第2章 熱砂の要塞 Act2聖騎士 Part2
オスマンの祝典<星祭り>。
その前夜祭に王女シャルレットが臨む。
王女殿下に付き従うのは・・・金魚の糞・・・?
「ラミル・・・戦闘準備のまま、待機しておくように」
スーツ姿の大使が少尉に命じる。
「はあ・・・しかし。・・・砲手がいませんので」
頭を搔いて銀髪のラミル少尉が愚痴る。
「それもそうね。砲手はあそこだもんねぇ」
ラミルと共に王宮広間へ眼を向けたマジカ大使も、ため息を吐いた。
「それに大使、何の為に配置されたのか。そろそろ教えてくれませんか?」
ラミルがMMT-9の前面装甲に手を着いて訊く。
「それはだな・・・まあ。そのうち解るさ、少尉」
はぐらかすマジカに何時に無く真剣になったラミルが再度尋ねた。
「もしかしてミハルの部隊を壊滅させた<魔女兵団>とやらが来るとでも?」
鋭い視線はマジカを射る。
「なら・・・話は早いのだがな。
そいつらが襲って来るというのなら、全部隊を退き返させて対応するさ」
ラミルの視線を交わして、マジカは答える。
「そう・・・そんな奴等なら、我等フェアリアの戦車隊で対応すればいい。
・・・・そんな奴等ならナ・・・」
再び王宮に視線を向けたマジカが呟いた。
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「これより王族を代表して、シャルレット殿下のお話があります」
広間に集まった貴賓客が、壇上に注目する。
<シュル シュル>
絹のドレスを纏ったシャルが、静々と壇上へ上がった。
一同が注目する中、シャルが一同を見渡し睥睨する。
ーわあ・・・シャルって。
やっぱりお姫様なんだなぁ。こんなに多くの人を前に立派だなぁー
まさに・・・シャルの金魚の糞なチアキが、羨望の眼差しで、シャルを見上げた。
警護官姿のチアキはシャルの傍に控えて、スピーチが始まるのを待っていた。
居並ぶ者達は、若干14歳の王女がどんな話しをするのか、
興味を惹かれて見詰めている。
ーシャル・・・緊張しないのかな。
私だったらこんな多くの人が見詰めている前で、話なんて出来ないよ・・・-
シャルの後姿を見て、チアキは想った。
ー頑張れシャル。私がついてるよ!-
握り拳に力をこめて、チアキが応援する・・・心の中で。
「皆の者。今年も祝典によくぞ参られた。
このオスマンは今現在、内紛状態に近いのです。
その中にあって今年もこの<星祭り>を執り行えるのは、
我が国民が帝国を、我等王族の政治を信じるが故。
その国民をして、国の祭りを行う事を躊躇いもせず祝っているのです。
我等王族は、その民を普く愛しております。
喩え部族は違えども、このオスマンに居る民は全て我が民。
襲い戦い合う事を辞めて、話し合う方法を望みます。
力で解決するのではなく、お互いの希望を話し合い、和解する事を望みます」
シャルは参集した者達の前で話した。
王族として、そして第3王女シャルレットとして。
静まり返った広間。
聴き入る客人達。
その誰もが、若き王女の言葉に目を見張る。
ーシャル・・・あなたって。
あなたを友達に出来た事を誇りに想う。
この国の未来は、あなたが居ればきっと不幸にはならない・・・そう想うよ -
チアキはシャルの後姿に心で語る。
<パチ パチ パチ>
シャルに祝福の拍手が沸き起こる。
「集まりし者達に告げる。
無益な争いを直ちに辞め、和解の方策を執るのです。
誰も望んでいない、この内紛を辞め、元の平和なオスマンへと導く事を命じます」
シャルが右手を差し伸べ、宣旨を下す。
ーシャル・・・良くぞ言ってくれたね。
善く皆の前で命じてくれたね。
これで反乱軍の人達も、政府軍の方達も・・・
殺しあわなくて済むんだよね・・・ありがとう -
嬉しさのあまりチアキは、涙ぐんで礼を述べる。
が・・・
その時!
ー はっ ! -
集まった客の中に居た一人の男が、懐から何かを取り出すのがチアキの瞳に飛び込んでくる。
「あぶないっ! シャルぅ!!」
飛び出したチアキは、シャルに体当たりを掛けて突き飛ばした。
<バ ン !!>
凶弾が放たれる。
男の持った拳銃が火を噴く。
「きゃああっ!」
「わああっ!」
広間に悲鳴が沸き、パニックが起こる。
「チアキ? チアキ!?」
突き飛ばされたシャルが振り返り、自分を護った警護官を呼ぶ。
「う・・・シャル・・・」
シャルの立っていた処に佇むチアキが、答えて・・・
弾が当たった胸に手を添えた。
「チ・・・チアキィ!」
シャルの絶叫に、場内がざわめく。
<ファサッ>
碧い髪が靡いた。
私に・・・弾が。
当った瞬間・・・気が遠のきました。
私・・・死ぬのかな?
こんな最期なの?私って?
あ・・・あれ?胸の痛みが・・・?
次回 聖騎士 Part3
君の怒りは闇を呼ぶというのか?最悪の闇を・・・




