110誘拐じゃないみたいです
もはや逃げられないと思っているのか、ファリオンは私を下ろした。
…これなら隙を見て逃げ出せるかな。
確かに頭上の出口は高い場所にあるけれど、私には風魔術がある。
この程度の高さを浮くくらいなら十分可能だ。
改めて周囲を見渡せば、そこは暗く湿った土の洞窟だった。
下水蓋はフェイクなのか、水路は全く見当たらない。
そういえばさっき"シルバーウルフの秘密の抜け道"とか言ってたっけ…
王都の真ん中を盗賊がうろついてるなんておかしいと思ってたけど、こんな道を作られてたのか。
王国の衛兵、しっかりして…
王城の中にまで通路が及んでいそうで心配だ。
リードがここまで追いかけてくるのはちょっと難しそうだな…
ヒナちゃんがいないと私の居所もわからないだろう。
魔術を使えば別なんだろうけど、周囲の目もあるし確実に私と落ち合える保証が無ければ魔王化待った無し。
きっと慎重に……いや、なんか私を守るっていう為なら後先考え無さそうで怖いけど、そこは冷静になってくれてると信じたい。
というわけで、私は自力で脱出する必要があるわけだ。
まあ、落ち着いて風魔術を練りさえすれば簡単だね。
いつでも抜け出せるという安心感から、私はとりあえず気になっていることを聞くことにした。
もうめんどくさいから敬語は抜きだ。
「ファリオン、盗賊団抜けたわけじゃなかったの?」
「抜けたなんて一言も言ってないだろ」
抜けてないのに戻って来るとも思わないだろ。
「じゃあ何で戻ってきたのよ」
「むしろ、何で俺が戻ってこれたと思う?」
思わぬ問い返しに虚をつかれる。
何でって…
「あの短剣は確かに俺が持ってたものだ。あれから俺の出自を知り、お前の身元を調べ、今回の流れを作ったのは俺じゃない」
そしてファリオンはさらりと告げた。
「全て首領のお考えだ」
思わず絶句する。
首領って何者?
何でこんなことを?
どうしてこんなことが?
頭の中に多くの疑問が湧いては消える。
「…首領の命令…それが、戻ってきた本当の理由?」
「ん?ああ…アカネに興味がわいたからっていうの、本気にしたか?」
「してない!」
意地悪く笑われて、思わず噛みつくように怒鳴ってしまった。
「本当か?」
「いや、本当に。ハッキリ言ってファリオンの言葉は何かずっと胡散臭かったし…」
「……」
声のトーンを落として冷静に続けると、ファリオンはちょっと複雑そうな表情で黙り込んだ。
「……それで、首領がファリオンを貴族に戻した理由は何なの?」
「アカネを攫うためだ」
その一言に呆気にとられる。
…まさか、まさかこんな貴族社会を揺るがす大事にしておいて、その目的が私!?
「何で!?」
「さぁ、理由までは…」
「私が少人数で移動してる時を狙って盗賊団の総力を挙げて武力行使に出ればもっと簡単に攫えたでしょ!?」
「そこかよ…つかアカネって本当に伯爵令嬢なんだよな?」
発想が時々イイトコの娘っぽくないんだよな、とファリオンが小声でつぶやいた。
そんな寝言はスルーして、私は大きく溜息をつく。
まぁ、確かに…コッセル村で私と出会ったという話のでっちあげでは、ファリオンを保護した老婆という登場人物が存在した。
それらのアリバイを作るには一人だけじゃ難しい。
シルバーウルフみたいな巨大組織のの首領が協力していたのなら、そりゃ可能だろう。
…頭が痛い。
大きな盗賊団の首領が何で手下を貴族社会に戻すなんてことをしてまで私に会いたがったのかはさっぱりわからない。
わからないけど、ロクな目に合わなさそうなのに素直についていく理由がない。
「悪いけど、私は帰らせてもらうね」
そう言いながら体に魔力を巡らせ…ようとして違和感を覚える。
「…え?何コレ」
魔力がうまく動かない。
何かに蓋されてる感じ。
この感覚には…ちょっと覚えがある。
戸惑う私をニヤニヤ眺めていたファリオンに視線を向けた。
「鈍いな、アカネ。まだ気づいてなかったのか?」
長い指が首をトントン突いてくる。
そしてようやく気付いた。
いつの間にか首に重い金属質の何かが巻き付いていることに。
「…これ…」
「あんたの魔力が化物級なことも首領は知ってる。対策くらいしてるさ。大変だったんだぜ、ドラゴン制御用の首輪を人間サイズに仕立て直すの。俺がこっちに来るだけならすぐできたのに、それがなかなか出来上がらなくて時間かかっちまった。ペットドラゴン用のものじゃ効かないかもしれないなんて首領が言うから、A級ドラゴン討伐に使用されたこともあるっていう特別性をわざわざ盗んで鋳直す羽目になった。あんたそんなに魔力強いのか?」
うわぁ、私またドラゴン用のもの身に着ける羽目になってる!
