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第1章New Hope(新たなる希望)Act5希望の輝き Part5

チアキ達は再び敵に突入する。


シャルを護る為。


あらん限りの力を放って・・・。

「チアキ!?なぜ戻ってくるの!?」


砲弾が飛び交う中、シャルはまだハッチに半身を出してその車両を見詰めていた。


射撃を繰り返し敵弾を避け、闘いを挑むその車両は、碧き紋章を浮かべていた。


    <ガッギイィンッ>


シャルの乗る戦車に”チャーチル”の76ミリ砲弾が命中した。


「きゃあっ!」


身体中に衝撃を受けて、悲鳴をあげるシャルに、聞えたのは操縦手の叫び声。


「車長っ隊長!右側動力停止っ!足回りをやられましたっ。動けませんっ!」


絶望的な報告を告げる叫びだった。


「チアキ・・・・。」


気を失う瞬間に、シャルは友の名を呼んだ。




「オスマンの魔鋼騎、停止!斯座した模様!!」


ダニーの叫びがチアキの胸を締め付ける。


「なにっ!?やられたのかっ!」


ミリアが焦りの叫びをあげ、その車両に眼を向ける。

数発の弾を受け停止しているオスマンの車両は、

まだ碧く光る紋章を浮ばせているのが解った。


「まだ、光は消えていない。助ける事が出来る。

 チアキ、奴等の砲を撃たせるな。撃てっ、こっちへ惹き付けるんだ!」


必死の命令が、ミリアから発せられる。


「はいっ!」


オスマン車両を狙う敵に照準を着け、射撃を続行するチアキの瞳に、

残りの22両が立ちはだかる。


ーシャルっ!生きていて。・・・私が護るから。

     絶対救ってみせるから!-


57ミリ魔鋼弾が、敵に飛ぶ。

側面を見せていた重戦車に穴が穿かれる。

だが。

ダメージが少ないのか、命中した敵は尚も砲塔を回し続けている。


「くっ!」


次弾を他の車両へ放つ為照準を替えていたチアキは、狙われている事を忘れていた。


    <ガッギュンッ>


敵の弾が砲塔側面を削り採り弾けた。


    <バシッ>


命中の衝撃で車内のビスが抜け跳び、


「くうっ!」


チアキの足を傷つける。

左足に激痛が襲う。

一瞬顔をしかめたが、構わず射撃を継続した。


  <バアンッ>


オスマン隊に砲を向けている車両目掛けて撃ち続けるチアキは、

徐々にちからが抜けていくのを感じていた。


ー力が・・・持たない。魔法力がどんどん無くなっていくのが解る。-


魔法力と気力が減り続け、チアキは肩で息を吐く。


挿絵(By みてみん)



「でも、私はシャルを護るんだ。

 友達を護れなくて・・・魔鋼騎士になんて成れる訳無い!」


気力を尽くして射撃を継続するチアキに、


「チアキっ!何としてもあのオスマン戦車を守れっ。

 シャルレット王女があの中に居るんだろ?」


ジラが呼びかける。


「ジラさん?」


チアキが振り返る。


「そうだチアキ。お前の友達なんだろ。

 目の前に居る友の危機を指を咥えているだけなんて出来っこないだろ!」


ダニーがチアキを応援するかの様に、指を立てた。


「ダニーさん?」


「さあっ!突っ込んでやるぞチアキ。

 お前の射撃に全てを賭ける・・・任せたぞ!」


ニコがハンドルを握り直し、叫びかけた。


「ニコ兵長・・・。」


チアキは眼を見開く。


「チアキ・・・お前の力はそんなものか?

 お前の想いはその程度なのか?

 護ってみせろ友を、大切な人を!」


ミリアがそっとマイクロフォンを押して言う。


「ミリア車長・・・。」


見開いた瞳に、再び力が宿る。


みんな・・・。私、絶対諦めないっ。絶対守ってみせるっ!」


    <ブゥオオオンッ>


チアキの決意に魔鋼機械が吼える。


「いくぞ!奴等から友を護れっ、チアキっ!」


ミリアが命じる、闘う事を。


「はいっ!」


チアキの瞳は碧く輝き続ける。



___________________



「ふふっ。あの輝き・・・本物・・・ね。」


碧い髪を靡かせる魔鋼騎士が、ブレスレットを翳して微笑む。


「あのも、形だけは魔鋼騎乗りになったと言う訳ね。

 諦めない力を手に入れたみたいね。」


車体に描かれた<光と闇を抱く娘>の紋章が、碧く輝きを放つ。

そのキューポラでミハル中尉が微笑みを湛えて戦場を見詰めていた。


「ならば私達は新たな戦友を守らねばならない。

 能力ちからに目覚めた新たな魔法使いを助けなければならない。」


ミハルの瞳が鋭さを増し敵を睨む。


挿絵(By みてみん)



「チアキとその友を傷つける者を許しはしない。

 闇に堕ちた者から救わねばならない!」


ミハルのブレスレットが金色の光を放つ。

<魔女兵団>の戦車隊を睨む瞳が、金色こんじきに染まる。


「アルム・・・マモルに言って。

 ミリア達を護りますって。邪な者から二人を救い出すように。」


ミハルの命令に無線手のアルムが頷き、


「了解!」


復唱し、第2小隊長車へ伝達する。


「ルーン!

 構わないから片っ端からやっつけて。

 特にあのを狙う奴を優先してね。」


「射撃準備よしっ。いつでも撃てます、隊長!」


ルーンが即座に魔鋼弾の射撃態勢を整えて、射撃命令を求めてくる。


「よしっ、奴等に戦車戦を教育してやろう。

 距離4000、敵速20。攻撃始めっ!」


ミハルの号令で6両の中戦車が砲口を揃える。


「突撃準備よろし。

   蹴散らしてやりましょう。」


タルトがぶすりと言った。


「よしっ、全車・・・射撃始めっ。

   撃ちぃー方、始めっ!」


ミハルの乗る”パンテルⅡ”型の10センチ魔鋼砲が、ピタリと一両の重戦車を狙い。


      <グワオオオンッ>


攻撃の火蓋を切った!




私の力が足りないから。


友達が傷付くの。


もっと強くならなきゃ、あの人のように・・・。


次回 Act6震える心 Part1


君はその人の元へ駆けつけねばならない。それが務めと解るのなら。

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