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第1章 New Hope(新たなる希望)Act15狙われる魂 Part5 終章

それぞれが想い動く。


それぞれが運命に導かれてゆく・・・


聖なる者も邪なる者も。

  <ドクン ドクン>


鼓動の響きが闇に流れる。


「まだ行き続けられている・・・まだ諦めるのは早い」


重い口調。


「早くせねば。

 一刻も早く・・・私が完全に堕ちてしまうまでに・・・」


低い男の声が、鼓動の音と共鳴するかのように聞える。


闇の中で薄い光を反射したガラス容器が見える。


その容器には、何本もの管が絡まりその中にアルモノを半ば隠していた。


「  ミユキ・・・」


男の声がガラス容器に向けて呼びかけた。


「間も無くだ・・・約束の時は近い」


男はガラス容器に向って話す。


   <ドクン ドクン>


鼓動の音はガラス容器から流れ出してくる。


「必ず蘇らせてみせるよ、ミユキ」


男の声が掛けられるその容器の中で、

銀色の髪の女性が瞳を閉じて眠っていた。





「くっくっくっ、無様ぶざまだなクワイガンよ。

 まんまと逃げられたではないか・・・」


ハーフマントを纏った少女が年嵩の男に言い放った。


「黙れイブリス!お前こそ失敗して帰って来たではないか!」


怒気を孕んだ声で言い返したその男・・・司祭クワイガンが、


「あの娘はいづれ手に入れる。

 それより<闇騎士>よ。2人の皇女を堕とすのは、いつになるのだ?」


イブリスと呼ばれた<闇騎士>は、クワイガンに鋭い眼を向け答える。


「ふふふっ、今度はぬかりない。

 シマダ教授の力で強化された銃も手に入ったからな。それに・・・」


<闇騎士>は、そこで一度話を止めて、自分の後ろに目を配り、


「こいつで<剣聖>共々魔法使いを倒してやるさ」


闇の中に蠢く者を指した。


     <グゥ  ル  ル ル>


低い唸り声を出す者が、闇から現われ姿を晒す。


「うっ・・・こいつは・・・キメラか?」


そのおぞましさに、クワイガンが怯んだ。


「魔界の獣・・・その中でも凶暴さではひけを執らん・・・余のように・・・な」


<闇騎士>リンは、紅き瞳を細めて言った。


「魔王イブリスよ。

 <闇騎士>を寄り代とした悪魔よ。

 ならば往くが良い。そして我が手に全てを持ち帰って来るのだ。

 この国と聖なる者の魂を!」


クワイガンが<闇騎士>リンを指し命じた。


「それが余の契約主真総統の求めならば」


<闇騎士>リンは背後に控えた狂獣鬼と共に、闇の中へと消えて行った。


「くっはっはっはっ!

 間も無くだ・・・全てが揃い我が野望が果されるのは!

 我が力で神をも平伏させてやろう」


クワイガンの邪な魂が、歓喜の叫びをあげ続けた。




_______________



「よしっ、全速で現地へ向え!」


派遣隊が全速で先遣隊救出に向かう中、


「車長っ、おいてけぼりですかぁ?」


MMT-9のキューポラを見上げて、ジラが文句を言う。


「仕方ないさ、大使直々の命令だからな」


肩を竦めたラミルがおどけてみせる。


「そんな・・・。お気楽に言ってて良いのですか?」


そう訊いたジラがラミルを見上げて気付いた。

ラミルの瞳は全然気楽そうには見えないことに。


「何か大切な事でもあるのですか、車長?」


ジラが真顔になって訊き返すと。


「あって欲しくはないのだがな、ジラ」


そう言ったラミルが王宮を振り仰いで空を見上げた。





「ねぇ シャル。もういいでしょ、やめようよ」


チアキがため息を吐いて手を上げる。


「チアキ・・・諦めたら駄目」


ジト目で周りの様子を確認してシャルが断わる。


2人の周りには、ドレスが散乱している。


「私は警護官服で善いって言ってるのに。

 どうしてドレスを着なければいけないの?」


チアキがその光景にため息混ざりに訊くと、

シャルが女官に次のドレスを手渡されながら答える。


「いいチアキ。

 明後日の夜は年に一度のお祭りなの。

 国の開催する行事・・・花火の祭典が行われるの」


「うん・・・それは聞いた」


ジト目のシャルにたじろいでチアキは頷く。


「その祭典には必ず国王が祝辞を述べるしきたりなんだけど。

 今回はミーク姉様と私が勤める事になってるの」


「うん・・・それで?私がドレスを着なければならない理由は?」


話が呑み込めないチアキが話を促す。


「だぁ~からっ、チアキも私達と一緒に。

 国民の前に出る事になるから・・・正装して貰わないと!」


「・・・はぁ!?」


ジト目でドレスを差し出すシャルにチアキは声を呑んだ。


「と、言う事でチアキ。

 一番似合う服を着て貰わないと。

 国家の建前もあるんだからっ、大事なことなんだからっ!」


「・・・・はぁ・・・」


差し出されたドレスを受け取って更に深くため息を吐いたチアキは、

泣く泣く着替えを続ける事となる。

2人がやいのやいの言いながら試着を続ける王宮の窓から差し込む日の光は、

夏を前に明るく差し込んできていた。


王宮は明後日に控えた祭典を前に慌ただしく飾り立てられ、その夜を待っていた。

何も起こらないと疑いもせず。


だが、闇は迫っている。


「また・・・闇が来る・・・<闇騎士>となったリンが。

 更に凶悪な者と共に・・・」


何かを予感したかの様に、マジカが窓辺で初夏の日差しを受けながら呟いた。


挿絵(By みてみん)


オスマンの地に異変が訪れようとしていた。


フェアリアの地で何かが変わろうとしていた。


運命は魂をももてあそぶというのか?


遺跡へと入ったミハル。

自分が何者なのかを求めるリーン。


2人とその仲間達に闇が近付く・・・その運命さだめを呪うかのように


次回 第2章 熱砂の要塞


    Act1  忘却の彼方


君は戦いの中、何を叫ぶというのか!?

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