しかも盗品!
そして鋳直したってことは現物を返却することもできない!
なんてもの付けてくれたんだ!
あまりのことにパニックを起こしていたせいか、まったく気づいていなかった。
魔力はどれだけ放出量を多くしようとしてもかき乱されるようで、魔術として形にできる気配が無い。
「…うわ、漏れてるだけでも魔力量すごいな。こりゃ確かにペット用じゃ無理だったかも。何者なんだよ、アカネ…」
「知らないわよ!これ外してよっ、どうやって嵌めたの!?全然外れないぃ」
魔力でダメなら物理的に実力行使だ!と掴んでみたものの、チョーカーのように首にピッタリはまっているそれはどれだけ引っ張ろうと外れる気配がない。
「無駄だって。それは一度はめたら首領が持ってる鍵使わないと、俺でも外せない。無理に外そうなんて考えるなよ。A級ドラゴンでも壊せないアダマンタイト製なんだから」
「出た!アダマンタイト!」
ファンタジー御用達の超かったい金属!
ドラゴンでも壊せない金属どうやって加工してんのよ!
「つか今慌ててるってことは、今初めて魔術使おうとしたのか?おいおい、なに無抵抗でのんきに攫われてんだよ」
「攫った側が言うな!パニック状態で魔術使おうとしたら危ないんだからね!暴発に巻き込まれたくないでしょ!?」
「おお、俺のこと心配してくれてたわけだ。やっさしー」
「うっさいわね!いつの間にこんなのつけたのよ!」
「あんたを抱えてすぐだよ。本当に気付いてなかったのか…」
「可哀そうな子を見るような目やめて…」
普通に傷つく。
一通り騒ぎつかれてテンションが下がった私に、ファリオンは肩を竦めた。
「ま、これで状況は理解できただろ?」
「ファリオンの性格が悪い…」
「言うに事欠いてそれかよ。あんたの大好きなお兄様が過保護なだけで、俺は普通だ」
「普通ではないと思う…」
わざわざ"大好き"の部分を強調してくる所とか。
せめてもの抵抗として言葉で噛みつき続ける私に、ファリオンはパタパタと手を振った。
「あー、やめだ、やめ。いつまでもこんなトコで言い合ってたって仕方ない。時間稼ぎのつもりなら諦めろよ。性格悪い男が気まぐれであんたを逃がしてやるなんて思ってないだろ?」
魔術は使えない。
身体能力は並みかそれ以下。
そんな私に物理的な抵抗の余地がない事は分かっていた。
唇を噛んで黙る私を満足げに見て、ファリオンは恭しく手を差し出した。
「さ、行こうか。伯爵家のお姫様」
この二週間で勉強した成果か、その仕草だけを見ればどこかの貴公子のようだ。
…ちょっとぎこちないけど。
「逃がしてもらえないとしても、大人しくその手を取る義理も無いわ」
顔を背けてそう言ってやる。
首領が私と話したがってるなら、少なくとも殺すわけには行かないだろう。
強引に担ぎ上げられたら私には抵抗の術なんかないけど、大人しくついていくのも癪だ。
しかしファリオンは手を下ろさないまま意地悪く笑う。
「アカネ、お前忘れたのか?ここがどこなのか」
その言葉に視線を戻す。
ここ?
