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魔王の隣で勇者を想う  作者: 遠山京
第六章 令嬢と盗賊

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137そして魔王は少女と出会う

<Side:リード>




「ここは……?」



村についてすぐ意識を失った俺。

次に目を覚ました時、そこは馬車の荷台だった。



「目を覚ましたか」



御者台に座る男がこちらに気付いて声をかけてきた。

荷物の間に押し込まれていた俺は、あちこちぶつけながら体を起こす。

じゃらりと音がして、首輪がはまっていることに気付いた。



「これは……何だよ、これ!ジャンはどこだ!」


「落ち着け、傷に触るぞ」



男は慌てたようにそう言って、水を差しだしてきた。

喉を潤して少しだけ落ち着いた俺に、男は自分を商人だと言った。



「奴隷商か?」


「いいや、私は奴隷は扱わないよ。大きな街と村の間を行き来して、物資を提供している」


「何で俺がその商人の荷台に鎖つけられて乗せられてんだよ」


「君は売られたんだよ」


「ジャンに!?」


「それなら私も困らなかったんだがね」



商人は一つ一つ、状況を説明してくれた。

俺が村に着いた時、ジャン達は既にいなかったらしい。

応急処置を済ませ、すぐにでも治癒術師に見せる必要があるということで屋敷へ戻っていったそうだ。

ジャンは痛みにうめきつつも、ずっと俺のことを気にしていたという。

怪我を見れば俺が気にするだろうからすぐに治療をと騎士に説得されて、その場を離れることにしたらしい。


そしてその後に戻ってきた俺の姿を見て、村長が覚えた感情はといえば怒りだ。

魔物被害に関して、結局なんの対処もなされない。

村にとっては一刻をあらそう事態だというのに、領主が大怪我を負って帰ってしまった。

その原因を作ったのは俺だ。


そこで村長は、ちょうど村に来ていた商人に話を持ち掛けたらしい。

この少年を買い取ってほしいと。

魔物被害で食べ物や人手を失っていた村は貧しく、必要な物資を購入しようにも元手が無かった。

その代金代わりに俺を差し出したのだ。



「ふざけんな、俺はジャンの奴隷だぞ!何で村長が勝手に売るんだよ!ジャンが知ったらどうなると……」



そこまで言って気付く。

ジャンが気付く方法などあるだろうか、と。



「君と一緒に騎士がいたんだろう?彼がいるから大丈夫だと判断されたようで、村に伯爵側の人間は一人も残っていなかった。ああ、あの騎士の遺体は村長が伯爵家に引き渡すと言っていたから安心していい。彼は一人でなんとか村へ帰り着いたが、すぐに亡くなった……そういうことになるそうだ」


