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第2章 熱砂の要塞 Act3請う者乞われる者 Part4

ミハルは王の寝室へと向かう。


長い廊下を進むと、一人の姿に気付いた・・・

王の寝室の前で。

ミハルがたじろいだ様に立ち止まる。


「・・・現れましたね。ミハエルさん」


静かな口調でミハルが、その者の名を呼んだ。


「ウッス!ミハル。どうだったチアキは。

 少々強くなれたみたいだけど・・・まあ、あなたにはかなわないけどね」


気安く言ったミハエルが、腕を組んだままミハルに微笑む。


「ええ、ありがとうミハエルさん。

 助けてくれたのでしょう?チアキを」


ミハルが頭を下げて礼を述べると。


「いえいえ。彼女の内なる者が・・・ね。私よりも護ったから」


手を振って断わるミハエルが、


「それにしても・・・

 その力が私をあなたに見せているのよね。

 前なら私の方から姿を出さなければ、話す事も見る事も出来なかったのに」


既に魂だけとなっている天使ミハエルが何とも言えない難しい顔で話す。


「神の力を授かったから。魔王を倒す為に・・・」


ミハルが教える。


「ルシちゃんとの約束を果さないとね。

 闇に負けるなって・・・約束したから」


ルシファーの名を呼んだミハルに眉を上げたミハエルが、


「ルシファーは私の・・・だからねミハル。

 それだけは譲らないわよ」


むっとした声で、ミハルに言った。


「ははは。それはどうかな、私の元たる人。

 乞われるなら私も請うかもね」


言葉に含みを持たせて、ミハエルに答えるミハル。


挿絵(By みてみん)



「・・・まあ、いいでしょう。

 で、ここへ来たって事は・・・コイツの事を調べに来たのでしょう?」


「そう。皇帝陛下に・・・いえ。

 この国に憑く者を調べに来たの」


ミハエルの問いに答えたミハルが、室内の気配を探る。


「ちょっと厄介な事になるかもしれないわよミハル。

 気をつけなさい・・・油断すると危ないわよ」


探りを入れているミハルの横で腕を組んだままのミハエルが忠告する。


「ええ・・・解っているわミハエルさん。私もグランも・・・ね」


そう言ったミハルが、胸元から小さな白い獅子をかたどった魔法石を取り出すと、


「やあ、もと天使ミハエル様、お久しぶりです」


その魔法石が喋った。


「お、おまえっ!魔獣グランじゃないか!

 どうしたんだ!?その姿はっ!!」


驚くミハエルにグランが、


「私はもう魔獣ではありませんので。

 <聖獣>となり、ミハルに仕える事と相成りました」


挨拶をした。


「せ・・・聖獣だって!?

 魔獣のおまえが聖獣になれただなんて・・・って、事は。ミハルは?」


漸くミハルが神の力を授かっているだけではないと気付いたミハエルは、


「じゃ・・・じゃあミハルは・・・私の生れ変りは・・・神と同じ力を・・・

 いえ、神の御子となった・・・の?」


パクパク口を開けて驚くミハエルに、ミハルが静かに頷いた。


「と、言う訳なんです、元天使ミハエル。

 私を聖獣とし、下僕として傍に置いて頂いておりますです」


魔法石のグランが、


「ですからミハエル。

 相手が魔王だろうと決して劣る訳ではありません。

 相手が邪神でもない限り、ミハルは勝てますです」


自信たっぷりに告げた。


「まあ、精神世界の闘いならね。

 物理世界・・・物と物とがぶつかり合う現実世界では、そうとも言えないけど・・・ね」


ミハルが相手が悪魔なら勝てるが、物と物とが凌ぎ合う今現在の戦争では限度があると教えた。


「それはそうよ。

 だってミハルは現に存在する人なのだもの。

 私みたいに最初から魂・・・精神世界の産物ではないのだから」


腕を組んで頷くミハエルが認めて、歩き出す。


「じゃ、生れ変り・・・後は頼むわよ。

 私はチアキの処へ戻っているから」


そうミハルに告げると、壁越しに歩いて消えて行った。


「・・・魂だけって便利・・・ね」


物理世界の産物をものともしないミハエルを見送って、ミハルは呟いた。


「さてと、グラン・・・行くわよ」


振り返ったミハルが、王の寝室を見て下僕に命じた。


「いつでもいいです、ミハル。行きますか」


白獅子グランが答える。


王の寝室へのドアを開けると、数名の警護官達が居た。


「やはり・・・グラン!」


ミハルが瞬時に気付き、聖獣に命じた。


「グルオオオォッ」


マスコットサイズの魔法石の白獅子が、唸り声と共に姿を現した。


赤黒き瞳の警護官達の前に。


「グラン!彼等の動きを拘束して!」


指す右手から光が放たれる。


「了解です!」


4メートルもの巨体が警護官達に伸し掛かり、

あっという間も無く、数名を下敷きにした。


   <ビシュッ>


ミハルの右手から放たれた光が部屋に結界を造る。


「さて・・・これで逃げられないからね。

 邪なる魂よ!悪あがきは辞めにして出てきなさい!」


ミハルは王の寝所目掛けて指を差す。


「我があるじ、ミハルの下命だ!姿をみせろ、外道っ!」


人の言葉を話す聖獣グランが、警護官達を体毛で縛り上げて寝所を睨む。


「せ・・・聖獣だって?初めて見た・・・」


驚きの声が寝所の奥から聞えた。

そしてそこから現れた者は。


「白い獅子に、神の御子・・・。

 へぇ、そうなんだ。この私をやっつけに来たのかい?」


紅い瞳をこちらに向けるラル王女の魂。


闇に堕ちた魂がかたどる悪鬼の姿だった・・・

悪鬼は皇帝の寝室に佇んでいた。


邪なる瞳をこちらに向けて・・・


ミハルとグランは悪鬼が何を企むのか、


その真実を見極めようとしていた・・・


次回 Act4 再臨 Part1


君は邪なる魂に告げる・・・必ず助け出すと!

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