政治調査概論
2018
・講義のねらいについて
この講義には大きく3つの目標があった。第一に、社会科学で多用される社会調査や世論調査の結果について、統計的推測の理論や誤差の範囲の意味を理解した上で、正しく解釈できるようになること。第二に、リサーチクエスチョンの設定、仮説の設定、変数の操作化、回答選択肢の与え方など、自分で正しい調査が行えるようになるための基礎を身に着けること。第三に、社会科学の最も重要な目的である因果関係の検証するための方法としての、実験および調査観察データの計量分析の手法を理解できるようになること。
・期末試験について
以上の目標を十全に達成できているかを確認する目的で期末試験を実施した。期末試験は大問5つから成り、それぞれが20点の配点の合計100点満点である。
大問1は、世論調査における内閣支持率の誤差の範囲を求め、その解釈にもとづき有権者全体における内閣支持率が50%を切っているかどうか、判断を求めるものであった。誤差の範囲を求める公式についてその式から正しい回答が導けなければ、式の意味を理解していないものとみなし式について0点にした。また正しく誤差の範囲を解釈をしていても結論が誤っていれば大きく減点した。
大問2は、提示された仮説を検証するための質問文と回答選択肢を作成するというものであった。「個人主義」、「政治関心」をどのような質問文で測定するかがポイントであった。操作化を一切しなかったり、質問文を2つ作成しなかったりするのは論外である。
大問3は、回帰分析の表の解釈であった。指摘する要因の過不足はすべて減点対象としており(つまり余計なものを書いても減点)、できている者とできていない者との点差がとりわけ大きかった。
大問4は、サーベイ実験の手法を解説し、それがなぜ因果推論に最も適しているのか説明し、さらにその限界を指摘するというものであった。内生性および除外変数バイアスの正確な説明ができていない者が多かった。また「無作為抽出によりグループを作成する」という記述は不正確なので大幅減点の対象とした。
大問5は、提示され文章について正誤判断を求めるものであった。全体としてよくできていたように思う。
期末試験の平均点は100点満点中73点、最高点95点、最低点18点であった。
・最終成績評価について
最終成績評価は次の式に当てはめて完全に機械的に行った。
(小テスト3回中点数の高い2回分の合計点)+(期末試験の点数×0.6)+Extra Credit
2017
・講義のねらいについて
この講義には大きく3つの目標があった。第一に、社会科学で多用される社会調査や世論調査の結果について、統計的推論の理論や誤差の範囲の意味を理解した上で、正しく解釈できるようになること。第二に、リサーチクエスチョンの設定、仮説の設定、変数の操作化、回答選択肢の与え方など、自分で正しい調査が行えるようになるための基礎を身に着けること。第三に、社会科学の最も重要な目的である因果関係の検証するための方法としての、実験および調査観察データの計量分析の手法を理解できるようになること。
・期末試験について
以上の目標を十全に達成できているかを確認する目的で期末試験を実施した。期末試験は大問5つから成り、それぞれが20点の配点の合計100点満点である。
大問1は、世論調査における内閣支持率の誤差の範囲を求め、その解釈にもとづき有権者全体における内閣支持率が50%を切っているかどうか、判断を求めるものであった。誤差の範囲を求める公式についてその式から正しい回答が導けなければ、式の意味を理解していないものとみなし式について0点にした。また正しく誤差の範囲を解釈をしていても結論が誤っていれば大きく減点した。
大問2は、提示された仮説を検証するための質問文と回答選択肢を作成するというものであった。「個人主義」、「政治不信」をどのような質問文で測定するかがポイントであった。操作化を一切しなかったり、質問文を2つ作成しなかったりするのは論外である。
大問3は、回帰分析の表の解釈であった。指摘する要因の過不足はすべて減点対象としており(つまり余計なものを書いても減点)、できている者とできていない者との点差がとりわけ大きかった。
大問4は、サーベイ実験の手法を解説し、それがなぜ因果推論に最も適しているのか説明し、さらにその限界を指摘するというものであった。サーベイ実験の解説についてポイントは、「無作為に被験者をグループ分けし、異なる情報刺激を与え、それによって従属変数の値の平均値が統制群と処置群との間でどのように違うか見る」ということが書けているかどうか、である。「無作為抽出によりグループを作成する」という記述は不正確なので減点対象とした。
大問5は、提示され文章について正誤判断を求めるものであった。全体としてよくできていたが、「「まちづくり」の成功例を複数検討することで、まちづくりの成功の要因を探った。」の記述を正しいとした誤答がやや多かった。成功例ばかり見ていたのでは成功の原因がわからない、ということが本講義の主要なメッセージの1つであったため残念である。
2016
・講義のねらいについて
