029決闘の勝者
学園内にある闘技場。
本来は指導者の下ルールにのっとった試合や演武が行われる円形のコロシアムが、決闘の舞台に選ばれた。
晩秋の夕暮れは早い。
すでに日は大きく傾き、闘技場の影にその姿を隠そうとしている。
明かりの魔術具が煌々と照らす中、ファリオンとジェラルド様は向い合せで立っていた。
私はファリオン側に近い観客席でそれを見守る形になるが、来客の知らせを受けていったん闘技場の外に出る。
「アカネ、本当にすまない」
そう言って私の目の前で頭を下げたのはスチュアート様だ。
「スチュアート様が悪いわけではないんですから、やめてください」
いくら義妹相手とはいえ、王族がそう頭を下げるものではない。
しかしようやくあげてもらえた顔は苦悶に満ちた表情だった。
「近頃のジェラルドはどうもおかしい。初恋に身を焦がしているのかと様子を見ていたが、あまりに暴走がすぎる。国王陛下も頭を痛めておいでだ。この決闘の結果如何を問わず、ジェラルドには処罰が下るだろう」
「まぁ、こんな騒ぎになったらそうですよね……」
庇ってあげようにも庇いきれない。
ハッキリ言って自業自得だ。
「できれば決闘自体差し止められれば良かったんだが、かなりの生徒が見届け人として名乗り出てしまっている。この国の風習を思えば、ここで口を挟むのは国王といえど無粋なことなんだ」
「分かってますよ。仕方ありません。ファリオンなら何とかしてくれるはずです……」
「コゼットも心配していた。アカネの身に危険が及ばないかと」
この状況でもお姉様が心配するのは結局私の身の危険らしい。
相変わらずだと苦笑する。
「大丈夫です。私も自分を守る程度の魔術は使えます」
「アカネの魔術の腕はヴォルシュ侯爵に劣らないと聞いているよ」
「それは内緒にしてくださいね」
「分かっているとも。 ……さあ、そろそろ始まるだろう。弟の不始末はきっちり清算させるから、ひとまずはこの決闘を乗り切ってくれ」
そう言って私の肩を叩くスチュアート様に大きく頷き、闘技場に戻った。
間もなく日が地平線に隠れ、空が夜に包まれる。
審判として立ってくれるらしい学園長が公正な判定を行うことを宣言し、大勢の歓声とともに決闘が始まった。
闘技場の両端に立つ二人はその距離を保ったまま向き合う。
先手を打ったのはファリオンだった。
一つの小さな火球が宙に浮き、矢のようなスピードでジェラルド様に飛来する。
おそらく牽制程度の意味しかなかったその攻撃は、何もせずとも彼の足元に落ちただろうけれど、大げさなほどの動きでジェラルド様はそれを避けた。
そして穴の開いた地面には目もくれず、じっとファリオンを見る。
何かを観察しようとしているかのように。
その行動に違和感を覚えたのは私だけではなかったようで、闘技場がにわかにざわついた。
「殿下、どうされました?降参ならいつでも受け付けますが」
「……ご冗談を」
ファリオンの言葉を受けて、ジェラルド様は微笑んで首を振る。
そしてその手のひらに小さな炎が灯ったかと思うと、瞬く間に肥大した。
ジェラルド様の身長を優に超えるそれは、幼い子供の魔術とは思えないほど強大だ。
集めた情報によれば、ジェラルド様の魔術適性は炎。
その威力は宮廷魔術師の採用条件を満たすほどだというからかなりの腕前だと思ってはいた。
でもこれは……
「いきますよ」
暴力的な大きさの炎がファリオンに飛んでいく。
その熱量がここまで届きそうだ。
しかしファリオンは冷静に自らも炎の魔術をぶつけて上空に逸らした。
派手な光が立ち上り、観客席からは歓声が上がる。
他人事らしい観客たちは呑気なものだ。
当事者たちはそれを皮切りに、魔術の応酬を始めた。
ジェラルド様は降り注ぐような炎の魔術を。
ファリオンはそれを迎え撃ちながら、ジェラルド様の動きを封じるように火球を地に落としていく。
ファリオンの魔術…正確には魔物の力だけど、それはとても地味な威力しか持たない。
