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第1章 New Hope(新たなる希望)Act13闇を討つ者 Part3

光の玉を放つ寸前の事だった。


ジャドウは、複眼に写った者に黒き霧を放った!



「あっ!」

咄嗟の事で対応が遅れたミハエルが怒りの声を挙げた。


「くっはっはっはっ!どうした天使ミハエルっ、放てるものなら放ってみろっ。

 コイツの身体も道連れにしてやるぞ!」


それはミハエルが光の玉を放つ寸前の事だった。


ジャドウは視界の端に2人の王女を捉えた。

構える暇もあらば黒き霧を伸ばし、

シャルの身体を拘束して、あっという間に自分の前に引き寄せたのだ。


「しまった!そうくるとは思わなかった!」


ミハエルが魔力を停めて、闇の者を睨んで叫んだ。


そこには黒い糸で身体をぐるぐる巻きに拘束されたシャルと妖しき瞳の魔獣鬼ジャドウが居た。


「シャルレットぉっ!」


ミークがシャルを奪い返さんと飛び出そうとするのをミハエルが停める。


「あなたまで巻き込まれるつもりなの、王女ミーク!

 近寄ってはいけません、奴の狙いはこの私です!」


ミハエルの一喝でミークは足を停め、


「シャルレットを・・・妹を返せっ!」


届かぬ手を差し出し、邪なる者に叫ぶ。


「ミーク姉様・・・チアキ・・・」


か細くなる声に、ジャドウがシャルの魂まで奪おうとしている事に気付くミハエルが、


「もしその王女の魂を奪えば、お前を一撃で滅ぼすぞっジャドウ!」


怒りの眼でジャドウを睨むミハエルに、


「がははっ、どうだ天使ミハエルっ、手も足も出せまいっ。

 この娘の魂を救いたくば、その光を消せっ、今直ぐだ!」


拘束したシャルの身体に絡みつく糸が苦しめる。


「うっああっ・・・チ・・・チアキィ・・・」


苦痛に瞳を曇らせたシャルの手が、チアキを求めて差し出された。


「王女・・・シャルレットを離せ、ジャドウ!」


金色の瞳で睨み付けたミハエルの中で、もう一つの魂が叫ぶ。


ーミハエル様っ、シャルを、シャルを助けなければ!

 私はシャルを護らなければいけないんです!-


苦しむシャルを観て、チアキが叫んだ。


挿絵(By みてみん)


「解っているわ、チアキっ。

 でも、もうあなたの魔法力が尽きてしまう。これが最後の術になるのよ。

 闇の者を倒す最期のチャンスなのよ!」


ミハエルがジャドウを睨んでチアキに告げた。


ーでも、私は約束したのですシャルと。

 必ず護り抜いて、いつまでも傍に居ると。

 喩え天子様の命でも、シャルを巻き込んでしまう様な術なら拒否します。

 この身体を使わせませんから!-


ミハエルの宣告に抗ったチアキが、ミハエルから身体の動きを停めさせる。


「・・・そう。ホント・・・似てるわねぇ、ミハルに。

 師匠が師匠なら、弟子も弟子って・・・か」


ふっと苦笑いを浮かべたミハエルが呟く。


「でも、チアキ。奴を倒さなければ、いずれあなたも魂を奪われてしまうわよ。

 それで王女シャルレットを護ったとでも言えるのかしら。

 生き抜く事が出来ると思うの?」


天使ミハエルはチアキを諭す如く尋ねた。


ーミハエル様。

 私はシャルを護れるなら、どうなっても構いません。

 例え壊れるとしても魔獣鬼ジャドウを倒し、シャルを救えるというのなら、

 この身体は、この魂はどうなろうともっ!-


天使の問いに、チアキは澱み無く答える。


「それがチアキの決意、チアキの出した結論というのね」


瞳を閉じて、ミハエルは頷く。


ーハイ!

 だからミハエル様、シャルを助けて下さい。

 私の事なんて気にせずに!-


チアキは唯一つの約束を果たす為に、自分を犠牲にするのも厭わなかった。


「ふっ!威勢の良い事言っちゃって、後悔なんてしないでよねチアキ!

 解ったわ、あなたの気持ち、願いを無にはしないからっ!」


瞳を開けたミハエルが再び右手にちからを込めて、


「チアキ、悪いけど、この身体を使わせて貰うわよ。

 奴に近寄り、必殺のわざを放つ為に!」


身体の中に居る魂に断わった。


ー何をする気なのですか、ミハエル様っ!?-


「言ったでしょう。奴に近寄るって・・・

 奴の懐まで奴自体に運んで貰うから、覚悟しておきなさいっ!」


金色の瞳でジャドウを見据えて、堕天使ミハエルがチアキの魂に言い放った。


ー! そうか!

 そう言う事ですね、解りましたミハエル様にお任せします。

 シャルを護る為なら、どれだけの苦痛にだって耐えてみせます!-


覚悟を決めたチアキがミハエルの策に気付いた。


「じゃあねチアキ。

 無事に奴を倒せる事を祈っていなさい!」


ミハエルの声にチアキの魂は頷く。

ミハエルはうら若き魔法少女に微笑んで、作戦を発動させる。


「ジャドウ、どうせ3人共魂を奪うつもりなのでしょう?

 だったらせめてシャルレット王女の傍で奪ってくれないかしら。

 私の寄り代がそう願っているから」


ミハエルが右手の光を消して頼むと、


「ふっふっふっ、もの解りがいいな、天使よ。

 やはり人質に手を掛けられぬと解ったのか。

 いいだろう、こちらに来い、下手な真似をすれば、この娘の身体を引き裂いてやるぞ!」


ジャドウが勝ち誇って嘲笑う。


ー今に見ていろ魔獣鬼め!-


チアキはミハエルの中で呟いた。


ーミハエル様、頼みますよ。シャルを救って下さい!-


ゆっくりと歩を進めるミハエルに、

魔獣鬼ジャドウの前足から伸びた黒い糸が纏わり付いてきた。


挿絵(By みてみん)


こうなりゃ、耐えて貰うしかないわねチアキ。


あなたの気持ちを、願いの強さを信じているから・・・


って!?諦めるんかぁ~いっ!


ーだってぇ~、信じられない位辛かったんですから~っ(涙目)-←チアキ


次回 闇を討つ者 Part4

君が苦痛の中で観た者とは?その想いに気付いた時何かが起きる!?

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