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第1章 New Hope(新たなる希望)Act6震える心 Part4

挿絵(By みてみん)


シャルと共に参謀達に会ったミハルは約束を取り付ける。


同盟国として、そして今回のような事の無い様・・・。

「フェアリア隊に感謝する。我が軍を代表して。」


4人の参謀が片膝を着き、ミハルに平伏した。

ミハルの手から額を離した参謀が、


「これまでの無礼をお詫びする。

 歳若い娘と、多寡を括っていた我々の態度を。お許し願いたい。」


改めて今迄の無礼を詫び、


「そして<フェアリア皇国>に対する我等の考えも。

 計り知れない魔法使いを送り込んで頂いた、

 友邦国に対する態度も改めたいと思います。」


ミハルを含めてフェアリアに対しての態度を改めると言った。


「いいえ、参謀殿。

 我々の兵力を考えれば当然の事だと思います。

 僅か百名足らずの兵力、指揮官は私の様な娘なのですから。」


微笑んで答えたミハルは、


「ですが、敵は私達の兵力より強大な力を持ち始めている事も理解してください。

 奴等の狙いが魔法使いの魂だという事にも。

 今回の様な事の無い様に、お願いしたいのです。」


苦言を告げる事も忘れなかった。


「肝に銘じて、お誓いする。」


平伏した参謀が約束したのに納得したミハルが頷き、王女にも微笑んだ。


「うん、これで良いね。

 ボクからも一言あるんだネイサ少佐。」


名を呼ばれた参謀がシャルに訊く。


「何でございましょうか、シャルレット殿下。」


改まるネイサ少佐にシャルが言う。


「このチアキがボクを救ってくれたの、こんな怪我までして。

 その恩に報いるには、どうすれば善いと思う?」


ネイサ少佐はチアキの左足を見て、即座に答える。


「我が国の伝統としては、薬湯をご用意致すのが慣わしです。

 疵から悪い病気が入る前に。」


少佐の答えにシャルが満足そうに頷く。


「直ちに用意させますので、暫しお待ちを。」


シャルの頷きに少佐は3人の前から立ち退いて行った。


「うん、これで良い?ミハル隊長。」


シャルが微笑むミハルに訊く。


「ええ、王女殿下。参謀の方も約束してくれましたから。

 では、私はこれにて。」


納得したミハルが引き上げようととするのを、シャルが停める。


「待って、魔鋼騎士マギカナイトミハル。

 話はこれからなんだ。」


口調を改めて呼び止めたシャルに、


「やっと本心を話される気になってくれましたか。シャルレット第3王女殿下。」


微笑んだままミハルが、その真剣な瞳に答えた。


「え?分隊長・・・本心って?」


二人の話に着いて行けず、チアキが小首を傾げる。


「やはりボクが頼れるのはあなたしか居ない。

 噂通りの凄い人なんだね、シマダ・ミハルと云う騎士ナイトさんは。」


シャルがミハルを見詰めたまま頷いた。


「シャルレット王女殿下、私達フェアリア派遣隊に何を求めているのですか?

 何の為に近付いたのです。その訳をお聞かせ下さいませんか。」


ミハルの瞳が王女に答えを求める。

碧く染まった真剣な瞳で。


チアキは二人の真剣さに戸惑いを覚えた。


ー2人は何を言っているんだろ。シャルも中尉も近寄り難い位真剣だ。-


代わる代わる二人を見て、チアキは想った。



「何から話せば良いのか。

 ボクが此処へ来た理由は・・・助けを求める為。

 ちからある魔鋼騎士に救いを求める為なんだ。」


そう言ったシャルがチアキに瞳を向けて、


「今回、ボクが悪巧みをしたのも、その力を探りたかったから。

 我が軍の魔鋼騎士に劣るのなら期待出来ないと思ったから。

 チアキにも悪い事をしたと思っているし、

 まさか<魔女兵団>が、襲ってくるなんて思ってもみなかった。」


頭を下げて謝ったシャルは、


「でも、これではっきり解ったんだ。

 我が軍の魔鋼騎士は、チアキにも劣るって事が。

 そしてシマダ・ミハルは、その何倍も凄い魔鋼騎士なのが。」


ミハルに向き直って口を震わせて言った。


「どうかオスマンを救って。

 ボクの姉様を助けて下さい。

 ラル第1王女を闇から解き放って!」


必死の願いが、シャルの心からほとばしる。


「闇から・・・解き放つ?」


チアキが横から訊き直す。

シャルはチアキに頷き、


「そう。ボクの姉様は突然気を失って倒れたんだ。

 そしてそのまま眠りに着いたままなんだ。

 病気で起きれない父様の後継者たる、ラル姉様が!」


オスマン帝国皇室内の異変を教えた。


「シャルレット王女、それで第1王女様は何故闇に囚われたと?」


ミハルが碧き瞳で訊く。


「それは・・・あの女が言ったの。闇騎士が現れてボク達に告げたの。

 姉様の魂は闇へ貶められたと・・・。」


シャルが俯いて話す。

悲しい現実に耐えかねる様に。


「闇騎士・・・その者の名を教えて下さいますか、王女。」


ミハルの瞳が鋭さを増し、答えを求めた。


「リン・・・そう、リンカーベルって名乗りました。」


シャルの答えにミハルの眼は悲しげに、まぶたを閉じた。


「ミハル中尉?」


ミハルの顔にかげりを感じたチアキが想う。


ーミハル中尉は何を知っているのだろう。

 私には判らないけど、きっと中尉は心に秘めた事を持っているんだ。-


チアキはシャルの願いを黙って聴くミハルの姿に、言い知れぬ不安を感じた。


シャルの口は心の中と同じ様に震え続ける。

ミハルの返事を待って。

希望と絶望の狭間で。


それは、心からの願いに希望をもたらす事となるのか。

それとも・・・。


シャルは震える心で、その言葉を待った。

ミハル中尉の顔色が変わったのです。


闇騎士の名を聴いた瞬間に・・・。


その訳は・・・私には解りませんでした。


それから、ミハル中尉は隊へ戻ろうとされたのですが。


・・・あ。

やっぱり・・・損な娘なんだって解りました。

ある意味、最強ですね。ミハル中尉って・・・


次回 震える心 Part5「お約束」


君はどうしてそうなんだい?ドジッ娘本領発揮!そして<お約束>お風呂回!!!

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