪志望)の心が折れそうになっていた時だった。
――バキリ、グチャリという音を全身から立て、倒れ込んでいたハオが起き上がってきたのだ……!
殴られたことで首がへし折れ、壊れた人形のように頭が傾いている状態だというのに……復讐の王子は、笑みを浮かべてこう言い放つ。
「クッ……ククク……! いやぁ、すごい勢いの拳だったねぇ。人間を辞めていなければ死んでいるところだったよ……ッ!」
「なっ――!?」
次の瞬間、奴の身体に異変が起こった!
折れていたはずの首が一瞬で治り、さらには背中から八本もの触手まで生えてきたのだ!
ひっ、ひええええええええええええッ!? この人マジで人間やめてるじゃん!? えっ、もしかして自分まで『キマイラ』化しちゃったの!? どんだけ国王陛下のことぶっ殺したいわけ!?
おっ、おええええ……見た目グロいし、なんかもう怖すぎて吐きそうなんですけど……ッ!
そうして私が胃の中のものを抑えようと、必死に堪える表情をした時だ。
ハオの奴はまーた私を睨みつけてきやがった――!
「っ……またしてもなんだその顔は!? なぜそこで恐怖するのではなく、痛ましいようなモノを見る表情をするッ!?
あぁ……我はこの国の王と国民たちを怯えさせたくて、こんな『化け物』にまでなったというのに……ソフィアよ! どうしてお前は臆さないのだッ!? まさか我に対して同情でもしているつもりなのか!」
って、いやいやいやいやいやめっっっちゃ恐怖してますけどッ!? さっきからずっとドン引きなんですけどぉ!?
お願いだから絡んでこないでよー……と心の中で願う私をよそに、ハオは銀色の髪をグシャグシャと掻き毟ると、憎しみの表情でこう言い放った。
「……人間とは生まれた国が違うだけで、どこまでも相手に残酷になれるものだ。それがこんな化け物のような姿になった者ならばなおさらのこと。そんな相手を慮れる聖者など、いるわけがない……!
ゆえにソフィアよ――こうなったら意地でもお前を怒り狂わせ、偽善者の仮面を剥がしてくれるわぁぁあああ!」
彼がそう叫ぶのと同時に、アジトの天井が大爆発を巻き起こした――ッ!
「っ、ソフィアッ!」
「ソフィア嬢!」
大量に降り注いでくる瓦礫を弾いてくれるウォルフくんとウェイバーさん。
しかし、そんな二人に呑気にお礼を言えるような状況ではなかった。なんと部屋中にいた何百体ものキマイラたちが、雄叫びを上げながら穴の向こうへと跳んでいったのだ――!
かくして次の瞬間……天井より覗いた夜の街から、人々の絶叫が響き渡った――!
「なっ……ハオ、アナタなんてことをッ!?」
「フハハハハハハッ! さぁさぁどうする勇者たちよッ!? このままでは街中の人間どもが死ぬことになるぞォ!?」
「テメェーッ!」
高らかに笑うハオに向かって、飛び掛かろうとするウォルフくん。
だがしかし、そんな彼の肩をウェイバーさんが強く引き止めた。
「っ……なんだよウェイバー!? どういうつもりだッ!」
「落ち着きなさい、ウォルフ。……アナタとソフィア嬢はキマイラどもの討伐に向かってください。一刻も早く全滅させて、住民たちを救うのです。
そして私は――」
そう言ってウェイバーさんは、ハオのことを睨み付ける……!
「貴様……よくも各地の貧民たちを苦しめてくれたものだな。殺してやるぞ、『復讐の王子』よ……!」
「ククッ、いけないねぇウェイバーくん。今は執事なのだから敬語を使えよ。
あぁ……お前こそよくも各地の手下どもを全滅させてくれたな。殺してやるぞ、『貧民街の王子』め……!」
二人が視線をぶつけ合った瞬間、部屋中に蒼き魔力と紫の魔力が迸った――!
彼らを中心として床が凍り付いていき、さらには電流が発生して空気がバチバチと音を立てていく……!
「さぁソフィア嬢、そしてついでにウォルフッ! 街の人々は頼みましたよッ!」
「うん、ウェイバーさんも頑張って……!」
「けっ、俺はついでかよ! ……あとでそのツラぶん殴ってやるから、死ぬんじゃねーぞ!?」
ハオと対峙するウェイバーさんを背に、私とウォルフくんはアジトの外へと飛び出していったのだった――!
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