ここは…シルバーウルフの、秘密の抜け道。
「あんたも知ってんだろ。俺は、こう見えてシルバーウルフの中でもお行儀がいい方だって」
その言葉で思い出すのは、ファリオンと初めて会った時の事。
ファリオンと一緒に居た柄の悪い男達は、姿を見られたと言うだけで躊躇いなく私を殺そうとした。
つまり、そういう人がそのうちここを通る可能性も…
サッと血の気が引いた。
「あんたは大事な客だ。そう証明できる俺がこの場を離れたら…」
もう皆まで言われずとも分かっている。
唇を引き結び、黙ってファリオンの手を取った。
ここで彼の機嫌を損ねて置いて行かれる方がまずい。
首領が会いたがっているという以上、本当に置いていったりはしないだろうけど、他の盗賊にちょっかいを出されて少し痛い目に合ってからでないと迎えに来ないかもしれない。
…話をしたいだけなら、口さえ動けばいい、なんて…
いや、流石にそこまではしないかな…
この人は冷淡だけど、自分なりの正義を持っている。
あの夜、殺されそうになった私をわざわざ守ってくれたことからもそれは確かだ。
それならその正義が私にとってそこまで悪いものじゃないことを信じて、とりあえずついて行くしかない。
「それでいい」
ファリオンは上機嫌にそう返し、私の手を引いて歩きだした。
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…もう二時間も歩いてる…
十六時を示す懐中時計をしまい込み、ため息を呑み込んだ。
外の光が全く届かない深い地下道は広く、迷路のようだった。
いくつもの分かれ道をファリオンは迷いなく曲がって歩いていく。
これは置いて行かれたら本格的に遭難するな…
途中までは頭で地図を描いていたけれど、これだけ歩くともう無理だ。
もはや方向感覚なんてとっくに失われていた。
「…よく迷わないね」
「地下通路の地図は頭に叩き込んである。ま、全体像を教えてもらえてるのはほんの一握り。ほとんどの奴は主要な一部の通路を知ってるだけだな。それ以外の道を通ろうとすれば迷うって知ってるから、道を外れたりしない。今俺たちが歩いてるのはその一握りしか知らない道だ」
確かに、二時間歩いていても誰ともすれ違わなかった。
まぁ、この道を利用している盗賊があんまりいっぱい居ても困るんだけど…
それにしても、ファリオンはこの通路の全体像を教えてもらってる一握りに含まれてるってことか。
リードがヴェルナー君のことを『首領に目をかけてもらってる』って言ってたけど、ファリオンもきっとそうなんだろう。
「そういえば、ヴェルナー君は元気なの?」
「元気にしてる。心配しなくてももうすぐ落ち合えるさ」
やっぱりヴェルナー君も未だにシルバーウルフの一員か…
もうすぐ落ち合えるっていうのはアジトに連れて行かれるからなのか、どこかで協力者として合流するからなのか。
何の説明も受けていないから分からない。
この後どれだけ歩くのかすら知らない。
またこぼれそうになるため息をぐっと堪えて飲み干すと、不意にファリオンが立ち止まり、こちらを振り返った。
手は相変わらず繋がれたままだ。
「なに?」
「…んー」
「何なのよ…」
じーっと見られて居心地が悪い。
半身を引く私に、ファリオンは眉根を寄せた。
「あんた俺には弱音吐かないのな」
「はい?」
「センパイ相手だったら、素直に『疲れた』とか言うんだろ」
元庶民とはいえ、現在は仮にも伯爵令嬢。
正直、私は体力がある方じゃない。
ダンスくらいはするけど、二時間も歩き詰めだと疲れを感じる程度の体力だ。
あと、喉も乾いた。
「あとどれだけ歩くのかとか、そういうのも聞いてこないし」
「あと五時間とか聞かされたら心が折れるから聞かないのよ…」
何を聞いたところで私に拒否権無いんだし…
「あんた俺のこと悪魔かなんかだと思ってないか?」
「天使よりはそっちの方が近いと思ってるけど」
素直に返答してやれば、ファリオンは渋面を作る。
「休憩挟んでやろうかと思ったけどやめた」
「あああああ、ごめんなさい、休憩したいです!」
ここは下手に出ておくが吉。
意地はったって仕方ない。
既にちょっと靴擦れしはじめてるしね。
「最初からそう言っとけよ」
すみませんでした。
そこから三分も歩かないうちに、少し開けた場所に出た。
土ぼこりを被ってはいるけれど、椅子とテーブルも置いてある。
「適当に座ってろ」
そう言って、ようやくファリオンは私から手を離した。
壁際に置かれている木箱をあさるファリオンを横目に、くたびれた椅子に腰かける。
お気に入りのワンピースが汚れるのはこの際気にしない。
すでに砂埃は被ってるし、この後もお洒落を気にしていられる行程にはならないだろう。
…せめて二日に一回はお風呂に入りたいなぁ。
あと着替えも。
貴族のお嬢さまとして生活させてもらってた私の衛生観念は、女子高生してた頃とそう変わっていない。
この国の平民はお風呂なんて三日に一回くらい公衆浴場に行く程度みたいだけど、私にそれはちょっと…
「せめて事前に言ってくれたら着替え準備しておいたのに…」
「旅行気分かよ。そういうとこは貴族っぽいな、あんた」
私のぼやきに、戻ってきたファリオンが半眼で返答してくれる。
「呑気なもんだ。自分で俺は行儀がいいって言っといて何だけどさ、俺に乱暴されるかもとは思わないのか?」
「思わないなぁ」
「何でだよ」
「だって何の得にもならないでしょ?」
にべなく言い放つと、ファリオンは声を上げて笑った。
「そうだな、俺は得にならないことはしない」
「でしょ」
「…何でそう思った?」
「……」
その問いかけには答えない。
それを見て取ると、ファリオンは小さく溜息をついて革袋を放ってきた。
「お水?」
「ああ。俺と共同だから飲みすぎるなよ」
「…共同」
何やら木箱から荷物を取り出していたファリオン。
多分事前にここに必要なものを運ばせてあったんだろう。
私が何を言おうと、ここに寄るつもりだったわけだ。
あらかじめ休憩地点を考慮してくれていたのはありがたい。
だけど事前の用意ができるなら、飲み水くらい別々に用意してくれてもよかったのに…
そんな私の感情が透けて見えたのか、ファリオンは半眼でこちらを睨む。
「言っとくけどな。貴族のお嬢様が腹壊さない水用意すんの大変なんだからな。それともあれか、アカネはその綺麗な水飲んで俺は汚い水飲めってか」
「そんなこと言ってないでしょ」
少ない水を分け合う、それはいい。
もちろん『綺麗な水は私のもの!』なんて言わない。
…そうじゃなくてさぁ…
飲み口をじっと見て、意を決して口をつけた。
口をつけないように飲むことも考えたけど、それで零しちゃったら勿体ない。
それを眺めながら、ファリオンは『ああ』と口を開いた。
「そういや貴族内ではそういうの、間接キスって言うんだったな」
「ぐっ、ゴホッゲホッ!」
飲んでる途中にやめてくんない!?