「……俺は死んだことにされるのか」


「死んだのか生きているのかも村長は知らない。そうなるだろうね」



脱力する俺を商人は気の毒そうに見た。



「すまないね。あの村は本当に酷い状態で…かといって対価が無いなら私は何も売れない。しかしそれでは見殺しにするようなものだと……」



商人はずっと何かを言い訳がましく語っていたが、俺はほとんど聞いていなかった。

村が俺を対価に何を買ったかしらないが、おそらく奴隷の相場よりはずっと安い。

俺の外見だと相場の十倍以上の値がつくそうだから、結局この商人は損得勘定した結果、取引に応じただけだ。



「……ジャンのところに返せ」


「無理だ」


「お前が損するからか!知るかよ、てめぇがやってんのは盗人と変わんねーぞ!」


「それには返す言葉も無いが。戻らない方が良い。伯爵さまの為にも」


「は!?なんでジャンの為って…」


「今頃、伯爵家は暴動への対処に追われているだろう。伯爵さまへの抗議活動が各地で起きている」



思わぬ言葉に、声が止まった。



「……なんで」


「ラシュレー伯爵さまはもともと民衆からの評判が良くなかった。美術品や奴隷を集めるのに散財していたからね」



確かに…領民から税金を集める立場である領主が、美術品のように実用性が低く高価なものを買い集めるのを良く思わない民は多い。

文化財の保護や芸術家の支援という意味もあるのだが、今日食べるパンの為に働いているような人間にとってはどうでもいいことだ。

ましてや綺麗なだけの奴隷など、道楽と言われても仕方がない。



「そこに今回の事件だ。奴隷を守って大怪我。仕事は止まり、民衆の生活には大きな支障が出る。あの村だってそうだよ」


「そん……だって……」



ジャンが優秀な領主でないことは知っていた。

でもまさか、そこまで立場が悪くなっていたとは。

しかも、俺のことがトドメになったっていうのか?

俺が、ジャンの立場を決定的に悪くした?



