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第1章 New Hope(新たなる希望)Act13闇を討つ者 Part5

ジャドウの黒き糸に締め付けられていたチアキの身体から金色こんじきの光が溢れる。


今、チアキは古のちからに目覚めて闘うのだった!

     <ド  ン ッ>


黒い糸が弾け跳んだ。


「ぐわっ!?何が一体っ!?」


ジャドウは自らが弄んでいた娘に絡みつかせていた前足をも噴き飛ばされて狼狽した。


     <シュオオォッ>


光が邪な瞳に映る。


「まっまさか!?天使ミハエルゥ!?」


王女を盾に取っていた邪な者が、光に包まれた者の名を叫ぶ。


「まさか忘れたのではあるまいな!

 この娘を痛めつけ魂を奪ってもいいのか!

 もう一人の王女をも、同じ目に併せてもいいのか!」


慌てふためくジャドウが光に包まれた者に叫ぶ。


「そんな事はさせない・・・お前を許しはしない。

 この私が目覚めたからは!」


光に包まれた者が、赤黒き瞳を睨んで言い放つ。


「ミハエル!今更目覚めたと言っても寄り代は、最早保てまい。

 寄り代が力を失えば、お前も力を放つ事は出来ぬ筈だ!」


焦りと怯えからジャドウは目の前に居る光に言い返した。


「寄り代?勘違いするな闇の者よ。

 私は天使ミハエルではない・・・」


光が薄れてゆく中、天界の鈴の音が一鳴り、


       <シャンッ>


高らかに響いた。


「うっ!そのはっ!?まさか・・・お前は!?」


薄れゆく光の中から現れた者の姿を観て、ジャドウは驚愕の叫びで呼んだ。


「その姿は!?今迄居たミハエルの姿ではないっ。

 いいや、寄り代の娘ではないっ!?

 その姿はあずまの巫女!いや、破邪の巫女!」



   <シャンッ>


髪に着けた鈴の音が鳴る。


白拍子かと思わせる美しき袖先。

上下紅白のはかま姿。


そして、その手に持つのは・・・


「その剣は?その姿といい剣といい・・・お前は一体!?」


光の中から現れた娘に驚愕し、何者なのかを問うジャドウに娘の口がゆるゆると開かれる。


「邪な魔獣鬼ジャドウ。

 そなたの前に現れしは、古の巫女。

 古来から闇と闘い、斬り倒してきた剣の巫女なり。

 この剣を持って闇を討つ者・・・我が名は<千秋>。

 陰陽師、安倍の血脈を継ぐ者なり!」


    <ド オ オ ンッ>


千秋が名を告げると、地に五芒星魔法陣が碧き光と共に現れた。


聖なる光と共に、千秋が剣の柄に手を掛けて、


「私の大切な人をいたぶり苦しめたあなたを赦しはしない。

 愛する人の魂を奪おうと試みた者を見過ごす訳にはいかない。

 私の宿敵たる闇を、討たぬ筈が無いっ!」


挿絵(By みてみん)


   <シャランッ>


鞘滑りの音をたてて、剣が抜かれる。

破邪の剣は蒼白き光を放つ。

千秋は剣先を魔獣鬼ジャドウに突きつけて、


「我が剣が抜き放たれし時、闇は斬られる。

 我が剣の前に、闇は滅びん」


挿絵(By みてみん)


ジャドウを睨む千秋は、剣を天に掲げて一振りした。


  <パキイィンッ>


掲げられた剣から蒼白き光が放たれ、頭上に金色の光輪が現れる。


「何っ!?それは!」


挿絵(By みてみん)



ジャドウの前で、千秋の姿が光輪から降って来た式神に包まれ、

巫女衣装が鋼を纏う剣巫女姿となった。


「これが私の受け継いだ<闇を討つ者>の姿。

       < けん  せい > !」


剣を振り下ろした<剣聖>姿の千秋。


金色のカチューシャ。

襟元が開き、ウエストを締める大きな紅いリボン。

裾拡がりの上着。

短めのスカートはひらひらと舞い、

ブルーのストッキングの足元をブーツが引き締めている。


ーほおぉっ!東洋の巫女にしては、洒落た姿になったわねぇー


今は逆にチアキの中に宿るミハエルが、”千秋”の姿に感嘆の声をあげた。


挿絵(By みてみん)



「はい、ミハエル様。郷に入れば郷に従えですよ。

 <剣聖>の姿は一つではありませんから」


身体に宿る天使に教えて、


「私の中で目覚めた<闇を討つ者>は、この剣だけではありませんから」


金色の瞳をジャドウに向けて言い放った。


ー剣だけではない?そうすると?-


ミハエルが聴き咎めて聞き返すと。


「<剣と盾>・・・私に受け継がされた紋章の通りですから」


破邪の剣を構えた千秋が答える。


ーなるほど・・・そう言う事かー


千秋の魔法石に描かれてあった紋章を思い出したミハエルが納得した様に頷いた。


「ではミハエル様。

 私は古から受け継いだ<闇を討つ者>としての務めを果します。

 私の約束を守る為にも・・・ジャドウを滅ぼしてみせます!」


金色の瞳をジャドウに向けて、<剣聖 千秋>は剣を構える。


ー・・・まあ。初めてそのちからを使うのだから気をつける事ね。

 私は観戦させて貰うから・・・ねー


堕天使ミハエルは”チアキ”の中で腕を組み、闘いを傍観する事に決めた。


「はい!魔獣鬼ジャドウを滅ぼして、シャルを救い出します!」


構えた剣に力を込めて、千秋は一歩踏み出した。


    <シュンッ>


踏み出した一歩で、魔獣鬼ジャドウへ飛び掛り、


「魔獣鬼ジャドウ!シャルを離せっ!」


一声叫んで剣を一閃した。


ジャドウが身構える暇さえ与えられず、目を見開く。


「斬り裂け<破邪の剣>よ!闇を討て!」


千秋の声が呪文を放つ。



「 セイバーオブ・ ダークネスれ! 」




 

私は自分の中にあるちからに導かれ変身しました


・・・<剣 聖>へと。


刀使いの巫女<剣聖>・・・今、私は<闇を討つ者>となって


シャルを救う為にジャドウと闘うのです!


必ず護ると誓った約束を胸に秘めて・・・


次回 Act14 闇に堕ちし友 Part1


君は剣を振るうのだった・・・闇から友を救う為に!

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