なんとか零さずに済んだ革袋をテーブルの上に避難させて、気管支に入った水を必死に追い出す。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないっ」
「大丈夫そうだな。それにしても俺に乱暴にされる心配はしないくせに、そういうとこは意識すんのか、貴族って訳分からん」
平和な日本育ちの私にとっては乱暴されるなんて非日常で、間接キスは日常にあり得るハプニングなのよ、身近なだけになんか気になっちゃうのよ、仕方ないでしょ!
…なんて言えるはずもないので黙っていると、ファリオンがぐぐっと顔を近づけてくる。
「…な、なに?」
「ふーん」
なんなんだ。
興味深そうな顔をして、ファリオンは体を離した。
「あと一時間も歩けばここを出られる。そこでヴェルナーと落ち合うぞ」
「分かった。それで、どこに向かってるの?」
「今聞くのかよ…パラディアだ。既に王都は出てる」
まさかの一言に口がパカッと開いた。
「パラディア…?」
「知ってるだろ、アカネの姉が嫁に行ったっていう国だ」
「そりゃもちろん…」
まさか国外とは思っていなかった。
隣国とはいえ他国だ。
こんな誘拐同然でどうやって国境を越えるつもり…まさかパラディアにもこんな地下通路が?
ぞっとした。
いやいや、まさかね?
こんな道作るの、国家事業並の重労働だよ。
そんな簡単に……あ、この世界、魔法ってものがあったわ。
盗賊団に凄腕土魔術師とかいたらできちゃうかも。
でも見つかる心配もあるし、普通はやろうなんて思わない。
盗賊団に普通を求めても仕方ないんだろうけど。
魔術によるものって考えれば、主要施設には魔術を弾く結界もあるはずだから王城の下にまでこれが伸びてるって心配はない…かな?
いや、でもなぁ。
シルバーウルフくらいの大きな組織だったら人手使って掘ることもできるんだし…
いやいや、考えるのやめよ。
こんなことできれば首突っ込みたくない。
こんなものの存在も知りたくなかったし。
「どした、なんか一気に疲れた顔になったな」
「誰のせいだと…ホント疲れたよ。おぶってよ、もう…」
もともと足は疲れていたけど、心労で体が重いわ。
「別にいいけど」
「わぁ!?」
いつもリードと交わしている軽口のノリで言っただけなのに、本当に抱き上げられた。
…最初と同じ、肩に担ぎ上げる形で。
「…ファリオン」
「なんだ、もう出発するぞ」
いや、おんぶできないのはわかるよ?
なんか色々荷物背負ってるもんね。
だけどさ。
「抱き上げるにしても何かあるでしょ」
「何が」
…分かってて言ってそうだ。
いや、お姫様抱っこされたところで困るんだけど。
この担ぎ上げる感じにしても、仮にも美男子と密着している状態、緊張しないわけじゃないし。
ここに連れてこられる時はパニック状態でそこを気にしてる余裕なかったけど、これも結構恥ずかしい。
お尻あたりに手添えられてるしね。
だけど何より…
「これ、お腹苦しいからやめてくんない」
「我儘だな」
我儘かなぁ…
体重をお腹でささえてるような状況だから結構辛いんだよ。
下ろしてもらって大人しく自分の足で歩く。
一時間もすると、ファリオンの言っていた通り向こうに人影が見えてきた。
「ヴェルナー君!」
「…本当だったのか」
前回会った時より少し大人っぽくなっているヴェルナー君は、私の姿を認めて何だか複雑そうに表情をゆがめた。
何で?
疑問符を浮かべる私からさっさと視線をそらし、彼はファリオンに向き直る。
「アニキ、コイツを嫁にもらうって本気か?」
待って、何の話。
「ああ、こうするしか無かった」
「そうか…まさかアニキが駆け落ちするほど惚れ込んでるとは…ビックリだ」
私もビックリだ。
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