「君が事を大きくした責任を少しでも感じるなら。そして伯爵さまのことを思うなら。火に油をそそがないよう、離れるべきだ」



俺のことは、国も探している。

今の状況で戻ればどうしたって俺は目立つだろう。

俺が何者か分かれば。

そんな人間を奴隷にしていたと分かれば、ジャンの立場は……

俺の出自など、この商人は知らない。

つまり、それを除いてもジャンは今かなり危うい状態だということだ。



「パラディアで売ると伯爵に見つかってしまうかもしれない。他国の奴隷商に君を引き取ってもらうよ」



最後に商人はそう言った。

俺につけられた首輪はおそらく家畜用のもので、魔力封じも鍵穴封じもされていない。

でも俺はもう、抵抗しなかった。


奴隷騎士。

何が騎士だ。

結局また守ろうと思っていた相手に大怪我を負わせて、むしろ俺が守られて。

それどころか、追い詰める結果にまでなった。


高い魔力があっても使いこなせなければ意味が無い。

力があっても守れなければ意味が無い。

もし体を守れても、うまく立ち回らせてやれなきゃ意味が無い。

俺の存在そのものが害になるなら…居る意味が無い。

俺は結局、ジャンのことを守れなかった。


デイジーの時もそうだった。

守りたいなんて口だけで、結局それだけの力は無かった。

盗賊なんかに目の前でかっさらわれて。

だが、シルバーウルフは殺生を禁じている。

もしかしたら首領のもとでデイジーは幸せに暮らしているかもしれない。

少なくとも俺より彼女を守るだけの力があるし、俺みたいに彼女が嫌っている王族との繋がりを作ってしまう危険性もない。

それなのに彼女を探したいなんて考えているのは、俺のただの自己満足なんじゃないのか。

探しに行ったりしたら、彼女の平穏をまた壊してしまうだけなんじゃないのか。


両親の為、今まで俺を大切にしてくれた人たちの為。

ずっと考えないようにしていたことが頭をよぎる。

俺は……存在しない方が良かったのではないか。

そんな考えが。


言葉すら返さなくなった俺が流石に憐れだったのか、商人は立ち寄る先々でジャンに関する情報を集めては報告してくれた。

友人が多かったせいか、あちらこちらにジャンの噂は転がっていて、とりあえず後遺症はあるが元気そうであるということは伝わって来る。

しかし同時に、民衆からのバッシングも耳に入る。

例の村が旗頭となり、領主交代の運動を起こしているそうだ。

その情報が、俺に追い打ちをかけた。




=====




国境近くの宿場町で、商人はやっと俺の買い手を見つけた。

カデュケートで活動する薄汚い奴隷商人だ。

本当はもっと大きな奴隷商会へ高値で売りたかったようだが、ジャンの顔が想像以上に広いことを知り、下手な奴隷商だと知り合いの可能性があると判断したらしい。

それでも一応儲けはそれなりに出たようで、商人は笑顔で金を受け取っていた。


「おら、出発は明日だ。それまでここに入ってろ。大人しくしてろよ!」


奴隷商人は現在の拠点らしいボロ小屋に俺を連れて行くと、奥の部屋へ押し込んだ。

大人が三人眠るにも精一杯なその狭い部屋には、俺のほかに五人の子供たちが入れられていた。

どの子供も痣だらけで、部屋の中は異臭で満たされている。


今度の奴隷商は今までの中でも特に扱いが酷そうだとその時点で分かったが、もうどうでもよかった。

ここで死のうが、どうでも。


あの声が聞こえたのは、そんな時だった。



『絶望の淵を覗きし者よ』



その声は語った。

力をくれると。

願いを叶えると。


もうどうでもいい。

いつ死んでもいい。

でももし……最後のチャンスがあるのなら。


今度こそ俺を必要としてくれる誰かの為に生きてみたい。

存在していいのだと感じたい。

この人の為に生きているのだと言えるだけの相手に出会い、何かを為したい。

多くの人間に守られ続けてきた俺が、それを誰かに返せるように。


魔王になることは怖くなかった。

結局は高い魔力と、魔物を操る力を得るだけだ。

もし力を手に入れられるなら、この持て余し続けた能力を操れるようになったなら、魔王になったとしても誰かを守るために力を使おう。


だけどもし、俺が魔王の運命に飲まれることがあるのなら。

その時はこれ以上誰かを傷つける前に死んでしまおう。

そうすれば魔王を自分の手で倒せる。

こじつけだとしても、そうしたら最後に誰かを守ったことになるだろうか。


そんな思いで魔王を名乗る魂を受け入れた。

体を焼く痛み。

急激な体の変化に、全身が悲鳴を上げていた。

翌日、様子を見に来た奴隷商人は、横たわって呻く俺を見て、忌々し気に舌打ちをしていた。

病気持ちをつかまされたと思ったのだろう。

正直、こんな環境に置かれていれば健康な人間でもそのうち病気になると思うが、男は俺を売った商人を悪く言うだけで奴隷の扱いを変えるつもりはなさそうだ。


奴隷商はセルイラ領へ向かった。

間もなくセルイラの春祭りがおこなわれる。

裏路地には闇市が立ち並び、この国では少ない奴隷を求める人間も集まって来るそうだ。

俺のことは、なんとか死ぬ前に売り払いたい。

それまで生きていろと勝手なことを言っていた。


関税の支払いを惜しんだ奴隷商人は、俺達奴隷を一度セルイラの外へ繋いで普通の商人として入領し、セルイラ内にいる情報屋へ渡りをつけて抜け道から奴隷を一人ずつ領内へ入れることにしたらしい。