本来のファリオンであれば力押しであっという間に降伏させられるだろうけど、急遽用意した魔物では能力に限界があるんだろう。
それだけに加減も難しく、慎重な攻め方をしているようだ。
いくら決闘を受けたとはいえ、やはり怪我をさせないようにと気を遣っているらしい。
それに比べてジェラルド様の魔術はずいぶん殺意が高い。
これで勝つつもりなら、どう考えてもファリオンに大怪我をさせる気満々だ。
当たり所が悪ければ死ぬ可能性だって高い。
加減するだけの能力が無いとも考えられるけど……
ちらりとジェラルド様に視線をやった瞬間。
「……え?」
青い瞳と目があった。
確かにあったと思うのに。
なぜその少年から放たれた火球が、こちらに飛んできているのだろうか。
予想外の出来事に、教わったはずの防御魔術を展開するのが一歩遅れた。
それがいけなかったのか。
彼に、私を心配させちゃいけなかった。
「アカネ!」
私が光魔術を展開し周囲にバリアを張ったのと、それより強固なバリアが大きく私を覆ったのはほぼ同時だった。
数メートル手前で炎魔術が弾け消える。
私の近くにいた生徒たちがそろって悲鳴をあげるけれど、その身には火の粉一つ及ばない。
しかしほっと息をつく間も無く、私の背筋は冷えた。
さっき私を守った、より高度なバリアが誰から放たれたものなのか。
それを考えるより先に、私の肌は異変を感じとる。
腕を撫でる風が妙に生温く。
闘技場に満ちるざわめきは反響して聞こえた。
戸惑うような生徒たちの声は、ジェラルド様の誤射に関してだろうか。
それともこの異変に気付いている者がいるのだろうか。
それを見極めるまもなく、私は風魔術を使って闘技場に飛び降り、俯いて立ち尽くすファリオンに駆け寄った。
ジェラルド様も異変を感じているのか、これ以上魔術を打つ気配はない。
「ファリオン!」
その背に飛びつくようにして抱き込みながら魔力を流す。
けれどいつもなら次第に収まるはずの気配が、まったく鳴りを潜めてくれない。
「……くそ……邪魔だ」
「ファリオン?」
小さな呟きが聞こえて顔を上げる。
銀色の瞳が陽炎のように揺らいで見えた。
その視線の先にあるのは私ではなく、ジェラルド様の姿。
「まどろっこしい……こんな面倒なことになる前に、とっとと消しちまえばよかった」
「ファリオン!?ダメ、ダメだよ!?」
今のファリオンは正気じゃない。
魔王の力に飲まれかけるとき、破壊衝動が強くなると言っていた。
ただでさえジェラルド様には良い感情を持っていないはずなのに、今こんな状態になったら……
しがみついて首を振るけれど、銀色の瞳はなおも私を見ない。
代わりにその腕が乱暴に私を抱き寄せた。
「分かってる。お前を煩わす者も全て消し炭にする」
「分かってない分かってないよぉ!」
あんまりな返答に、こんな状況だというのに泣き笑いがもれた。
しかしその笑いも涙もひっこめさせるように、ファリオンの頭上に夥しい数の火球が浮かび上がる。
その数はおそらく百を超えるだろう。
闘技場内のざわめきが一層大きくなった。
当然だ。
一つ一つが一抱えもありそうな大きさがある。
何メートルも離れているはずなのに火傷しそうな熱を感じるほどの炎。
こんな規模の魔術は、宮廷魔術師だって操れないだろう。
この量の火球が降り注げばどんな惨事が起こるか分かったものではない。
そもそも今回の決闘は、それなりの術者同士のものかつ急なことだった為に、観客への警護は最小限だ。
もちろん王族であるスチュアート様のあたりは騎士や魔術師が護衛にあたっているけれど、それ以外の観客は自己責任による観戦になっている。
自分で連れてきた護衛や自衛がすべて。
魔王の魔力で生み出された魔術に太刀打ちできる人間が、一体この中に何人いるというのか。
「消え去れ」
「やめなさいってば!」
ファリオンの声をかき消すように叫び、放たれる魔力にからみつかせるように自分の魔力を伸ばす。
捕まえた!
