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第2章 熱砂の要塞 Act11 取り戻した人々 Part3

シマダ教授は真総統クワイガンと対峙していた。


今迄ずっとチャンスを窺って来ていた事を。

その時が遂に来た事を・・・

「今頃気付いたのか・・・哀れな男だ。

 貴様などに世界を牛耳れる力なんて在りはしない。

 気付くのが遅すぎたのさ、おまえもお前に力を貸した者達も」


シマダ教授が邪な男に言い放つ。


「きっ、貴様!いつから私を騙していたのだ?

 あれ程研究に力を貸してやったというのに。

 闇の力までも使わせてやったというのに・・・

 その娘をも殺さずに連れて来てやったというのに!」


クワイガンが怨み辛みを含ませ言い返す。


「ふふんっ、そもそも私は最初から協力するなんて一言も言ってはいないぞ。

 私の研究に必要な物を調達するのに便利だっただけなのだ。

 ミユキを救う為に私がお前を利用しただけさ」


シマダ教授が一つのガラス容器に手を添えて、真総統に答えた。


「貴様ぁっ!私を利用しただと?

 許せん、この城ごと全てを葬ってやる」


怒り狂うクワイガンが自爆スイッチを作動させる為に、

踵を返して最上部へと走り出した。


「馬鹿な奴だ。

 自分が設計に携わっていないくせに。

 この城を自分が壊せると思っているのか?

 自分一人が未だ、全能の神たる者とでも思い込んでいるのかクワイガンよ!」


背を向けた真総統に、指を突き付け叫んだ。


「なんだと?貴様、どれだけ私を愚弄する気なのだ!

 ならば貴様なら知っているだろう、この城を爆破するすべを。

 全てを道連れにする方法を」


真総統が教授を睨む。


「先程までは確かにあったのだが。

 どうやらそれももう無理なようだ。

 動力室が停止したみたいなのでな、この鋼の城を破壊出来る術は今現在此処には無い。

 諦めるんだな・・・クワイガンよ・・・」


シマダ教授が肩を竦めて言い渡した。


「なんて事だ!全て貴様の狙い通りだというのか!?」


怒り狂う真総統が懐からピストルを取り出し、


「教授よ、貴様の妻の命が欲しくば・・・私の言う通りにしろ。反論は赦さぬ」


挿絵(By みてみん)



一本のガラス管に向けて銃を構える。


「まだ私を脅そうとするのか・・・無駄な事を。

 ミユキを撃ってみろ、貴様も生かしてはおかんぞ」


教授が真総統の銃を見詰めて抗う。


「ふんっ、言っているがいい。私は本気だ」


真総統がガラス管の中に居るミユキの身体に向け拳銃を構え、トリガーに指を掛けた時。


「そこまでよ、真総統!」


白い魔法衣を纏った少女の声がクワイガンの後ろから響いた。




シマダ教授と真総統は、現れた魔法少女を観た。


「貴様は!?」


「ミ・・・ミハルか?」


同時に驚嘆の声を挙げる。

邪な者真総統クワイガンを睨み付ける蒼き瞳の魔法少女ミハル。


「貴様がミハル?

 大魔王サタンの寄り代たる娘、ミハルなのだな!」


真総統が銃を構え直し、ミハルに突きつけた。


「ちょうど良い。お前から此処へ来てくれるとはな。

 しかも一人で・・・飛んで火に入る夏の虫ってやつか」


勝手な事を言う、クワイガンに対し、


「そうかしら。

 あなたには観えないのかな?

 聖なる人の姿が・・・私の守護神ルシちゃんの姿が?」


挿絵(By みてみん)



ふわふわ浮く紅き毛玉を指して教えた。


「な?守護神だと・・・そんな毛玉が・・・か?」


毛玉を見詰めた真総統が嘲笑う。


「言ったでしょ・・・守護神様だって。

 見くびっちゃ駄目よ、ルシちゃんは立派な神様なんだから」


毛玉を腕に載せて、ミハルが言い返す。


「だとしたらどうだというのだ、魔法使いよ。

 この銃が目に入らぬのか?

 弾を防ぐ事がその毛玉に出来るというのか?」


嘲笑う真総統が、トリガーに指を掛けて、


「殺しはせぬが、動けぬ程に痛めつけてやる。

 この弾はリンが放った魔鋼の威力を誇っている。

 一発でお前の魔法力と気力を奪い去れるわ!」


真総統はミハルが神の力を宿している事に理解を持ち合わせていなかった。


「撃ってみなさいよ。あなたの想うとおりになんかならないって事を教えてあげるわ!」


右手のブレスレットが光を放つ。


「ミハル・・・任せて良いか?」


毛玉が敢えてミハルの力を信用して訊いて来る。


「うん・・・こいつだけは。私が倒したいから・・・」


蒼き瞳に金色の光を宿したミハルが頷いた。


毛玉が万一の時に備えて、ミハルの頭上に陣取り様子を観た。


「勝手な事をほざくな。

 弾に素手で立ち向かうだと・・・笑わせるな!」


真総統の指がトリガーを引く。


  ((バシュッ))


至近距離で放たれた光弾が、ミハルに突き当たる。


瞬間・・・


  ((バキンッ))


<・・・なんと・・・ミハルの奴め。受け止めよったか>


毛玉が苦笑いを浮かべ、ミハルの右手に現れた光に頷く。


「ば・・・馬鹿な!魔鋼弾を手で受け停めただと?」


  ((ビシャッ))


弾がミハルの手で砕かれた。


「これが私の力。

 神の力を授かりし、蒼き騎士ミハルの魔力。

 ルシちゃんから与えられた闇を滅ぼす神力じんりょくなの!」


蒼き瞳が邪なる者クワイガンを睨む。


「あなたの罪は重いわ。

 フェアリアにも、ロッソアにも・・・そしてオスマンの人々に対しても。

 あなたは罪を認めて悔い改め、償いをする気はある?真総統クワイガン・・・」


静かに天の裁きを申し渡す神の使徒ミハルの右手が突き出された。


ミハルの前ではクワイガンなど唯の邪なる者にしか過ぎなかった。


神の裁きを言い渡す天の使徒ミハル。

闇の者に裁きを言い渡す時、地獄の門が開くのだった。


次回 Act11 取り戻した人々 Part4


君は両親から引き離された時からの因縁を断ち切る・・・そう、やっと宿願を果たせる時が来たのだ!

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