この講義には大きく3つのねらいがあった。第一に、社会科学で多用される社会調査や世論調査の結果について、統計的推論の理論や誤差の範囲の意味を理解した上で、正しく解釈できるようになることであった。第二に、リサーチクエスチョンの設定、仮説の設定、変数の操作化、回答選択肢の与え方など、自分で正しい調査が行えるようになるための基礎を身に着けることであった。第三に、社会科学の最も重要な任務である因果関係の検証するための方法としての、実験および調査観察データの計量分析の手法を理解できるようになることであった。
・期末試験について
以上のねらいを十全に達成できているかを確認する目的で期末試験を実施した。期末試験は大問5つから成り、それぞれが20点の配点の合計100点満点である。
大問1は、世論調査におけ内閣支持率の誤差の範囲を求め、その解釈にもとづき有権者全体における内閣支持率が20%を切っているかどうか、判断を求めるものであった。誤差の範囲を求める公式について基本的に一か所でも間違いがあれば、式の意味を理解していないものとみなし大きく減点した。
大問2は、提示された仮説を検証するための質問文と回答選択肢を作成するというものであった。「個人主義」、「政治不信」をどのような質問文で測定するかがポイントであった。質問文を2つ作成しないのは論外である。
大問3は、回帰分析の表の解釈であった。指摘する要因の過不足はすべて減点対象としており(つまり余計なものを書いても減点)、できている者とできていない者との点差がとりわけ大きかった。
大問4は、サーベイ実験の手法を解説し、それがなぜ因果推論に最も適しているのか説明し、さらにその限界を指摘するというものであった。サーベイ実験の解説についてポイントは、「無作為に被験者をグループ分けし、異なる情報刺激を与え、それによって従属変数の値の平均値がグループ間でどのように違うか見る」ということが書けているかどうか、である。「無作為抽出によりグループを作成する」という記述は不正確なので減点対象とした。
大問5は、提示され文章について正誤判断を求めるものであった。
全体として例年より出来が悪かった。特に大問1~3については小テスト1~3の内容に即したものであるので、ここで大きく減点されるということは単なる勉強不足であるとしか言いようがない
2015
<講義のねらいについて>
この講義のねらいは第一に、政治学をはじめとする社会科学で多様される世論調査結果を正しく理解し解釈する能力を養うことであった。マスコミの調査は全部でたらめだとか、反対に大手マスコミの調査なのだから信頼できるなどと決めつけるのではなく、標本抽出方法、ワーディング、回答選択肢、質問の順番などからその調査の信頼性を自分自身で判断できるようになってもらいたい。また第二に、社会科学における因果推論の方法について理解を深めることであった。政治学をはじめとする社会科学研究の主要な目的は原因の特定である。それを厳密に行う方法として実験の手法を重点的に学習し、実験ができない場合の次善の方法として計量分析の手法についても学んだ。
<期末試験について>
以上のねらいを十全に達成できているかを確認する目的で期末試験を実施した。期末試験は大問5つから成り、それぞれが20点の配点の合計100点満点である。
大問1は、世論調査における憲法改正に賛成する人の誤差の範囲を求め、その解釈にもとづき「日本の有権者の過半数が憲法改正を支持しているかどうか」判断を求めるものであった。誤差の範囲を求める公式について基本的に一か所でも間違いがあれば、式の意味を理解していないものとみなし0点とした。学期中に実施した小テスト1でも同様の問題を出題しているし、手書きのメモも持ち込み可であるということを考慮すれば当然である。
大問2は、提示された仮説を検証するための質問文と回答選択肢を作成するというものであった。「他人への信頼」、「政治への積極的な参加」をどのような質問文で測定するかがポイントであったが、後者について行動ではなく意識について尋ねる質問を作成した場合、減点した。また質問文を二つ作成しないのは論外である。
大問3は、回帰分析の表の解釈であった。できている者とできていない者との差がとりわけ大きかった。
大問4は、サーベイ実験の手法を解説し、それがなぜ因果推論に最も適しているのか説明し、さらにその限界を指摘するというものであった。サーベイ実験の解説についてポイントは、「無作為に被験者をグループ分けし、異なる情報刺激を与え、それによって従属変数の値の平均値がグループ間でどのように違うか見る」ということが書けているかどうか、である。「無作為抽出によりグループを作成する」という記述は不正確なので減点対象とした。
大問5は、提示され文章について正誤判断を求めるものであった。概ねよくできていたと思う。
2014
・講義のねらいについて
この講義のねらいは第一に、政治学をはじめとする社会科学で多様される世論調査結果を正しく理解し解釈する能力を養うことであった。マスコミの調査は全部でたらめだとか、反対に大手マスコミの調査なのだから信頼できるなどと決めつけるのではなく、標本抽出方法、ワーディング、回答選択肢、質問の順番などからその調査の信頼性を自分自身で判断できるようになってもらいたい。第二に、調査を実施する側として適切に調査を準備、実施できるための基礎を身につけることであった。会社や官庁などで近年ますます独自のアンケート調査を行うことが増えてきているが、質の低いものが多い。将来社会に出て自らがこの種のアンケート調査を作成、実施しなければならない立場になったときに最低限適切な調査が行えるようになってもらいたい。
