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第1章 New Hope(新たなる希望)Act12王宮の闇 Part4

2人の王女の帰還


それが知る所となった王宮で闇が蠢き出す・・・


今、聖なる者と闇の者との戦いの幕が開こうとしていた・・・

「2人の王女が還ったと言うのか?」


背を向けた男が訊いた。


「はっ!警護の者一人を連れて。

 小娘ですがどうやら魔法使いだと思われます 」


背中越しに軍服を着た男が答える。


「魔法使いか・・・やっかいだな 」


振り返った男が軍人に言う。

その軍人の肩章は、ベタ金付き。少将の階級を示していた。


「オルター卿、急がねばなりません 」


少将が背広姿で茶髪の貴族に急かす。


「まあ、我々の手では彼女達に手を下せはしない。

 下手に手を打つと火の粉を被る事になる。ここは彼女に出て貰うとしよう、マタン君 」


細い眼を更に細めて、オルターがマタン少将に告げ、机の上にある紅い水晶を見た。


「はっ、オルター卿の申される通りで。魔女の出番という訳ですな 」


マタン少将はその紅い水晶を見て口を歪めた。





「それでミーク姉様、反逆者の主犯はまだ判らないの?」


シャルがソファーで寛ぐ姉に訊いた。


「うん・・・判っていないんだ。

 だけど軍の方で指揮を執る者は解ったよ。本営のマタン少将は首謀者だ 」


ミークの告げた名にシャルが首を傾げて、


「マタン少将って・・・あの部族を一人残らず殺戮した・・・<殲滅のマタン>?」


その男を思い出した。


「そう、あの残虐な軍人、マタン少将。

 今、奴は本営付武官として中央政府に入り浸っている 」


ソファーから身を起こしてミークが答えた。


「ではそのマタン少将とやらを捕えて白状させたらどうなの姉様 」


シャルが手っ取り早い方法を述べたが、ミークは首を振って断わり、


「いや、シャルレット、それは出来ないんだ。

 マタンを捕えた時点で首犯者は逃げるか、それとも・・・」


「私達に攻撃の手を挙げてくるってことですね 」


それまで2人の会話に耳を傾けていたチアキが口を挟んで、


「そうなれば私達と反逆者との戦闘になってしまうかもしれない・・・と。

 内戦にまで発展しかねないと、そう仰りたいのですねミーク姉姫様 」


ミークの考えを訊いた。


「そうなんだシャルレット。

 下手な手を使えば思わぬ事になりかねない。

 ここは相手の出方を待つしかない。

 私がシャルレットと共に王宮へ戻った事を知った反逆者達がどう動くかを 」


ミークがチアキの言葉に頷いて教えた。


「うん・・・でもマタンがいきなりボク達を捕えに来たらどうするの?」


「その時はコイツの出番だろ。なあ、警護官 」


剣を突き出し、チアキを見た。


「まあ・・・お手柔らかに、ミーク王女殿下 」


ミークに対して苦笑いをして答えるチアキ。


「チアキの魔法で反逆者達を全員捕えられたらいいのに。出来ないかなぁ?」


チラッとチアキを見たシャルが無茶な事を言うと、


「無理です 」


きっぱりとチアキが断わった。



____________



夕日が沈み、夜のとばりが来る頃。


ー闇が来る。この地に再び闇が訪れようとしているー


天空を見上げるその瞳に、黒き月が写っていた。


「シャル、おかしいね。確か昨日は半月だった筈だったのに。

 ・・・月が見えないね 」


シャルの横まで来たチアキが、シャルが何を思っているか知らずに言った。


「チアキ、今晩・・・魔女が来る・・・此処に 」


シャルがチアキに強い口調で知らせた。


「そっか。シャルには判ったんだね。でも、どうして?」


シャルに教えられても動ぜずにチアキが聞き返した。


「え・・・うん。魔女が現れる時は夜なの。

 そして必ず月が陰る。

 月の光が差し込まない星明りの元でしか、魔女は来ないんだ 」


少しチアキの反応に驚きつつも、シャルは魔女が現れる条件を知らせる。


「月の光が嫌いなのかな。それとも月の光を使っているのかな魔女は 」


シャルの横に立ってチアキは月の影を見上げた。


「・・・チアキ?」


その時チアキを見詰めてシャルが気付いた事があった。


ーチアキの瞳の色が・・・碧く染まっている -


普段の深く澄んだ紺色の瞳ではなく、澄み切った海の色みたいにブルーに輝くその瞳。

それはチアキが魔法を既に使っている証でもあった。


挿絵(By みてみん)



「チアキ・・・気付いていたの?」


「うん・・・胸騒ぎと共に、あの人に教えられたの。

 闇が迫っているって・・・気を付けなさいと 」


星空を見上げてシャルに答えるチアキに、


「あの人?」


教えた人の事を尋ねる。


「そう・・・私を護ってくれている人・・・ううん、天使様 」


顔をシャルに向けたチアキが答える。


「天使? 

 チアキを天使様が守ってくださっているの?」


驚くシャルの瞳に、チアキが頷くのが写る。


「その人が教えてくれたの、邪な者が迫っているから気をつけなさいって。

 闇の力を侮ってはいけないって・・・。

 シャル、私から離れては駄目だよ。護れなくなっちゃうからね 」


そっと手を伸ばしたチアキにシャルの手が重なる。


「うん、解ったチアキ。ボクは離れたりしないから。

 チアキも離れないで、ボクの傍にずっと居て!」


握り返した手に力を込めて、碧き瞳に願ったシャル。


「必ず護り抜くからねシャル。

 絶対約束を守るから、この命に賭けて!」


改めて決意を告げたチアキに、

シャルは身体の内から熱い想いが湧き上がってくるのを感じていた。

魔女の目的と<魔女兵団>の狙いが重なっていると解った私は、


シャルとミーク姉姫様に反逆者を誘い出す作戦を打ち明けました。


でも、それは危険を伴っている事も解っていました。


主犯者は我々に姿を見せる事を嫌い、力ある者に頼るかもしれないという事。


それが誰を指しているのか・・・私の予想では・・・・


次回 王宮の闇 Part5


君は現れし者に対峙する・・・光の力を宿して・・・

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