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第1章 New Hope(新たなる希望)Act8潜む者の影 Part4

挿絵(By みてみん)


チアキが上着を脱いで説明してます。


「私達フェアリア派遣隊の服装は・・・Tシャツにパンツですよ?」


”チマキ”・・・ありがとう。

「ミハルから報告が来たんですってね?」


ユーリとカスターが今後の方針を練っている処に、リーンが現れた。


「ああ宰相姫、そうなんだけど・・・難しい問題なんだよ」


カスター政務官が振り返って答える。


「どうやらあの国でも何者かが暗躍しているようなんだが。

    ・・・クワイガンの手の者か、それとも」


「国家転覆を企てる者なのかが、判断出来ないの」


ユーリが後を継いで教える。

二人の返事に頷いたリーンが、今一度訊いた。


「それでミハルは何と?」


宰相姫リーンの問いにカスターが答えたのは。


「一度オスマン政府に内戦の停止を交渉出来ないものかって、言って来たのだよ中尉は」


難しい顔で答えるカスターに、ユーリが付け足す。


「でも、それは内政干渉問題になる。

 オスマン側は、到底受け容れないでしょうね」


ユーリの捕捉に頷いたカスターが、そこで自分たちが考えた方策をリーンに告げる。


「そこでだ。

 オスマン政府と反政府・・・

 その両方に内戦の停止を働き掛けようと思う・・・内々にね」


黙ってカスターの言葉に耳を傾けるリーンが頷く。


「そこで特使を派遣する事にしたんだよ、リーン」


カスターの一言で目を輝かせかけたリーンに、


「リーンに往って貰う訳じゃないわよ」


ユーリが釘を差した。


「えーっ?じゃあ誰にぃ?」


思いっきり落胆したリーンが、訊き返すとカスターが外に控えている者を呼んだ。


「入ってきて下さい・・・お二人供」


呼び声に導かれる様に、ドアを開けて入ってきたのは。


「えっ!?あなた達は!」


挿絵(By みてみん)



リーンの眼に写った者が、軽く会釈する。


「そう、リーン。

 この方達が特使としてオスマンに往かれるの」


ユーリが二人を紹介する。


「政府側と、反政府側。双方に・・ね」


リーンの瞳に映る二人が頷いた。





_____________





「いいですか、参謀殿。

 私達が闘っている間に反乱軍が攻め寄せた時にだけ、発砲してください。

 決して先に撃ってはなりませんよ?」


キューポラからミハル中尉が頼んだ。


「判った。専守防衛に徹する」


参謀の了解を得たミハルが、頷く。


「それでは、王女殿下をお預かりします。

 撤退許可が下されたら、お知らせ下さい」


最後にそう言って、話を締めくくった。


頷き返した参謀を横目に、


「タルト!発進する。・・・戦車前進(パンツァーフォウ)!」


「了解!」


MHT-7の操縦員となったタルトが、復唱し、進みだした。


「狭い処で申し訳ないのですが、暫く我慢してくださいね、王女」


キューポラから見下ろして、その少女に告げると、


「ううん、大丈夫。

 だってチアキと一緒に居られるんだから」


少年の様な純真そのものの瞳で、ミハルを見上げるシャルが答えた。

その微笑む笑顔はミハルにとって、懐かしい想いを思い出させる。


ー 私もきっとリーンに今の王女みたいな瞳を向けていたのかな。

  大切な人と一緒に居られる喜びを感じながら・・・-


リーンを想い、少しさ寂しさを覚えたミハルがシャルの笑顔から瞳を外して。


「では王女。これより戦闘となります。

 予備のヘッドフォンとマイクを着けて下さい。

 そうしなければ、耳を傷めてしまいますから」


自らもヘッドフォンを着けながら、シャルに注意を促した。


「シャル、これを」


チアキが砲手後方、キューポラ下部にある車長席にある

予備ソケットから伸びた装備をシャルに着けてやり、


「使い方は解る?マイクを喉に当てて喋ればいいんだよ」


教わるままに、着けられたマイクを押し、


「ありがとうチアキ・・・聴こえた?」


装備の確認をすると。


「それで良いですよ殿下。ちゃんと皆に聞えてますから」


装填手のミリアの声が、ヘッドフォンから聞えて、シャルがミリアに頷いた。


「ごほんっ、それではこれより攻め寄せる者に対して、敵対行動に入ります。

 もし、撤退命令が告げられたなら、速やかに後退する事にします」


ミハルの声がヘッドフォンから聴こえて、シャルがチアキと目配せする。


「ですが・・・どうやらその前に、一戦交えなくてはならないようです。目標確認!」


キューポラで観測中のミハルの声が急に険しくなった。

その声に弾かれたかのように、チアキが新式照準器へと取り付いた。


「あ!」


その画面には、砂漠の中から現れる様に姿を見せた一両の戦車が映った。


「どうやらこの街を狙っているのは、反乱軍だけではないみたいね」


ミハルの声が聴こえて、


「敵の無線を傍受。敵も此方を発見した模様!」


今は無線手を務めるマモルも告げる。


「あれは・・・」


照準器に映る車両を見詰めて、チアキが口篭もる。


「目標は後方に別働隊を伴っているみたいね。

 それにしても、先発があの一両だけだとは。

 完全に一騎討ちを求めているようね」


「だろうね、ミハル姉。

 奴から邪な気が溢れているのが感じられるよ」


ミハルの観測に付け加えてマモルが教える。


「では、決戦といきますか?」


こぶしをポキポキ鳴らせてミリアが準備に掛かる。


ー え?え!?ミハル中尉もマモル准尉もミリア小隊長も。

  凄い人達は余裕なんだな。

  でも・・・撃つのは私なんですけど・・・-


チアキは冷や汗を掻きながら3人の士官達に想うのだった。

私達の前に、その姿を現す敵。


それはMHT-7にとっても、侮れない車体です。


重戦車<ISⅡ>!


闘いの時が来たようです!


次回 輝く希望 Part1


遂にその能力を現す時が来た。君の魔法石が車体に魔法の力を与える。

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