・期末試験について
以上のねらいを十全に達成できているかを確認する目的で期末試験を実施した。期末試験は大問5つから成り、それぞれが20点の配点の合計100点満点である。
大問1は、世論調査における憲法改正に賛成する人の誤差の範囲を求め、その解釈にもとづき「日本の有権者の過半数が憲法改正を支持しているかどうか」判断を求めるものであった。誤差の範囲を求める公式について基本的に一か所でも間違いがあれば、式の意味を理解していないものとみなし0点とした。学期中に実施した小テスト1でも同様の問題を出題しているし、手書きのメモも持ち込み可であるということを考慮すれば当然である。誤差の範囲の解釈についても3分の1くらいが不正確であった。これも小テストの解説で力説した点である。また結論が間違っている回答についても、誤差の範囲の意味を理解していない証拠であり0点とした。
大問2は、提示された仮説を検証するための質問文と回答選択肢を作成するというものであった。「理想主義」、「ハト派」の作業定義をどのように行うかがポイントであったが、ハト派の意味を理解していない者が多くいた。政治学の学生とりわけ国際政治に関心をもつ者なら当然知っていてしかるべき概念である。また回答選択肢が、相互に排他的かつ網羅的でない場合も多かった。質問文を二つ作成しないのは論外である。
大問3は、提示されたテーマに取り組むために面接調査を実施する際に考えられる問題点を指摘し、それの解決手段を一つ選びどのようにしてその問題が解決されうるか説明するものであった。「社会的望ましさバイアス」という言葉があってもその意味の説明が十分でない解答が多くあった。なぜ問題が発生するのかそのメカニズムを解決し、それを踏まえて新しい手法でなぜそれが解決されるのか簡潔に説明することが必要である。
大問4は、調査実施にまつわる文章について正誤判断を求めるものであった。非常に出来が悪かった。全問不正解の者も少なからずいる。
大問5は、提示された質問文と回答選択肢について正誤判断を求めるものであった。これも非常に出来が悪かった。全問不正解の者も少なからずいる。
2013
大問1は、世論調査における内閣支持率の誤差の計算とその解釈で、全般的に出来は良かった。しかし少数ながら空欄で提出したり、まったく的外れな式を書いたりする者がいた。
大問2は、「現実主義的な考え方をする人ほど、タカ派の外交政策を支持する」という仮説を検証するための質問文を作成せよというもので、ポイントは独立変数と従属変数で2つの質問文にわけ、それぞれ適切に操作化することであった。操作化がうまくできているかは、かなり甘く判断したがそれでも首をかしげるような回答も多かった。「タカ派の外交政策」が何を意味するのか、政治学科の学生なら漠然とでも理解しておくべきである。
大問3は、人種差別意識と外国人地方参政権問題についての態度との関係という研究テーマに面接調査で取り組む際の問題点を指摘し、それを解決する手段として3つの新しい手法のうち一つを選んで解説を加えるとういうものであったが、全般的にはよくできていた。ただ、小テストの返却時の解説でも強調したように、与えられたテーマに即して論じていない場合や、新しい手法のやり方について詳しく書いていない場合は、減点対象となる。
大問4は世論調査の実施と解釈にまつわる正誤問題、大問5は質問文にまつわる正誤問題であったが、全般的に出来は悪かった。「多段抽出」、「層別抽出」、「選択肢が網羅的かつ相互に排他的」、「キャリーオーバー効果」、「ダブルバーレル」などの概念を正しく理解する必要がある。
2011
出題意図
2011年度・社会調査概論期末試験は3つの設問より構成されている。問1は、平均値、標準偏差の意味を具体的なデータから読み取ることができるかを確認するものである。
問2は、社会調査を自らが行う場合、どのような調査を企画・遂行するかを問うもので、応用力を確認するものである。
問3は、1回の講義の内容を再構成するものであり、「マスメディアの報道について」「投票行動について」のどちらかを選択した上で、論述するものであった
講評
問1に関しては、全体としてよく出来ていた。問2に関しては、任意の社会的弱者を示した上で、そのような人々が「直面する困難」を調べるためにふさわしい社会調査の手法を具体的に提案することが求められていたが、単に「質的調査を採用する」などという記述で終わっている答案が多かった。そもそも質的調査とは何か、どのようにそれを遂行するか、その結果何が言えるかまで踏み込んで言及してほしいところであった。問3に関しても同様で、講義で扱われた専門用語を並べるだけで、その背後にある「論理」までを明示できている答案は少なかった。成績評価については、以上の採点結果に出席・感想文の累積得点を加え、かなりの得点調整を施した上で行った。