ピンボール
くだらない街にある古いボーリング場は
オールナイトで住民に遊びを提供する
玉が転がるジェットのような音
ピンが跳ね飛ばされる抜けるような快音
悲鳴のような歓声
そんな周りとは全く関係なく
男は一人でピンボールをやっていた
ボーリング場にありがちな
ゲーム機を並べたワンコインの遊びに
熱中している危険そうな男
両手は激しく台の横のボタンを引っぱたくと
フリッパーという名の部品が激しくボールを弾き飛ばす
暴力的でありながらリズミカルに
男は手先だけでなく
全身を使ってゲームを楽しむ
台に腰でショックを軽く与え
ボールが自分に有利な動きをするきっかけを作り
腰をひねることでボタンを操る手のひらに
絶妙な力加減を与える
点数が伸びるほど男は興奮して
小さな言葉を発する
fuck!
oh yeah!sex!
そんな品のない単語を口にしながら
男はピンボールを続ける
最高のプレイをするが
品のない最低なヤツ
彼のおもちゃになっているピンボール台の気持ちは
きっと街中の女達にはわかるだろう
だから彼は一人でピンボールをやる人間になった