ファリオンの中に流し込む魔力。
これまで何十回、いや百回以上繰り返してきたそれは、もはや熟練と言っていい。
もはやファリオンの魔力のことならきっと本人よりよく知っている。
どう体を巡り、どう放たれるか。
他人の魔力を制圧し、その魔術を操作する。
かつてファリオンが私に対してしたそれを、私自身はしたことがない。
ぶっつけ本番。
でもそんなのファリオンだって同じだった。
私は彼の魔力を知り尽くしている分、容易いはずだ。
「私を誰だと思ってるのよ!」
いつか、彼が言っていた言葉。
その声に応えるかのように、頭上の炎はすべて掻き消えた。
けれど私に魔術の主導権を奪われたファリオンから、強い反発を感じる。
反発される中で魔力を流し込むのは難しい。
か細い糸をなんとかつなぎとめる。
「何しやがる!」
「落ち着いて、ファリオン!」
まだファリオンは正常に戻っていない。
なのに魔力を受け入れてくれない。
危機的状況だ。
邪魔をする私を煩わしそうに睨みつける銀色の瞳に、胸が痛む。
それでも私を振りほどかないのは、まだ彼の理性が残っている証拠だ。
「ちょっと、何をしていらっしゃいますの!」
必死になおも魔力を流しこもうと試みていると、周囲の喧騒を物ともせず凛とした声が聞こえた。
こちらに駆け寄ってきているのは、アルベルティーヌ様だ。
「決闘は神聖なもの!いくら決闘の原因が貴女とは言え、邪魔だてして良いものではありません!」
吊り上がった眉をさらにいからせて、アルベルティーヌ様は私を叱責する。
そうか……第三者から見れば、私は決闘に割って入った人間になるのか。
だけど今はそれどころじゃない。
「アルベルティーヌ様、危険ですので下がっていてください!」
「貴女が言うことではありませんわ!」
ごもっともなんだけどぉ!
ここで私が離れたら最後、ファリオンがどうなるか分からない。
可能ならアルベルティーヌ様には私に構ってないで観客全員避難させてほしいくらいだ。
「アカネ嬢!これは決闘です!貴女が間に入ろうと止められるものではありません!」
さらに、何を思ったのかジェラルド様までそんなことを言い出して、また手のひらに火球を浮かべてこちらへ放った。
私もアルベルティーヌ様もいるにも関わらず、だ。
あまりのことに一瞬頭が真っ白になる。
ファリオンが庇うと信じてのことだとしてもあり得ない。
たとえこれで勝利したとしても、けちのつく内容だ。
そこに王族の誇りは無い。
「きゃあ!」
「アルベルティーヌ様!」
恐怖に悲鳴する彼女を抱き寄せ、急いで光魔術を展開する。
その直後、間近で爆音が響いた。
熱気と衝撃は防げても、音までは防げない。
しかしジェラルド様はさらに追撃を繰り出しているようで、雨あられと火の玉が降り注ぎ続ける。
この調子ではまた客席にまで誤爆しそうだ。
ファリオンがこんな状態で、さらにジェラルド様まで正気とは思えない振る舞い。
こうなったら私が全てを守るしかないだろう。
ファリオンへと流し込む魔力はそのままに、バリアを自分たち、そして客席にまで展開する。
光り輝く壁が広い闘技場を覆うのを見て、逃げ出そうとしていた観客まで足を止めて歓声を上げた。
いや、見てないで逃げられる人はさっさと逃げてほしい。
「あ、貴女……何を」
「アルベルティーヌ様、取り込み中です。死にたくなかったらそこでじっとしててください。そうしてくださる限りは守ります」
唖然としているご令嬢にそれだけ告げて、私の腕をやんわり振りほどこうとしているファリオンに向き直った。
その銀色の瞳は濁ったように翳り、私を見下ろす眼差しには温度が無い。
さっきまで私を守ろうとしてくれる理性があったのに、私のことまで憎らしく思い始めているようだ。
「……冗談じゃないわ」