奴隷商にかけられる税金は高い。

情報屋への料金の方が安く上がると判断したようだ。

この男は奴隷の扱いが悪く、安く買いたたかれるタイプだから金回りが悪いのだろう。


奴隷商人は俺達を林の中にある木の幹につないで、入領手続きに向かった。

旅の間雇っていた護衛も、契約はここまでだとか居なくなった。



「おいおい……俺らだけかよ」



見張りも無く奴隷を外に置いたりすれば、魔物や盗賊に襲われるかもしれない。

そのリスクを飲んだ上での選択なのだろうが、こちらは命に関わる話だ。

洒落にならない。

今の俺は剣も無ければ体にろくな力が入らない。

魔力がかき乱されて魔術も使えないから、まともな応戦ができないのだ。


運よく誰に見つかることもないまま、奴隷商人が戻ってきた。

一番高値がつくと踏んでいるらしい俺を真っ先に安全圏へつれていきたいのだろう。

奴隷商人は俺の鎖を引っ張ったが、俺は踏ん張って抵抗する。



「てめぇ、今更何してんだ!」


「他の奴らも連れて行けよ!危ないだろ!」


「全員連れて行ったら目立つだろ!抜け道は二人ずつしか通れねぇ契約だ!」


「ならせめて少しの間でも護衛くらいつけろよ!こいつらが魔物に食われたらどうすんだ!」



俺以外の奴隷は相変わらず何も聞こえていないようにぼんやりしているか、黙って震えているだけ。

これまでこの奴隷商人に殴られまともな食事も与えられず、抵抗する気力が残っていないのだ。

こんな奴らが魔物に見つかったら、あっという間に餌になる。

元気な奴だって鎖につながれてちゃまともな抵抗はできないだろう。

たとえ奴隷であっても、すでに生きる気力を失った奴らであっても、ここで見殺しにすれば俺は一生後悔する。



「んな金ねぇよ!てめぇが売れりゃ元はとれる!いいからさっさと来い!」


「ふざけんな!他の奴らは死んでもいいってのか!」


「生きてりゃ連れて来てやるよ!ちと休憩してからになっから、何人かは食われるかもしれねぇけどなぁ!」



頭がカッと熱くなった。

奴隷だからって生死はどうでもいいのか。

やっぱり一般的な奴隷への意識っていうのはそんなものなのか。

人間を所有物として扱うのは同じでも、ジャンはその命を軽んじたりしなかった。


奴隷はずっと主人のもの。

どこへ行くにも何があっても、主人の所有物であり続ける。

それはいつ使い捨ててもいいなんて意味じゃない。

ずっと主人が責任を持って面倒を見るということだ。

その主人の側にずっといられる権利を持つということだ。

もし売られるなら、このジャンの価値観を俺から当てはめてでも奴隷になりたいと思えるような相手がいい。


必死に抵抗しても、体は思うように動いてくれない。

万全なら一秒でのせるような男相手に、力任せに引きずられてしまう。

この街での拠点は大きな通りを抜けた先のようだ。

今は朝市に賑わう時間。

せいぜい人目につくようあがいてやる。


それで憲兵にでも見つかれば、こいつが闇商人だと気付いてもらえるかもしれない。

まともな対応をする憲兵や領主なら、あの奴隷たちはすぐ保護されるはずだ。

これが今できる、俺の精いっぱいだった。



「おら、さっさと歩け!」



焦れた奴隷商人は俺を蹴り飛ばした。

うまく受け身がとれず、大通りの真ん中に倒れこむ。

周囲を歩いていた市民が驚いたように声を上げた。



「ったく、せっかく売りに出す時期だっていうのに…」



俺の体調がすぐれないこと、さらに怪我を作ってしまったこと。

後者は己のせいだというのに、奴隷商人は忌々し気に俺を睨みながら近づいてきた。

人目を集めていることに気付いたのか、慌てたように俺の鎖を引っ張りだす。

そうはいくか。


できればこいつは闇商人だと叫んでやりたいが、首輪がしまってまともに声が出ない。

せめて足を踏ん張り、少しでも長くここにとどまらなければ。

それだけを考えて泥臭い抵抗を繰り返す俺に、一人の少女が近付いてきたのはその時だった。


一目見てわかる、おそらく貴族であろう少女。

しかし貴族令嬢にありがちな傲慢さを見せることなく、彼女は俺を真っすぐ見つめて視線を合わせた。

膝をつきそうになっている俺に合わせて、ワンピースが汚れるのも構わず屈んでまで。



「私はアカネ」



奴隷になってから。

名乗られたのは、二回目だ。

真っ直ぐ俺を見つめてくる濃茶の瞳は、何故だか潤んだようにも見える。

その視線に気圧されて、思わず後ずさった。


彼女は俺が誰か分かって声をかけているのだろうか。

貴族の子供だし小さい頃に会っている可能性もある。

