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第2章 熱砂の要塞 Act11 取り戻した人々 Part7

ミハルは遂に両親を取り戻す事が出来た。


その魂をも。


フェアリアから追い求め続けた家族の再会・・・


今感動の対面が叶う!?のか?

ミユキの身体がガラスケースの中で微かに動いた。


ゆっくりと・・・ゆっくりと瞳が開けられていく。


「うむ・・・捕まえられたようだなミハル」


毛玉が手を翳したままのミハルに頷き、


「さて・・・これからが大変だぞ。

 一度宿した魂を如何にして入れ替えるか・・・だが」


動き出したミユキと、情勢を見詰めるリーン皇女に宿った2人に目を配ってからミハルを促す。


「それは任せてルシちゃん。やってみるから・・・

 2人同時に身体から出て貰って・・・戻って貰う事にするわ」


毛玉に答えたミハルが既に術式スペルを唱え終わっていた。


「お母さん、私が案内する方に歩んで行ってね・・・きっと戻れるから。

 それでお父さん、お母さんの身体はもう大丈夫なの?」


両手の先に金色の光を持つミハルが、状態を尋ねた。


「待ってくれ、今調べている・・・」


ミユキが入っているケースに取り付いたシマダ教授が、反応装置を使って身体の検査を行い・・・


「やはり・・・やったぞミユキ、ミハル!

 もう異常な染色体は反応を消した。

 ミユキの体を蝕んでいた病巣は完全に消えた・・・若き魂によって!」


喜ぶ教授、頷くミハル。

微笑み返すリーンの姿を借りたミユキ。


「そっか・・・善かったねお母さん。じゃあ・・・術を放つよ!」


リーンとミユキに向けて手を指し伸ばしたミハルが叫ぶ。


「2人の魂よ、私に集え!」


魂を抜き取る闇の術を2人同時に放った。


挿絵(By みてみん)



闇に穢されていない魂二つがミハルの元へ抜き出され、


「よしっ、じゃあ今度は2人同時に体に戻るよ!」


2人の魂を左右逆転させたミハルの手が戻る術で導く。


「さあ!あるべき姿へと戻って!」


金色の魂が肉体へと戻って行った。


「う・・・うう~ん・・・」


先ず、外に出ていたリーン皇女が気付いた。


「おおっ!ミユキっ、ミユキの目が開く!」


シマダ教授がケースの開放ボタンを押し、中からミユキを抱かかえてくる。


「おお~っ!」


マモル達も思わず感嘆の声を漏らす。


「ミハル・・・どうやら巧くいったようだな、大した者だ」


毛玉がミハルの肩に乗って褒め称えた。


「えへへ・・・ちょっと魔力を使い過ぎちゃったみたい・・・

 もう魔法衣を脱がないと倒れちゃいそう」


その肩を上下させ荒い息を吐くミハルが、毛玉に微笑んで答えた。


「そうみたいだな、もう敵も居ない事だから。いいだろう戻れミハル」


促されたミハルが魔法石に願うと、一瞬で元の戦車兵服姿へと戻る。


「御苦労様、ミハル姉!」


傍に寄って来たマモルの声で振り向くと。


「でも・・・さあ。

 感動の対面って訳にはいかないみたいだね」


ため息を吐くマモルが肩を竦める。


「えっ?どうしてよマモル。やっと2人に逢えたというのに・・・?」


マモルが自分を視ず、ずっと両親の方を見ている事に気付き、そちらに眼を向けると。


「夫婦喧嘩中だもん・・・無理でしょ」


マモルがぼそっとミハルに教えた。


「あ・・・あははは(棒)・・・なんて・・・こったい」


挿絵(By みてみん)



マコトとミユキの夫婦が痴話喧嘩をしている姿を観て、

ミハルは腰が抜けたかのように、座り込んでしまった。


「お母さんって・・・あんなに強かったっけ?」


「だよね・・・」


マモルの呟きに相槌を打つミハル。


ミユキに怒られ、言い返せないマコトを観て、


「でも・・・2人共無事に取り返せたんだね」


「うん・・・これで家族が元通りに還れたんだよね。

 闘いに明け暮れた末・・・やっと取り戻せたんだよね!」


マモルとミハルは両親を観て、そしてお互いの涙を見て微笑み続けたのだった。






「で!?これは一体どういうことなのかなっ?」


温かい気持ちで居た姉弟に、リーンの叫びが向けられた。


「あ・・・リーン・・・様?」


「リーン・・・ホントにリーンなの?」


マモルが振り返り、ミハルが逆に尋ねる。


「むう・・・そなた達に気安く呼ばれる姫ではないぞよ!

 あたしはフェアリア第4皇女リーン。

 リーン・フェアリアル・マーガネット・・・で、あーる!」


どーんと胸を張って2人に言い放つリーン。


「ちょっと・・・ミハル姉」


「うん・・・違うと思う。

 けど、何かの術で記憶操作されているのかもしれないし・・・」


2人はぶつぶつ小声で話し合い。


「あ、あのー。ミハル先輩・・・このリーン様は別の人だと思うのですが」


車両から降りてきていたミリアが傍に依って来て話す。


挿絵(By みてみん)



「でも、ミリア。

 もし本当のリーンだったら大変だよ?何かのショックで記憶を失っているのかもしれないし・・・」


小首を傾げるミハルにミリアがポンと手を打ってから耳打ちした。


「・・・えーーっ!?そんな事をぉっ?」


途端にミハルが飛び跳ねる。


「迷案でしょ、先輩」


ミリアがニヤつくのに対してミハルは頭を抱える。


「た・・・確かに。

 あの術は本人にも解除出来ない<永遠の術>だものね・・・

 判ったわ、この際私の身なんて構っている場合じゃないからね」


ミリアの案にしぶしぶ同意したミハルがリーンの姿をした娘に言った。


「お願いがあるの。

 一言だけ言って貰えないかな・・・あの・・・その。

 <<ミハル、ペットになれ>>・・・って」


ミハルがしぶしぶ同意したミリアの案とは。


<これでこのリーン皇女が我々の知るリーン様であるのか無いのかが、はっきりする>


  ((キラリ))

と、瞳を輝かせたミリアに。


「そ・・・そんな方法があったとは!」


毛玉が神でも思いつかなかった損な方法に・・・舌を巻いた。

微笑む姉弟の前に居るのはリーン皇女?


それとも良く似た別人なのか?


ミハルの損な娘としての実力か?獣耳は生えるのか?


次回 取り戻した人々 Part8

君はフェアリアに残して来た皇女リーンの事を想う・・・リーンの秘密が語られる!

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