第1章 New Hope(新たなる希望)Act11剣と魔法 Part2
ミークとチアキは決闘場で向かい合う。
大切な約束を果たす為、今チアキは覚悟を決める刻を迎えた。
その一言は、チアキの心に火を灯した。
「ミーク王女殿下。私が勝てばシャルレット王女の傍に居ても構わないですよね。」
見下すミークに対して自分が勝った場合の条件を示す。
「ふんっ、勝てると思っているのか、貴様!」
嘲る瞳のまま、チアキに返し・・・
「まあ万に一つ、勝てれば・・・認めてやろう。」
チアキの条件を呑んだ。
ーよーしっ、やる気が湧いてきたぁっ!-
ぐっと拳を握ってチアキの瞳に火が点く。
「では、ミーク王女殿下。決闘の方法を教えて下さい。」
少しの希望を瞳に宿したチアキが尋ねる。
<スチャッ>
ミークはチアキに剣を突き出し、
「私はこの剣に賭けて貴様を斬る。
飛び道具以外なら何を使おうが構わない。」
睨み付けながら真剣を鞘から抜き、
「どちらがもう闘えないと思われる様になるまで終わりはしない。
つまり生か死かだ!いいなっ覚悟しておけ!」
生死を賭けて闘えと迫った。
ーあ・・・やっぱりぃ。そうなんだぁ・・・-
シャルに教わった通り、ミーク王女は死闘を挑んでくる。
チアキは覚悟を決めて、闘うしかなくなる。
「あ・・・あのぉ。私は何を使えば?」
ミークの剣に対し自分は素手なので、何か闘う道具を欲しがったのだが。
「フンッ、決闘場に素手で来た貴様がマヌケなだけだ。後悔しても遅いぞ。」
あからさまに蔑んだ顔で、ミークが告げる。
「そ・・・そんなぁ。」
ミークに笑われて何も知らなかったチアキが抗議しようとしたが、
「ビシラスっ、開始の合図をっ!」
ミークが一方的に開始を求める。
「わあっ、待って下さい。私も得物をっ!」
慌てるチアキが武器を求めて停めたのだが、ビシラスの声が早かった。
「はじめっ!」
ー・・・。ああ・・・無情・・・-
涙目になるチアキ・・・・
「くはははっ、斬り刻んでやるっ!」
ミークが剣を片手に持ち、突きかかって来た。
「わあっ、そんなご無体なぁ。」
後退ったチアキが、剣先を見詰めて停めるが。
「問答無用っ!」
ミークの剣先がチアキに伸びる。
<ビシュッ ビシュッ>
繰り出される剣を必死に避けるチアキは、闘う術を持たないのか。
ーこのままじゃあ、ホントに切り刻まれてしまうかも。いやだぁーっ!-
「くっ、チョコマカとすばしっこい奴め!」
逃げの一手なチアキに、怒りの声を吐くミークが、
「ならば!これでどうだっ!」
右手の剣を引いて、左手に着けていた指輪を剣に翳した。
<パアッ>
指輪から碧き光が剣に注がれ、共に碧い光を放った。
ーえっ!?それは・・・魔法!?-
目に写った剣は魔法の力を宿したのを顕す。
チアキはその時、思い出した。シャルが持っていた指輪の事を。
ー魔法石・・・そうか、シャルも持っていたんだもの。
姉姫様が持っていても不思議じゃない!-
気付いたチアキは、自分も持つ魔法石に手を当てて、
ー魔法石が直接力を放てるかは解らないけど。
今はこのペンダントに頼るしかない。-
「護って、魔法石!」
魔法力を碧いペンダントに込めて願ったチアキに、ミークの術が放たれる。
「斬り刻まれてしまえっ!」
魔法が剣先からチアキへ跳ぶ。
「うわっあっ!」
それはカマイタチの様に、烈風となり襲い掛かって来た。
避ける事さえ出来ずに、チアキは切刻まれるのか?
<ビシュッ>
左腕を空気の剣が掠め去る。
<ビリッ>
上着が破れ、肌が見える。
<ビシュッ>
右腕にも烈風が触れる。
<ビリリッ>
今度はより大きく服が千切れ飛ぶ。
「うっ・・・あ。」
大きく見開いたチアキの眼が、両袖から露出した肌を見る。
痛みが走る袖を、紅い血が染めてゆく。
ー本気で斬り刻まれてしまう処だった!-
呆然と流れ出る血と痛みを忘れてチアキは、
ミークより、自分の胸元に視線を注ぐ。
ーどうして私には、魔法が使えないの?-
頭の片隅で、ある人が魔法を使って戦車兵の魂を浄化させていく姿が写った。
ー私にも魔法力があるのなら・・・ミハル中尉までとはいかなくても。
せめて自分の身位は護りたい。-
チアキは胸元のペンダントに、そう願いを告げた。
「ほほう。私の魔法を喰らってまだ立って居られるとはな。
だが、次で終わりだ!」
勝ち誇ったミークが剣先を突き付け、
「貴様なんぞにシャルレットを渡すものか!
自分の身も守れぬ貴様にシャルレットを護る事など出来ん!」
忘れかけていた大切な想いをチアキに知らせた。
「護る・・・シャルを・・・護る。
私は・・・絶対シャルを・・・護り抜く・・・。」
身体中を襲う痛みに耐えて、チアキは心を揮わせた。
ーそう・・・大切な事を気付かせてくれた。
私は負けられない。
ミーク王女に勝たなければならないー
瞳に力を宿したチアキが悟る。
「私は負けはしない。諦めるもんか!」
そう叫んだ時。
チアキの身体を光が包む。
私はミーク王女の剣と魔法に疵付きながらも思ったのです。
諦めたら駄目なんだと。
負けてはいけないんだと。
その時、私を包む光が・・・
次回 剣と魔法 Part3
君は自らの能力に気付かされる、見守る光によって・・・




