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魔鋼騎戦記 熱砂の要塞<闇の逆襲> エピローグ

挿絵(By みてみん)


エピローグ・・・

 空はどこまでも蒼く澄み渡っているというのに・・・



「この空も。

 後200メートルも上昇すれば地獄と化しますよ」


一等航空士が客室で寛ぐ乗客に教えた。


「ええ、電解層とか言う物騒な空間があるのですよね。

 何でも金属質の物がそこに達すると破壊されてしまうのだとか・・・」


乗客の女性が不安げに訊く。


「まあ、場所によっては違うのらしいのですが。

 概ね1000から2000メートルまでは安全だと知られています。

 本船は高度を800メートルに執って運航しておりますので、ご安心下さい」


航空士が一礼して航法技室へと戻って行ったのを眼で追う者が、


「もっと上空へ・・・雲の上まで昇れたら。

 きっと地球の丸みを感じられたのにな」


ため息にも似た息を吐き出した。


「ねぇねぇ、地球って丸いの?

 どれくらい空を昇れば観られるの?」


金髪の若い女性が子供じみた声を掛けてくる。


「そうね・・・一万メートル程も昇れれば・・・かしらね」


若い金髪の女性に、黒髪の女性が答えた。


「ふ~ん、一万メートルって・・・どれくらいなのかも想像できないよ」


小首を傾げた顔に金髪が流れて蒼い瞳を半ば隠した。


「リーン姫にはちょっと難しかったかしらね」


黒髪の女性が、その髪を指で掬って直してやると、


「ぶぅっ、10年間も眠っていたんだから、仕方ないでしょ!」


頬を膨らませて拗ねてしまった。




「本当にリーン様とは別人なんだよね、あの人・・・」


フェアリア軍服から私服に着替えてテーブルに着いた、

若き士官達の中で唯一の少年が皆に言った。


「間違いないと連絡があったわ、ユーリ様から。

 只、本物のリーンとは会わさない様にって念を押された事が気に係るけど」


蒼い髪を長く垂らした少女が答える。


「何かフェアリアに還ったら大事件が待ち構えていそうな・・・嫌な予感がするのですけど」


赤茶毛の少女が額に指を宛てがい呟く。


「ミリア、変な事言わないでよ。

 私達は平和な祖国に帰るのよ、大事件なんて起きはしないんだから」


蒼髪の少女がミリアに注意すると。


「でも、確かにリーンが2人も存在するなんて。

 当のリーンも知らないのなら・・・これは大事件なのかも・・・」


自分で話をややこしくさせてしまった。


「ミハル姉、自爆だよ・・・ソレ」


少年が突っ込みを入れて呆れる。


「確かに言えるのは、このリーン姫を救う為にヤポンからミハル先輩一家が招聘されて。

 今やっとそれが叶ったという訳ですものね。

 でも、何故リーン様に知らせてはいけないのでしょうか?」


疑問点をミリアが訊くが、誰一人としてその訳を知る者は此処には居なかった。


「まあ、そのことも、ユーリ様に訊けばおしえてくれるでしょぅ」


肩を竦めてミハルが言った時。


「乗客の皆様の中で、フェアリア軍籍の士官<魔鋼騎士マギカナイト<の方は居られませんか?

 フェアリア陸軍中尉ミハル・シマダ様は居られませんか?」


先程の一等航空士が、電報を掴んで客室に入って来た。


<なんだろう・・・胸騒ぎがする>


ミハル中尉はすっと立ち上がり航空士に向かって、


「私がフェアリア中尉ミハル・シマダです。何か急用でも?」


殊更ことさら冷静を装って返答すると。

電報を差し出した航空士が、


「この様なモノが本船宛に送られてきました」


そう言うとミハルの手に握らせて、


「王室から直接の電文です。

 あなたはフェアリア王室と近い仲の方なのですね」


一言だけ告げると深く頭を下げて退いて行った。


  ((ドキン))


ミハルは心臓の音が耳から聞こえた様な錯覚を覚えた。


<ま さ か ?  そんなことって?>


電文を見た途端、目眩が襲ってくる。


<どうして?  なぜ? そんな事に?>


ミハルの手から、電報が舞い落ちる。


挿絵(By みてみん)



「どうしたのミハル?フェアリアから何と知らせて来たの?」


黒髪の女性がミハルに尋ねる。

立ち尽くして声も出さないミハルの足元から電報を拾った少年が、

一瞥してミハルと同じ様に固まった。


「マモルまで・・・どうしたんだ?」


金髪の女性と黒髪の女性の傍に居たメガネの紳士が尋ねると、

少年マモルが弾かれた様に叫んだ。


「大変だ!リーン・・・フェアリアに居る方のリーン様が・・・

 何者かに因って略奪されてしまった・・・って書いてある!」


マモルの声に、周りの乗客全員が顔の相を変えた。


唯一人、ミハルを除いて・・・




   熱砂の要塞    終了


引き続き<<フェアリア>>へと、お話は戻ります・・・



これにてフェアリア派遣隊オスマン帝国での活動記録を終了致します。


新たな<魔鋼騎士>となったチアキマーブル少尉。

彼女は果してもう一度祖国の地を踏む事が出来るのでしょうか?

平和を手にし、シャルレット王女と共にフェアリアに居る母の元へ帰る事が出来るのでしょうか?



やがて、この世界は絶望の闇に閉ざされようとするのですが。

それは今、この幸せな2人には知り得る事も無いのです。



さて、ミハルの元に齎された一通の電報。

そこに書かれてあったのはリーンの危機。


一体フェアリアで、何が起きたと言うのでしょう?


ミハル達は祖国フェアリアで起きている変事に漸く気が付き始めるのですが・・・


ここから、お話はフェアリアへと戻るのです。


つまり・・・「魔鋼騎戦記フェアリア」第5章に引き継がれていくのでした!ちゃんちゃん・・・



・・・終って・・・ねぇーじゃんか!?

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