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第2章 熱砂の要塞 Act10 熱砂の要塞 Part7

遂に・・・魔鋼弾が放たれるのだが。


なぜか余裕の毛玉。

その訳とは?


そして・・・遂に姿を現す。


天のルシファーが・・・

闇が何かの衝撃を受けて軽く揺れた。


「くっくっくっ!神よ、我々の勝ちだ。

 邪な人が<無>を放ったのだ、<無>を撒き散らす弾をこの国を治める者達へとな!」


一匹の悪魔が勝ち誇って喚く。


「いかな神とはいえど、最早防ぐ事は出来ぬ。

 我々を倒したとしても幾万もの魂が手に入るだろう・・・

 そうすれば闇の大王様が復活出来る・・・我々の勝ちだ!」


ご丁寧に説明を加えてくれる。


「極大魔鋼弾を放ったというのね、オスマン王都に向けて」


ミハルが悪魔達に対峙しながら訊き直すと。


「そうか?お前達はこの城の主を信用しているみたいだが・・・

 相手は邪な者とはいえど、所詮人だぞ?

 神でも魔王でもない、唯の人間に従って満足なのか?」


毛玉が意味ありげに苦笑いする。


「なに?あの男が我々を騙しているとでも言うのか?」


余裕を見せる毛玉に噛み付く悪魔。


「いや、そうではない。

 神でも悪魔でもない人が、完璧に事を運べると思っているのかと言ったまでだ」


毛玉の余裕にミハルも驚く。


「ルシちゃん・・・じゃあ今撃たれた弾は、極大魔鋼弾じゃあないの?」


心配するミハルが余裕を見せる毛玉に訊いた。


「いいや、極大魔鋼弾には違いないが。

 閉じ込められられて居るのは・・・この国を治める王女ラルの魂なのだよミハル。

 この意味が解るかい?」


逆に毛玉に問われて、記憶を辿る。


<ラル王女の魂が?

 私が闇から解き放った筈だったんだけど。

 また・・・貶められてしまったというの?>


王宮で悪霊と化していたラルの魂を闇から救ったと思っていたミハルの心に影が差す。


「ミハル・・・あの中に居る王女は解放の時を待っている。

 一瞬のチャンスを掴もうと、賭けに出ているのだ。

 昔のミハルみたいに・・・闇の力を利用して自らの肉体へと戻ろうと試みているのだ」


毛玉が教えたのはフェアリアで闘っていた時に、

まだ闇の力を有していた毛玉によって魔鋼機械と同化した自分が、

一瞬のチャンスを捉えて肉体へと戻った・・・あの時の事を伝えていた。


「そ・・・そっか。じゃあ・・・ラル王女は?」


心の影を払い除ける様に毛玉を見る。


「ああ・・・多分、巧くいくだろう。

 随分慎重に狙いを定めたようだからな・・・この城の主は」


まるで知っていたかのように毛玉が悪戯っぽく笑った。


「ルシちゃんホントなの?」


笑う毛玉にミハルは喜び、悪魔達は動揺する。


「馬鹿な!そんな事がある訳が無い」

「この国の王女ラルといえば、魔法力は天使クラス・・・最も力ある者なのだぞ?」


悪魔達はざわめきたち、うろたえ始めた。


「直ぐに判るだろうさ。

 <無>が拡がらなければ、お前達の負けなのだと」


毛玉が悪魔達に言い放つ。


「く・・・くそっ!こうなればやはりこの娘を捕らえて、大王様の寄り代とするしかない」


悪魔がミハルと毛玉を囲み、勝負を挑んでくる。


「馬鹿者共め。

 私のミハルに手を出す事など・・・このルシファーが許す訳がなかろう」


蒼き瞳を光らせて、毛玉が威嚇する。


「そんな身体で何が出来る。神とは名ばかりの毛玉が、どう邪魔するというのだ?」


一匹の悪魔が嘲るのを。


「かまわねぇから、この娘をひっさらえ!」


もう一匹がミハルに襲い掛かる。


「汚い手で触れるな!」


挿絵(By みてみん)



ミハルの手が悪魔を払い除けると、


「抵抗するのなら毛玉を捻り潰すぞ!」


傍らの悪魔が不意に毛玉を掴もうとした。


「待て!ルシちゃんに手を出すな!」


慌てて毛玉を護ろうとしたミハルの手に悪魔の触手が触れた。


「痛っ!」


思わず声が出てしまったミハルに、毛玉が訊いた。


「大丈夫かいミハル?

 どこを叩かれたんだい?」


心配そうなルシファーの声が毛玉の上にある輪っかから聴こえた。


「大丈夫だよルシちゃん。こんなのへっちゃらだから」


気丈に答えたミハルに、


「私のミハルに触れた。

 私の大切なミハルを害した・・・私のミハルを傷付けた。

 ・・・私を怒らせる者には罰を与えねばならない」


感情を顕さない冷たい声が流れた。


「貴様達を駆除する。

 我が姿を現し・・・消滅させてやる・・・」


毛玉が震え、光が迸る。


「ル・・・ルシちゃん?」


ミハルの前で紅き毛玉が光に包まれ・・・


白き姿が現れる。

<天のルシファー>が、その姿を現す。

光が吹き荒れる中、白銀しろがねの髪をした貴公子が蒼き瞳を見開き闇を睨む。


「ルシちゃん!やっと素顔を見せてくれるんだね!」


喜ぶミハルに振り返ったルシファーが。


「まだ・・・駄目だから・・・ね」


振り返ったルシファーの顔には、紅いアイマスクが着けられている。


挿絵(By みてみん)



「えっ?えええっ!?そんなぁ~っ!?」


思いっきり落胆するミハルに。


「さってと。それじゃあミハル・・・

 こいつらをぶっとばしてやろうぜ!」


したしみを込めた口ぶりに笑顔になったミハルが頷き、


「うん。やっつけちゃうんだから・・・ね!」


ポーズを決めて2人は笑う。

闇を討つ魔法衣に身を包んで・・・

ミハルの前に姿を晒したルシファー。

仮面に隠した素顔はミハルに微笑んだ。


そして次回からAct11 取り戻した人々 が始ります。

やっと「熱砂の要塞<闇の逆襲>」にも目途がたって来ました。


ラスト迄気が抜けませんからね!


次回 Act11 取り戻した人々 Part1


君は金色の光を纏い闇の弾を打ち砕く!

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