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第1章 New Hope(新たなる希望)Act9輝く希望 Part3

だーからっ、ミハルたん。


砂漠で肌を露出したら駄目なんだってば。



挿絵(By みてみん)


「ミハル姉、チアキ!

 後方に居る者達が向かってくるよ・・・・どうする。闘うのかい?」


マモルがペリスコープを睨んで判断を委ねてきた。


「さて、どうしたモノかな。

 オスマン側から命令は伝えられてない?」


撤退の許可を求めている筈なのだが、未だに報告は入っていなかった。


「まだ来ないな、オスマン側は何をしているんだろう。」


マモルがヘッドフォンに手を当てて報告して来ない事をいぶかしんだが、


「何かあるんだろうな、命令を下してれない訳が。」


ミハルを見て、そしてシャルに顔を向けた。


マモルの眼に写るシャルは、たまらずマモルの視線から逃れるように顔をうつむける。


「命令が来ようと来まいと・・・関係ないわ。

 退く時は退くから。

 だけど奴等は何が狙いなんでしょうね。」


ミハルがキューポラから観測を続けて言った。


「まあね、姉さん。 

 今度は先の相手とは違うみたいだね。」


ミハルとマモルは迫る部隊がISⅡとは全く違う者達に操られている事に気付く。


「奴等こそ我等が敵。

 <魔女兵団>・・・魂を戦車に封じられし者達の集り・・・か。」


マモルが迫る車体に紋章が浮んでいるのに気付き、


「敵は<魔女兵団>のM4型6両。

 まあ、恐い相手でもないし、

 アウトレンジから撃てば一方的に捻れるけど・・・どうする?」


ミハルに判断を委ねる。

MHT-7に対してM4型の砲ではよほど接近して撃たなければ、効果は期待できる術もない。

一方的に捻れるとマモルが言ったのも無理はなかった。


だが、ミハルはもう一つ気付いていた。


「タルト、反転180度、防衛を放棄して後退する。」


ミハルの判断に皆が驚く。


「えっ?後退だって?どうしてなんだい?」


マモルが訊き返すと。


「奴等が手強いとは思えないけど。

 奴等に同乗している人達が恐いの。あの人達を傷つけてしまうのが・・・。」


ミハルの言葉にマモルが観測し直すと、


「あっ!」


近寄る戦車を良く観ると、車体後方エンジンパネル上に蠢く人影が見えた。


「彼等は<魔女兵団>と共同戦線を張っているつもりなのでしょう。

 自分達が人間の盾にされているなんて想う事も無く。」


チラリとチアキを観てからそう教えて、


「奴等を撃破すると言う事は、彼等も破壊に巻き込み傷付ける事になる。

 それでは憎しみを拡げてしまう。

 反乱軍との和睦が望められなくなる・・・それが<魔女兵団>の狙いなのでしょうから。」


ミハルの説明に、ミリアも唸る。


「何て奴等だ。ちくしょうめ!」


手にしていた砲弾を叩いて悔しがった。


「出来る事ならISⅡの乗員を救い出したかったのだが。

 同乗している人達に任せるしかないな。」


ミハルの判断に頷いたマモルが燃えるISⅡに敬礼を贈った。


「ミハル先輩、撤退命令はまだ下されていないようですが。いいのですか?」


ミリアがシャルを気にしながら伺うと。


「撤退とは言っていないわミリア。

 これは後退、戦術的な転進・・・まあ、屁理屈だけどね。」


ミハルもシャルを観て、そう答えた。


「戦車に乗った人達が、街へ着いたらどうすると思う?」


「あ・・・。」


ミハルが教えたのは、


「あの人達が<魔女兵団>の戦車から降りたら・・・。

 私達の本当の敵へ再度攻撃を掛けて・・・撃滅します。」


車内を見廻したミハルが、戦闘の継続を告げた。


「なるほど。

 狙いは飽く迄、<魔女兵団>の戦車って訳ですね。」


後退する訳に納得したミリアが、ポンと手を打った。


「そう言う事。

 彼らに街へ侵入を許す事となるけど。

 オスマン守備隊へ、急ぎ街から離れるように連絡してマモル。」


ミハルの指示にマモルが無線機に向かい、即刻通信を始めた。


「では、タルト。

 視界ギリギリのラインまで後退して。

 再突入の時期は、私が判断するから。」


頷いたタルトが、全速で後退を始める。


「ふうぅ。」


チアキがため息を吐いて、力を抜いた。


「チアキ、暫く魔鋼状態を解いて宜しい。魔鋼機械停止。」


ミハルの命令でミリアがボタンを押して停める。


「はい・・・解りました。」


チアキも魔法力を放つのを止めて、肩の力を抜いた。


「チアキ、大丈夫?」


シャルがそっとチアキの肩に手を触れて訊いてきた。


「うん・・・何とか・・・ね。」


先程のショックに耐えていた心が折れそうになるのを、

気丈に振る舞う事で保っているチアキの眼から涙が溢れてくる。


「あ・・・あれ。

 何で涙が出るんだろ。」


チアキはシャルに触れられただけで、心が休まったように感じていた。


「ごめんね、チアキ。辛い想いをさせてしまって。」


チアキの涙に責任を感じたシャルが、触れていた手に力を入れて掴んだ。


「シャルの所為じゃないよ。

 私は砲手なのだから。皆を守る責任があるのだから。

 砲を撃つのが、私の務めなのだから。」


チアキはシャルの手を取り、自らの決意を確かめるように話した。

ミハル分隊長の判断で、後方に退く事に決まりました。


シャルを守る事は出来たのですが・・・・


闘いはまだ終わりを告げている訳ではないみたい・・・です。


次回 輝く希望 Part4

君は闘う為の新たな力を与えられようとしていた・・・

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