だとしたら話し方を考えないといけない。

ええと、人前ではどう話していたんだったかな。



「貴方さえ嫌じゃなかったらうちに来ない?」


「…僕を買うってこと?」



ああ、確かこんな感じだ。



「その言い方はあんまり好きじゃないけど、でも貴方がそこの人の商品ならそうなっちゃうね」



そう言う少女に売り込みをかける奴隷商人。

馬鹿だな、いつ見つかるかも分からない場所で。

いや、下手をすればこの少女はここの領主令嬢だぞ。


ハキハキと奴隷商人に言葉を返す、アカネという少女。

こんな普通の令嬢まで奴隷を買いたがるなんて世も末だと思っていたのだが、アカネは俺本人と話をしたいのだという態度を崩さない。

ふと興味がわいた。

俺の容姿が気に入ったのか。

それとも……


彼女は俺の主人に足る人物だろうか。

奴隷商人の下手な商売トークに苛立ち気味の彼女へ改めて視線を向けた瞬間、これまで覚えたことの無い感覚に襲われた。

冷え切った体でぬるい湯に浸かった時のような、激しい鍛錬の後にベッドへ倒れこんだ時のような。

魔王の魂を受け入れてからずっと続いていた全身の痛みが和らぎ、眠りに落ちそうなほどの心地よさが全身をなぶった。


これは何だ。

彼女は誰だ。

分からない、分からないが魔王の魂が言っている気がする。

彼女の側を離れるなと。

俺の願いを知っているはずの魔王の魂がそう言うならば。

きっと彼女は俺が守るべき人間なのだろう。


かすかに甘い香りを伴うその気配を追いかけるうちに、いつの間にかアカネの首筋に顔を近づけてしまっていたらしい。

同時に剣の音が聞こえて反射的に身を引いた。


あぶねぇ、アカネの後ろに護衛が居たのか。


まぁ、護衛が剣を抜きかけるのも当然だ。

今のはどう考えてもアウトな行動だった。

アカネは少し顔を赤くしながらも戸惑っているだけで、不快そうな表情は見せていない。

しかし、この容姿を気に入って声をかけてきたしては反応が鈍い。

やっぱり容姿が理由じゃないのか。


それにこの気配。

まるで魔王の魂を寝かしつけるような甘い気配は、きっと気のせいじゃない。

思わず口元に笑みが浮かんだ。



「僕のことを裏切らず、側にいると約束できますか?」



アカネは目を丸くする。

当然だろう、そんな束縛めいた言葉を寄こされるとは思わないだろうから。

だが、もしこれが魔王の魂の導きなら。

俺にチャンスを与える為、守るべき相手と引き合わせてくれたのだとしたら。

俺は絶対この少女から離れない。



「わかった。あなたを裏切らないし、少なくとも私が家を出るまでは側にいる」



現実的な返答だ。

唐突な問いかけにも、真剣に答えてくれるらしい。

ただそれだけでも、好感が持てた。

彼女が俺を買おうとしている理由は分からない。

だが、そうまでして俺が必要だと言うのなら…彼女の手をとろう。

そしてこの少女の一生が穏やかであるように守り続けよう。

貴族の少女だ。

いつか嫁に行ってしまう。

それならやっぱり俺は奴隷でいい。

奴隷は所有物。

どこへ行くにも連れていける存在。

彼女は『この家を離れるまでは側にいる』と言ったが、家を離れる時にも連れて行こうと思えるだけの存在に、俺がなればいい。


もう少し冷静さが俺に残っていたなら、馬鹿げていると思っただろう。

でもその時の俺には、そうとしか考えられなかった。

彼女の側に居る為に必要ならば、こじつけでも構わない。


この少女を守る。

彼女の人柄はまだはっきり分からないが、間違えることがあれば諫め、助けが必要な時は助けよう。

今度は命だけでなく、平穏な生活そのものも守ると決めた。


それでも、もし…

それでも彼女が俺を裏切ったり、諫められないほどの悪事に手を染めることがあれば……


もういい。

その時にはこの身を自ら滅ぼして、今度こそ魔王を打ち倒した勇者になろう。

誰も知らない。

誰を守れたかもわからない。

だけど誰かを傷つけることも無い。


そんな積極的なのか消極的なのか分からない覚悟でその手をとった俺は、まさかその少女に嵐のように振り回されるとは思ってもみなかった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

回想はここまでですが、ストック切れましたので次回更新は1月5日、その後はまた週二回更新に戻ります。

すみません…

更新曜日を決めましたら活動報告や小説説明に書いておきます。

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