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第1章 New Hope(新たなる希望)Act8潜む者の影 Part3

ミハルは、二人の前に立つ。


少女達の魔法石に纏わる話を告げ、決意を確かめる為に。


そして、チアキは授けられたちからを知る事となる。

「あなたには秘められたちからがあるの。

   いいえ、与えられたちからが・・・」


ミハルのブレスレットが輝きを放ち終わる。

チアキの胸に下げられたネックレスだけが碧き光を放ち続けていた。


ちから・・・ですか?」


輝く魔法石を見詰めながら、ミハルに訊くチアキ。


「そう。元々あったちからに与えられたの。守るちからが・・・」


浮かび上がった紋章を指しながらミハルが教える。


「ボクの指輪・・・魔法石の力?」


シャルが色を失った指輪を出して見せる。

頷いたミハルが、


「そう・・・チアキに与えられし力は王女が与えたみたいですね。

 でも、それはいにしえからの宿命さだめなのだと思います」


チアキのネックレスには剣と盾の紋章が浮き出ているのを見て、


「攻めるだけではなく、護る事をも出来る様にと、

 天が授けられたのでしょう。

 ・・・宿命さだめを背負わせる為に」


真剣な瞳となってチアキを見た。


「宿命?それは一体?」


チアキが答えを求めた。

今は天の使徒たるミハル中尉に。


「この国へチアキが来たのも、シャルレット王女と出逢ったのも。

 きっと天の導きだと思う・・・

 チアキが王女を守る術を持つ者だったから」


答えられたチアキがシャルを見る。


「私にシャルを守らせているのが、天の宿命さだめだと?」


「そう。だからちからを与えられたの。

 チアキが全てを賭けて護れる為に。

 攻守の力を放つ事が出来る様に」


シャルとチアキに告げたミハルが窓の外に振り向いて話す。


「さあ、もう直ぐそのちからを放つ時が来る。

 あなたのその力で、シャルレット王女を守る戦いの時が来たのよ」


ミハルの瞳は碧く染まり近付く者を感じていた。


「分隊長・・・では部隊はどうされるのです?」


チアキが派遣隊を危惧して訊いたが、


「隊はもう後退したわ。一両を除いてはね」


「えっ!?ではたった一両で闘うと言うのですか、ミハル隊長さん?」


シャルが驚いて聞き返すと。


「ええ。相手が戦車ならともかく、人なのですから。

 撃退出来るでしょう・・・ですが」


ミハルはその碧き瞳を二人に向けて言い足した。


「ですが相手が別の者なら、話は違ってくるでしょう?」


「別の者・・・?」


シャルが意味を問う。


「・・・まさか分隊長。相手は人では無いと?」


チアキが気付き、その真意を訊ねたのです。


「人だった者。魔法使いだった者。その魂を宿した戦車・・・」


ミハルの瞳が鋭さを増す。


「<魔女兵団>!?どうして?

 今此処へ迫っているのは独立運動軍だった筈?!」


シャルが驚きの声を挙げた。


「分隊長っ、では二つの敵と同時に闘わねばならないのですか?」


チアキも2正面戦闘を危惧して聞き返してきた。


「いいえ。彼等は手を結んだ。

 騙されているとは知らずに。

 利用されているだけだと判らず、地に潜む者と手を組んでしまったの」


「地に潜む者?」


チアキの問いに、ミハルが答える。


「そう、地に潜み、この国を我が物と企てる者によって。

 第1王女の魂を奪ったようにね」


シャルの身体がビクリと跳ねる。


「解ったかしら、2人共。

 参謀殿が撤退命令を受託するまでは、

 戦わねばならないのでしょう?シャルレット王女殿下」


ミハルの問いに俯いて頷くシャル。


「ええ・・・隊長さん。それがボクの務めだから・・・」


シャルの決意に頷き返したミハルは、


「では、シャルレット王女、私と共に戦車へお乗り下さい。

 あなたの身は、私達がお守りしますから」


「私達?」


訊かれたミハルはニコリと笑い、


「ええ、狭い処ですが。

 外に居るよりは安全だと思いますよ」


自分の車両に同乗する事を勧めた。


「え?でも・・・今、私達って・・・一両だけなんですよね、残っているのは」


チアキが自分はどうすれば良いのか、解らなくて訊いてみたら、

ミハルがあっさり命令を下す。


「チアキ一等兵は只今より我がフェアリアが誇る重戦車MHT-7の砲手に任ずる、いいわね?」


最後はニヤリと笑い、チアキに命じたのであった。


挿絵(By みてみん)



「え?えええっ?ミハル分隊長と?

 マモル准尉の車両に?」


驚いたチアキが大声で叫ぶ。



「何だ、チアキ。

  僕と一緒じゃ・・・不満か?」


突然、廊下の向こうからマモルがチアキを制した。


「あっ!マモル准尉っ!」


チアキが、声の主に振り向くと。


「あ~、ごほんっ。私も居るからな」


マモルの陰からミリア准尉も現れた。


「え?えええっ?ミリア小隊長も?」


更に驚きの声を挙げるチアキに。


「な~に、チアキぃ。

 私達が守ってあげるって言うのに、不安なの?」


悪戯っぽくミハルが咎めると。

首をブンブン振ったチアキが、


「めっ、滅相も無いっ!光栄ですっ」


3人を見たその瞳は驚きと感動に輝いていた。


「へー。フェアリア搭乗員中、3人の士官が一両に集まってくれたんだ。

 ・・・だけど、車長は3人も要らないんじゃあ?」


シャルが小首を傾げて問い掛けると。


「王女殿下。

 車長はミハル姉、僕は無線手兼予備砲手。

 ミリアさんは、勿論装填手ですよ」


マモルが一人づつ指差し教えた。


「と、言う訳で。

 王女殿下、早速搭乗の程を」


ミリアがウィンクをしてうながした。


「うん・・・じゃあ、参謀にこの事を」


シャルが呼び鈴を鳴らして、当直参謀を呼び出した。

私は士官3人の乗る戦車に搭乗する事になりました。


シャルと共に。


シャルを守る為に・・・。


次回 潜む者の影 Part4

君は遂に目覚めるのか・・・本当の魔法戦車乗りとして。

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