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第1章 New Hope(新たなる希望)Act12王宮の闇 Part3

チアキと2人の王女達は、ラル皇太子姫の寝室へ向かう。


その<スリーピングビューティ>は確かに居た・・・

チアキはシャルの後を離れず付き従う。


周りの目は珍しい者を観るかのように二人の姫と、後ろに続く従者を眺めた。


「おいおい・・・正気かよあの二人。

 継承権を巡って争っていたんじゃなかったのか?」


「いやいや、違う。

 ミーク姫が妹姫を連れて来られたのだから、

 きっと王位継承権をシャルレット姫に譲られる筈だ 」


二人の王女を観て、噂話する者達にも気を配るチアキは、

二人を護る大役に神経をすり減らしていた。


ーどこから狙ってくるかも解らないというのに・・・

 大胆な作戦にでられたなあ。

 少しは警護役の私の身にもなってよ -


ピリピリした空気を漂わせて、二人の身辺警護をするチアキに不意に声が掛けられる。


「チアキ。ねぇチアキってば、チアキ!」


振り返ったシャルの声が叫ぶ。


「あっ、はいっ何でしょうシャルレット殿下 」


答えつつも周りに気を配るチアキを見て、


「チアキ警護官、着いたぞ。ここがラル姉様の寝室だ 」


ミークが手招きする。


二人の警護を行いつつ、第1王女ラルの元へ来たチアキに二人が教えた。

ドアを開けて3人がラル王女の寝室へと入った。


   <シュウウウゥッ>


碧い水晶が3方に置かれてある。

その水晶から淡い光が真ん中のベットに注がれていた。


「ラル姉様、只今還って来ました。シャルレットです 」


シャルがベットの傍に寄って眠っている姫に喋り掛ける。


「ラル姉、シャルレットが戻ってきたよ。

 怪我も無く元気な姿で帰って来たんだよ 」


ミークがそっと姉に語り掛ける。

その眼は眠り続ける姉を見詰め、涙ぐんでいた。


挿絵(By みてみん)



「もう2ヶ月・・・2ヶ月も意識が戻らないままなんだ 」


シャルがチアキに説明し、


「あの魔女が術を掛けたんだきっと。

 ラル姉様の魂を奪い去ったんだ!」


ぎゅっと拳を握り締めた。


「皇太子姫はそれから?」


チアキがシャルに寄って訊く。


「うん・・・ずっとこうして眠ったままなんだ 」


シャルの傍に寄って眠るラル王女を見たチアキはラル王女が確かに生きている事が判った。


ー肌は白いけど冷たくはなさそう。

 それに間違いなく呼吸されている・・・死んだ訳ではなさそう。

 只、眠り続けているだけなんだ -


チアキは王女が眠り続けているだけなのが不思議だった。

声を掛ければ直ぐにでも起き上がりそうに見える。

だが、何をしても王女は気付く事は無いという。


「シャル、ミーク姉姫様、

 皇太子姫に掛けられた術はどうすれば解けると言ってましたか、その魔女は?」


二人に呪を解く方法を訊くチアキに、


「それは・・・この国に居る全ての魔法使いを差し出せと・・・

 無茶苦茶な条件を突き付けやがったんだ魔女が・・・」


ミークが呪を解く条件を教えた。


「確かに・・・。

 それ以外の条件は無いのですか?」


チアキが念の為に、それ以外の方法を尋ね返した。


「うん・・・後はあの魔女を捕えて白状させるしかないんだよ 」


ミークが術を掛けたと思われる魔女自体から聞き出すしかないと告げる。


「そうですか・・・

 どちらにせよラル皇太子姫を助けるにはその魔女とやらに会わねばなりませんね。

 どうやってその魔女を呼び出せるかが鍵ですね 」


チアキが腕を組んで考える。


「でも、呼び出せたとしても我々にはどうする事も出来ないぞ。

 魔女は手強いんだ、我々の魔法使いが束になって掛かっても、

 手も足も出せなかった程なんだ 」


ミークが魔女の強さが並半端ではないと言った。


「ですが、このまま手をこまねいていては・・・

 ラル姫様は永遠に眠ったままなのです。

 兎に角、魔女と話し合わない事には。

 ・・・どうすれば会えるのですか、ミーク姉姫様 」


チアキは魔女と会って解放条件を替えさせる事を考えていた。


「チアキ、魔女は一歩も条件を替えたりはしないよ。

 何度ボク達が言っても聴いてはくれなかったんだから 」


シャルがチアキの考え付いた方法に忠告し、


「それに下手すればチアキの魂まで奪われてしまうかもしれないよ。

 あの魔女は魔法使いの魂を集めているんだから 」


チアキの身を案じて、断念するように勧めた。


ー魔法使いの魂を集める?

 人の魂を奪う事なんて出来るのかな?

 それにこの話、どこかで似た様な事を聴いた気がする。

 ・・・

 そうだ!<魔女兵団>の戦車兵達と同じだ!

 ミハル中尉が教えてくださった魂を奪われた者達と同じなんだ -


チアキが気付いたのは、魔法使いの魂を戦車に閉じ込め、闘わせている者の事。


「じゃあ、もしかしたら<魔女兵団>と関係がある者かも知れない、その魔女とやらは!」


チアキはシャルに向き直り、


「これは私達だけで済む話ではないのかもしれない。

 ラル王女の魂だけでは無いのかもしれないよシャル!」


「え?」


不思議そうにチアキを見るシャルとミークに、


「その魔女とやらが鍵を握っているんだよ、<魔女兵団>の秘密を。

 魔法使いの魂を集めて戦わせ続けている闇の軍団と、

 ラル王女を人質に執って魔法使いの魂を大量に奪おうと企てる者は、

 間違いなく同一人物。いいえ、組織だと思う 」


魔女の目的と<魔女兵団>の狙いが重なっている事を告げた。


「だったら尚の事、魔女と会わなければいけない。

 会ってもうこんな事を辞める様に話さなくてはいけないんだ!」


チアキは2人の王女に魔女と会う方法を訊くのだった・・・

私は眠り続ける第1王女を救う為、


2人に<魔女>と会う方策を教えたのです。


私達が王宮に留まり結束した事を報じれば、反逆者達は慌てて仲間に知らせると。


その結果、王女の魂を奪った者に助けを求めるだろうと。


次回 王宮の闇 Part3


君の知らない処で闇はうごめく・・・黒き月の元で。

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