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第1章New Hope(新たなる希望)Act5希望の輝き Part1

挿絵(By みてみん)


ミリア小隊が目的地へ近付くと。


前方から見えてきたのは?

 「ミリア車長! 前方に煙が見えるそうです。」


ダニーが偵察に出ている3号車からの報告を受けて、ミリアに告げた。


「煙・・・だって?

 詳しく報告しろと、3号車に命じるんだ、ダニー。」


マイクロフォンを押してミリアが命じる。


「了解!」


ダニーの復唱を聴いて、ミリアは考える。


ーオスマンの魔鋼騎とやらは、何を考えているんだ?

 煙なんかを上げて・・・。

 さては自分は此処に居るから早く来いって知らせているのか?-


未だにシャルの悪巧みだと信じているミリアは考えた上、


ーそちらがそう来るなら話は早い。

 とっととやっつけて、ミハル先輩には敵わない事を見せてやれば済む事だ。-


思い込んだミリアがニコに命じる。


「よし、ニコ。我々も近付くぞ。戦車前へ!」


2号車を率いて3号車と合流しようとした。


ーあーあ。これで良いのかなシャル。

 ミハル中尉にちゃんと言っておいた方が良いんじゃないのかナァ。

 後で、怒られるのは私なんだよ?-


砲手席で考え込んで俯いていると、


「おい、チアキ。何考えてんだよ。」


装填手のジラが訊いて来た。


「あ・・・いえ、別に。ちょっと心配事が・・・。」


言葉を濁して答えるチアキに、


「そうかい・・・へへへ。」


ジラは含み笑いを浮かべて軽く受け流した。


ーう・・・それに皆さんにも迷惑掛けてしまうし。

 やっぱり駄目だよシャル。私には黙っていられないよ。-


考え直したチアキが思い切ってミリア准尉に、

事の真相を伝えようとキューポラを見上げて喉頭マイクロフォンを押した時。


「3号車から至急電です!

 前方の煙は撃破された車両からのもの。

 繰り返します、前方で砲火が見えるとの報告ですっ。

 煙は戦車戦中の車両からの物です!」


ダニーの叫びが、チアキの口を閉じさせた。


「なっ、何だと!本当なのか!?」


ミリアの叫びがチアキを混乱させる。


ーえ?え?どう言う事?シャルはどうするつもりなの?-


頭の中が現状を把握出来ず、チアキを動揺させた。


咄嗟戦闘とっさせんとう!前方の戦場に介入するぞ。

 手前に居るのは同盟国オスマンの戦車隊だ!」


キューポラから観測するミリアが命じる。


「3号車を退き帰させろっ。

 それから分隊長へ報告!<我レ、敵ト遭遇ス>。急げ!」


ミリアは双眼鏡を最大望遠にし、3号車の遠方を見続ける。

ミリアの双眼鏡には、砲火の閃きと黒煙、その下に見える豆粒の様な車体が写った。


「どうやらオスマンの戦車隊は、苦戦しているようだな。

 後退しながら撃っているぞ。」


観測情報を呟きながら、尚も戦場へ眼を向け続けていると、


「車長・・・ミリア准尉。戦闘はどうなっていますか?

 オスマンの戦車隊は何と戦っているのですか?」


チアキがキューポラを見上げて訊いてみる。


「うん・・・まだ敵の正体は見えないが・・・

 オスマンの戦車隊は相当やられているな・・・。」


ミリアは双眼鏡に眼を着けたまま答える。


「そんな・・・。シャルが言っていたのに・・・。

 この辺りで最強の魔鋼騎を呼んだって。」


チアキが言ってしまった。

シャルレット王女が呼び寄せた戦車隊なのだと。


「ああ、チアキ。

 でもな、今目の前で闘われている戦車戦を見ていると、

 どうもオスマン戦車部隊は一両を護ろうとして、犠牲を増やしている様に見える。

 お前が言った、最強の魔鋼騎かどうかは解らないが・・・な。」


「え!?」


ミリアの答えに、チアキは砲側照準器を最大望遠に上げて戦場に眼を向ける。


十字線上に数両のオスマン軍戦車を捉え、その中に居る一両に視線が釘付けとなった。


ーまさか・・・紋章が浮き出ているから・・・魔鋼騎なのに。

 周りの車両が防ぐように立ち塞がって闘っている。-


チアキは魔鋼騎を逆に護る戦術を執るオスマン隊が信じられなかった。


「奴等はあの車両を護らねばならんようだな。

 普通は魔鋼騎が闘わねば話にもならないと言うのに。何か理由があるのか?」


ミリアも目の前で闘われている戦いに、疑問を持って口に出した。


ーそう言えば・・・シャルが言っていた。

 一番良く見える処から観戦するって・・・

 一番良く見える処・・・まさか!?-


チアキは一つの答えを導き出した。


「そんな・・・シャル!あの中に?」


照準器の中で次々に撃破されていく、オスマン戦車に血の気が引く。

目の前が真っ暗となったような気分の、チアキが叫んだ。


「ミリア小隊長!

 あの魔鋼騎の中に、シャルが・・・。

 シャルレット王女が居るかもしれません!」


キューポラに向って叫んだチアキに、


「なんだと?あの王女が?」


ミリアは尚も観測を続けて、

様子を眺め、漸く見えてきた敵に気付く。


「あ・・・あれは・・・<魔女兵団。!」


ーあれは・・・この前闘った中戦車と違う。圧倒的に大きい・・・

 なんだろう、あの車体は?-


照準器にも捉えられるようになったチアキが見詰めていると、

ミリアの叫びがヘッドフォンから聴こえた。


「ダニー!全車に緊急報告!

 敵は<魔女兵団>の戦車。

 繰り返す、敵は魔女兵団の重戦車!エギレスの”チャーチル”重戦車だ!」


照準器の中に入って来たその車体は、

チアキが観てきた車両の中で、最大級に大きな戦車だった。

小隊長が観た物は、<魔女兵団>の戦車隊。


オスマンの戦車を次々と撃破していくその車体に、


私達は眼を剥いて見詰めたのです。


悪魔の様な重戦車を。


次回 希望の輝き Part2

君は友の心に語り掛ける。諦めては駄目だと・・・


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