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第1章 New Hope(新たなる希望)Act10王女(シャル)と私(チアキ)Part4

シャルとチアキは王家に反逆する者達について、


師団長ビシラス中将達に教えられる。


反逆者達に祀り上げられている者の正体にチアキは愕然とするのだったが・・・。

チアキは耳を疑った。


ー自分のお姉さんが朝敵の仲間?どう言う事なのかな?-


悲しそうに話したシャルを見て、チアキはもっと詳しく話を聴きたくなった。


「あ・・・あの、王女殿下。

 朝敵の正体はシャルレット王女のお姉様を、

 まつり上げ様と考える者達だと仰られましたが。

 その通りだとしたら、お姉様に忠告されては如何ですか?

 御姉妹なのですから、きっと姉姫様もお気付きになられると想うのですが。」


つい、出しゃばってしまったチアキに、


「侍従武官扱いの者が、余計な事を言うな!」


カラン参謀に怒鳴られてしまった。


「す・・・すみません。」


謝り、口を噤むチアキに、


「チアキ、ミーク姉様には話した事が無かったんだけど。

 聴いてはくれないと思うんだ。」


シャルがまだ話していない事を教え、


「それにね、姉様は第1王女ラル姉様を嫌っているから・・・だから・・・。」


悲しみの瞳を閉じる。


「シャル・・・。」


シャルが二人の姉を想って悲しんでいるのを見たチアキは、

それ以上声を掛けられなかった。


その時。


    <ガシャ ガシャ>


誰かが会議室へ向って来る物音と共に、それを阻もうとする者達の騒音が聞こえ。


    <バアアァン>


ドアが蹴破られるかの様な音と共に開けられて、


「シャルっ!還ってきたのか!」


シャルを大声で呼ぶ女性が室内に入って来た。


赤い軍服に白いマフラーを着け、

腰に剣を下げたその女性は、碧い髪を靡かせて凛々しい瞳を室内に向けている。


「あ。ミーク姉様!?」


挿絵(By みてみん)



シャルの驚きの声と周りの士官達が色めき立つのに気にも掛けず、


「シャルぅ。還って来たのなら真っ先に私の処へ来るのが礼儀ってもんだろ。」


シャルを見付けたミークが走り寄り、


「あ。」


誰にも構わずシャルを抱締めた。


ーへ?-


ミークに抱締められ、眼を廻すシャルを観て、

先程の話は一体何だったのかと思うチアキも眼を廻した。




_________



「で。

 私はそいつらに踊らされていると云うのだな。・・・そなた達は。」


両足の間に剣を突き立て、柄を握ったミーク王女が周りの者を見回して言った。


「はい。

 ミーク王女殿下の傍に居る者達の中に、反逆者が含まれているのです。

 ラル王女様の王位継承権をミーク様に譲らせ、

 政権を牛耳ろうと目論む者達が。」


カラン参謀が話す途中に、手で制したミーク第2王女が、


「そなた達は私を馬鹿者だと思っているのか?

 うつけ者と考えておるのか?」


剣の柄を握り締め、身体を震わせる。


ーうわっ、怒ってる怒ってるー


シャルの後に控えているチアキにも、ミーク王女が激怒の為に震えていると思えた。

だが。


「あっはっはっはっ!こりゃいい。そうだな、ビシラス。

 ここまで騙せ通せるとは上出来だろう。」


大笑いをするミーク王女にビシラス中将以外の者、全員がまたまた驚きの顔を見合わせた。


「ど、どう云う事なの、ミーク姉様。ビシラス?」


シャルも訳が解らず、二人を観て困惑するばかりだった。


「はっはっはっ!策を練るなら味方をも・・・ってな。

 私がシャルレットやお父様を裏切る筈がないだろ。」


「は・・・い?」


ミークの言葉に眼が点状態となるシャル。


「確かにラル姉の事は好いてはいないが、特別妬みや恨みなんてない。

 いや、本当の処はラル姉様が羨ましかっただけなんだ。

 美貌びぼうかしこさに。

 だから私は武術に打ち込んでいただけ。」


苦笑いを浮かべてシャルに話すミークの瞳は、綺麗な碧さを湛えていた。


ーミーク王女の瞳に、嘘偽りは感じられない。

 この人は本当の事を言っている。-


二人の王女を見比べてチアキは思う。


ーシャルも周りの人も。ミーク王女の事を誤解していたんだ。だとしたら・・・-


胸元のペンダントを押えた手を、ゆっくりとシャルの背に伸ばして、


ーシャルの考え違いだったのかな。

 だったら姉妹で争うなんて必要はないから、一安心なんだけど。-


シャルの心が安らぐと想った。


「どうして。ミーク根様はいつも・・・

 いつもボクに何の相談もしてくれないの。」


下を向いたシャルがポツリと呟いた。


挿絵(By みてみん)



「え!?」


ミーク王女とチアキが同時に聞き返した。


「どうして、そんな大事な話をボクにしてくれないの?

 どんな想いをボクがして来たと想っているの!」


シャルの言葉には怒りはなく、只・・・悲しみだけが募っていた。


「あ。いや、だから。

 味方にも解らない様にしようと思って。

 どこから敵に漏れるか解らなかったから・・・。」


シャルの表情に、ミーク王女がしどろもどろになって弁解するが。


「ミーク姉様はボクが信用出来ないんだよね。

 ビシラスには話せても、実の妹であるボクには話してくれないんだね。」


瞳に涙を湛えたシャルが立ち上がって言うのを、

うろたえ動揺するミーク王女が、


「違うんだシャルレット。話を聴いて・・・。」


哀願する様にシャルを停めるが、


「だったらビシラス達に話してよ。

 ボクなんかに話したって役に立てないからっ!」


溢れる涙を零し、シャルは会議室から走り出て行く。


「シャルレット!待ってっ、待ちなさいっ!」


ミーク王女の引き止める声を無視して、シャルは逃げ出す様に走り出していた。


「あっ、王女殿下っ、お待ち下さいっ!」


シャルを追う様に、チアキもまた走り出す。


「おいっ、警護官。シャルレット殿下を連れ戻して来いっ、善いな!」


ビシラス中将の声がチアキの背後から聞えた。

突然現れた第2王女ミーク殿下に、シャルは泣きながら抗議したのです。


耐えられなくなったシャルが飛び出すのを追って、


私もその後を追いかけました。


次回 王女シャルチアキ Part5


君は難癖付ける者と対峙し、闘う事を受けるのか?

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