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第1章New Hope(新たなる希望) Act4困った王女 Part1

挿絵(By みてみん)


出動するミハル中尉を見送るミリア准尉は、


その笑顔に心を安らげるのだった。

「明るくなられた・・・ミハル先輩が。」


第3小隊長車のキューポラで、ミリアが呟く。


「元に戻られたんだ。いつもの先輩に・・・。」


喜ぶその顔は、いつもより明るく笑顔となる。


「そーですか?小隊長。

 私には代わり無いと思えますけど。」


装填手ハッチからジラがミリアを見上げて尋ねる。


「お前とは違って分隊長と私は、”始まりの時”から一緒だったんだ。一目で解るんだ。」


キューポラに凭れ掛かったミリアが微笑む。


「はあ。そーいうものですかねぇ。」


ミリアと共に中隊指揮車の前で指示を下しているミハル中尉を眺めて小首を傾げる。


「これより第1小隊は、報告のあった地点へ向う。

 各員搭乗、出発します。」


ミハル中尉の命令で、中隊第1小隊の3両が出発準備を始めた。


ミハル中尉が乗る”パンテルⅡ型”と、2号3号車の”パンテル”がエンジンを掛ける。


「ミリア車長!分隊長から無線ですっ。」


ダニーがキューポラを見上げて大声をかける。

頷いたミリアがヘッドフォンを耳に押し当て、


「繋げ。」


ダニーに命じた。


「はい、こちら第3小隊長です。」


マイクロフォンに呼びかける。


数十メートル先のキューポラにミハルの姿が見える。


「ミリア留守の間、隊を宜しくね。

 特にあの娘の事を。

 周りに迷惑を掛けない様に、気をつけておいてね。」


昨日までとは話し方まで元に戻ったミハルの声に、ミリアは笑顔で応える。


「お任せを、ミハル先輩。十分注意しておきますので。」


ミリアの返事に、ミハルの笑い声がヘッドフォンから流れてきた。


「えへへ、じゃあ頼んだよミリア。ちょっと行って来るね。」


その人懐っこい声に、ミリアも手を振って応える。


「行ってらっしゃーい。」


ミリアの見ているキューポラの上で、ミハルが手を振って応えている姿が見えた。


「良かった・・・先輩のじゅつが解けて。」



挿絵(By みてみん)



走り去る3両を見送ってミリアが呟いた。


「車長、今朝報告のあった地点に居るのは<魔女兵団>でしょうか?

 それとも部族の人達でしょうか?」


ジラが第1小隊を見送りながら尋ねる。


「うん。それは行ってみないと解らないが、

 どちらにせよミハル中尉に任せておけば大丈夫だろう。」


心配する事はないと、ミリアは自信たっぷりに答えて、


「さて、見送りも済んだ事だし・・・日課を始めるぞ!」


部下達に命令を下した。


「うへぇ・・・やっぱり。」


ジラが慌てて車内へ潜った。

その姿に笑顔を見せたミリアが街の方を向いて、


「さて。

 先輩との約束を守らないとは。見に行ってやるか・・・。」


独り言を呟いた。


空は青く澄んで、日中の暑さを予告しているかの様だった。



__________




「・・・でね。ボクはこんな姿になっている訳なんだ。」


緑がかった蒼髪の少女が、フェアリア皇国の少女に笑いかける。


「シャルっ、あのね・・・いくらなんでも・・・その姿で平気なの?」


眼を背けて恥ずかしがるチアキに、オスマンの王女は小首を傾げて、


「え?だってチアキも女の子でしょう?恥ずかしがる理由が解らないよ。」


肌が露出する薄着・・・そう言えば聴こえは善いが・・・。

シャル王女が身に着けているのは、タンクトップ一枚。

零れる肌が、チアキには眩しく想えてしまう。


「い、いやですから王女様ともあろうお人が・・・ですね。」


思いっきり近付かれたチアキが仰け反って答える。

そんなチアキを見詰めたシャルが、


「それならチアキも脱いじゃいなさいよ。

 堅苦しい事言わないで。その方が暑くないから!」


チアキの制服に手を掛けた。


「ひっ、ひゃあっ!シャルっ、そんなご無体な。」


半ば驚き、半ば笑うチアキの上着を肌蹴はだけさせたシャルの手が停まる。


「それは?チアキの・・・?」


肌蹴た胸元から魔法石のペンダントが現れて、碧く輝きを放った。


「え・・・これ?うん・・・お母さんから貰ったんだ。

 ずっと昔から伝わって来た家宝なんだって。」


ペンダントを取り出して、

シャルに見せるチアキが碧い石に浮ぶ剣が描かれた宝玉を見せた。


「へえ・・・不思議な石だね。これって魔法石じゃないの?」


シャルが宝玉を見て聴いてくる。


「え?シャルって、魔法石の事を知ってるんだ?」


チアキが顔を挙げてシャルに訊くと。


「うん。私も持っているから。  観る?」


シャルが悪戯っぽく笑う。


「うん!観たい。見せて。」


チアキが頼むと、その手を持ったシャルがベットに招いて枕元にある指輪を指し、


「これ。碧い石が付いてるでしょ。」


チアキに教えた。


「ホントだ・・・綺麗な指輪・・・。」


チアキが良く観ようとベットに前屈まえかがみになると、


「ねぇ、もっと良く観たら>」


シャルが含み笑いをしながらチアキの背を押した。


バランスを崩したチアキの身体がベットへ倒れ込む。


「え!?シャルっ?」


ベットの上に倒れ込んだチアキが振り返った時。


シャルがベットへ飛び込んでくるのが見えた。

ちょっ、ちょっと!シャル殿下っ。


そんな事をっ!?


私の目に、ベットに飛び込んで来たシャルの姿が被さってきたの・・・。


これって!?危なくない・・・のかな?


次回 困った王女 Part2


君はその輝きが失われた事に責任を感じるというのかい?

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