魔王の魂がなんぼのもんだか知らないけど、たかだか魔術具の力なんかに屈して、私のことをそんな目で見るなんて。
「これまでの束縛なんだったのよ!愛想つかされたくなきゃさっさと目を覚ましなさい!」
ファリオンの襟首をひっつかみ、めいっぱい背伸びをしてその唇を奪う。
目を閉じる間際、その銀色が丸く見開かれたのが見えた。
闘技場内に広がるどよめきがさらに大きくなるのを聞きながら、ねじ込む舌ごしに魔力を流し込む。
ただ抱き着いただけの魔力じゃきかないなら、経口摂取だ。
それが効果的かどうかは知らない。
ただ、私を振りほどこうとしていたはずの腕が、私の背に回され……
「ん、んん!?」
どう考えても正気に戻っているとしか思えないほどねちっこいお返しをされた。
そうじゃない、そうじゃないでしょう!?
=====
「信じられませんわ」
闘技場の控室。
スチュアート様が呼んでくれていた宮廷医が、念のためということで私やアルベルティーヌ様を診察してくれていた。
スチュアート様はそれを見守り、すでに診察済みのファリオンも同席している。
そしてこの部屋にもどってからこっち、私はずっと彼女からお説教を受けていた。
「殿方同士の決闘を邪魔立てした挙句、あんなダメ押しの破廉恥な悪目立ちをなさるなんて」
「……はい」
私の声は小さい。
やらかしてしまった自覚があるからだ。
決闘の邪魔をしたこと。
それはファリオンの状況を思えば仕方なかった。
空気の読めない子という誹りくらいは受け入れる。
公衆の面前のキスも、冷静になればめちゃめちゃ恥ずかしいけど、若気の至りといつか笑い話にできるだろうレベルの黒歴史だ。
だから、アルベルティーヌ様からのお叱りの内容自体はあまり応えていない。
じゃあ何がまずいって、観客席全体を覆った光魔術だろう。
私の魔力がとんでもないことは隠してたのに。
カデュケートの学園でも、力を絞りに絞ってできるだけ無難な生徒を演じていた。
この学園では魔術の授業自体受けていない。
だけどこの立ち回りですべてが無駄になった。
いや、死者がでるよりましなんだけどね。
「しかし、アカネのおかげでジェラルドとヴォルシュ侯爵、二人とも魔術の暴走があったにもかかわらず、死傷者はゼロで済んだ」
そう言ってフォローしてくれたのはスチュアート様だった。
ジェラルド様とファリオン、二人とも観客を巻き込みかねない魔術の行使をしたことになるけれど、それは決闘で熱くなったゆえの暴走として認識されている。
それも含めての自己責任観戦なので、その点はさほど責められるところではないらしい。
「それに……仕切り直した後、ジェラルドの行動を封じたのは紛れもなくヴォルシュ侯爵の実力だよ。炎魔術で足場を潰し続け、逃げ場をなくしたうえで目の前に火球をつきつける……見事だった。アカネの介入がなくともこの勝敗は覆りようがなかっただろう」
「恐れ入ります。殿下」
ファリオンがそう言って礼をとる。
その瞳には、もはや翳りは無い。
私の変則魔力渡し(キスとは言わない)の甲斐あって、ファリオンは正気を取り戻した。
スチュアート様の言うように、仕切り直した後は危なげなく勝利をもぎ取った。
おかげで彼は大変、上機嫌だ。
決闘に勝利したんだから機嫌がよくなるのも当然だろう。
そう、決闘に勝ったが故の上機嫌である。
ニヤニヤしながら私を見ているなんて気のせいだ。
「しかし、どうやらこの決闘の勝者がアカネだと言う観客もいるようで」
「それは無理もない。派手なことをしたからね」
ファリオンとスチュアート様の会話に、思わず頭を抱える。
決闘の当事者じゃない私が勝者って何なんだ。
そんな私を見て、アルベルティーヌ様が溜息をついた。
「……差し出がましいことを申し上げますが、あれは伯爵令嬢の魔術ではありませんわ」
へ?
突然の否定。
口を開ける私をよそに、スチュアート様とファリオンが興味深げにアルベルティーヌ様に視線をやる。
「ほう、それはどういうことかな?」
「言葉通りですわ。あの状況だけを見れば、頭に血が上ったお二人を止めるために伯爵令嬢が間に入り、周囲を守るため光魔術までも展開したかのように見えるでしょう。しかし、もし伯爵令嬢があのような魔術の使い手であるのなら、カデュケート王家がしかるべき遇し方をしているはず。そうでないのであれば、伯爵令嬢はその実力をお持ちでない。その事実を覆してはなりません」
……ええっと?
どういうことだと首を傾げる私をよそに、スチュアート様が声をあげて笑う。
「いや、これはいい。さすが侯爵令嬢だ。こちらがなんと説得したものかと思っていたというのに。まさかご令嬢の口からそのような言葉を聞けるとは」
「……口が過ぎましたわ。お許しを」
「いいや、明確なお言葉を聞けて安心したよ。まさかオベール侯爵家を味方につけるとは、やるじゃないか、アカネ」
「へ?」
「誤解されては困ります。わたくしは伯爵令嬢の味方になどなった覚えはありませんわ」
ついにアルベルティーヌ様が立派なツンデレヒロインになった。
「混乱を避けるために、誤った噂話は訂正せねばなりません。よろしくって?伯爵令嬢。貴女はごく普通のご令嬢。立場を間違えること無きよう願いますわ」
そう言って、診察を終えたアルベルティーヌ様は退室していった。
「……えっと、つまり?」
「アカネが平凡無害な令嬢であるという事実は、侯爵令嬢のお墨付きだということだよ」
なんか喜びづらい……
「まあ、そのあたりは私も対処を考えておくとしよう。ひとまずは、生徒たちを……我が国の民を守ってくれたことに感謝を。そして弟の暴挙に関する謝罪を」
「もういいですよ、謝罪は決闘開始前にも聞きました」
「そうはいかない。ジェラルドはアカネに向かって二度も攻撃魔術を放っている。一度目の誤射は決闘の末のことだ。まだ大目に見ることもできるが、二度目の攻撃は明らかに決闘が中断されている最中のもの。アカネは国賓だ。これはさすがに看過できない」
「それは……」
スチュアート様の表情は厳しい。
確かに、ジェラルド様はずいぶん攻撃的だった。
普段の柔らかい物腰がどこに行ってしまったのかと思うほど短慮に見えたし、本当は私のことなんて好きどころか嫌いなのでは疑いたくなるような行動だった。
「ジェラルドはしばらく謹慎になるだろう。学園への復帰も来年以降となるはずだから、アカネへ接触することもほとんど無くなるはずだ。安心してほしい」
「……はい」
スチュアート様はそう請け合ってくれたけれど、私はどうも信じきれなかった。
決闘の決着がついた時、ジェラルド様の瞳には悔しさよりも、妙に高揚した輝きが灯っていたように見えたからだ。
「こちらのお嬢様もお怪我はなさそうですな」
「そうか、助かった」
年配の医者の言葉で、私の診察も終わる。
スチュアート様とファリオンは後始末があるとかで、帰路に就くのは私だけ。
しかし控室の外に待っていたのは、護衛だけでなく……
「ナディア様?」
いつもご覧いただきありがとうございます。
更新が遅くなりましてすみません。
私生活が少しばたついておりました。
またぽつぽつと更新再開していこうと思います。




