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第2章 熱砂の要塞 Act9 真の姿 Part3

挿絵(By みてみん)


いやぁ~っ暑いのぅ!

梅雨が来るのぅ!


注)作者は暑さに弱い・・・

ルシファーの光が、リンの身体を包んだ。

そこに現れたのは、もう一人のリン。


いや・・・妖精リンカーベルと呼ばれし者の姿だった。


「ほほう・・・これはこれは。人と違えども人と同じ。唯、違うのは・・・」


毛玉が現われし者を観て、呟く・・・


「その姿で空を飛べるのか?まるで天使の様に・・・」


ちらりとミハルを見て、毛玉が笑う。


「むう・・・天使といえども飛べないから・・・私は」


ムスッと唇を尖らせたミハルが、毛玉に拗ねる。


「はははは・・・

 まぁ、このリン・・・妖精リンカーベルはある日空を飛んでいて、

 突如この世界に墜ちてしまったと・・・いう訳だな」


光に包まれた妖精の記憶を紐解きつつ、毛玉がその訳を探ろうとしたが。


「むぅ・・・なる程。そう言う訳か・・・」


何かに気付いたのか、光を停めリンカーベルの記憶と姿を消した。


「何か解ったの?ルシちゃん」


ミハルが尋ねると、毛玉はこう言った。


「あの地に墜ちて来た時、

 この娘は偶々(たまたま)巻き添えを食らってしまったようだ・・・約千年前のアノ日に・・・」


それは巨大隕石が、この星に墜ちた日を指していた。


「空を飛んでいた?

 人が空を飛べるの羽根もないというのに?

 そして隕石が墜ちて来た時に、偶々・・・巻き添えになった?」


さっぱり訳が解らないミハルが、毛玉に訊く。


「うむ。つまりこの娘は千年前、隕石の落下時に空を飛んでいた・・・どうやってかは解らないが。

 そして隕石の力で身体を失ったという事らしいのだ。

 つまり・・・リンカーベルは<()()()()()()()()()>。我々の住む、この星の住人だったという事だ」


神たるルシファーにも、その理由が本当には解っていない・・・という事なのか。


「ルシちゃん・・・それはリンちゃんの中に居る魂が、

 私とミハエルさんみたいな生まれ変ったという事なの?」


ミハルの問いに毛玉は頷くとも無く、首を振るとも無く一言。


「判らない・・・もし生まれ変れるとすれば。

 かなりの力を持った者だったという事になる。ミハエルや私の様に・・・」

「そっか・・・なる程。その可能性もあるんだね」


毛玉の答えにミハルが相槌を打つのを黙って聞いた後。


「いいや、ミハル。

 この娘に宿る妖精・・・いや。人たるリンカーベルには魔法力などは無かったようだ。

 唯、特別な技能を持つ者ではあったようなのだが・・・な」

「特別な技能?」


ミハルの問いに、毛玉がポツリと言った。


「最初にも言った通り、妖精リンカーベルは空を飛んでいた・・・その技能を使って。

 空飛ぶ機械に乗っていたのだ」


毛玉の言葉に全員が注目した。


「詳しくはリンカーベルの口から説明して貰う事にしよう。リンの中に宿りし者に」


神たる力を持つ、今の毛玉<天のルシファー>が術を放つ。

宿りし者を目覚めさせる術を。


毛玉からリンに光が与えられ、リンの眼が両眼共青く染まる。


「やっと話す事が出来るのね・・・あなた達に」


リンの口調が変わる。


「そなたは一体如何にして、この娘に宿ったというのか。

 何故この世界に飛ばされたのか?」


神たるルシファーが訳を尋ねる。


「あの日・・・私は大西洋上を飛んでいた。

 高度1万2000メートルの高さで、ジェット戦闘機に乗って。

 ・・・敵と戦う為に・・・」


リンの口から信じられない言葉が洩れた・・・






______________





「マジカ大使!敵要塞砲、沈黙!」


戦車隊指揮官からの報告に頷くマジカの眼は、

要塞の巨砲が仰角を執れなくなり動きを停めている様子が映っていた。


<やったな、チアキ・・・流石、剣聖たる者だ>


MMT-9が放った一撃が巨砲の砲身に命中し、火花が散った時には駄目かと思っていたが。


<まさか狙いが砲の基部・・・府仰角を司る機械の故障を目論んでいたとは・・・

 魔鋼弾の威力を持って、下から突き上げて壊してしまうとは。

 思いもしなかったぞ・・・チアキ>


薄く笑うマジカは、MMT-9に兜を脱いだ。


「だが・・・それが良い・・・」


呟いたマジカは空かさず命じた。


「全車全軍っ、<熱砂の要塞>を攻撃せよ。

 観える限りの砲台を破壊し、無力化せしめよ!」


マジカの号令に派遣隊指揮官が復唱する。


「全車、砲撃開始!」


指揮官の命令は、戦車隊に届いた。


「車長!指揮官より命令っ、<攻撃セヨ>です!」


ダニーの復唱にラミルが頷く。


「よしっ、遠距離砲戦!

 目標敵砲座、狙える処から各個に破壊せよ!」


そう命じてから、チアキに別命として言った。


「チアキ、この距離からあの巨砲にトドメを与えられるか?

 今の距離・・・4000メートル先にある砲身内に弾を撃ち込めるか?」


先程は迫る要塞に肉迫しての射撃だった為に必中を期し、距離は僅か300メートルだったが、

今は10倍以上の遠さがあった。

だが、チアキは拒まない。


「はい!やりますっ、やらせて下さい!」


巨砲を完全に破壊せんと眦を決してラミルに答えた。


「うむ・・・成功すれば、あの要塞は唯の岩山に帰す。頼んだぞチアキ」


巨砲の中に装填されている極大魔鋼弾に閉じ込められた者の事を知らず、2人は砲撃を決めた。


もし、巨砲の砲身にチアキの弾が入ったのなら・・・


誘爆した弾に閉じ込められたラル王女の魂は、行き場を失い彷徨う事になる。

つまり、甦生不能となってしまう。


チアキは巨砲を完全に破壊し、

帝都に居るシャルレット王女を護りたい一心で射撃の準備に掛かってしまうのだった・・・・

要塞に攻撃を集中するフェアリア戦車隊。


一方、ミハル達の前に現れたリンカーベルが自らに起きた出来事を語っていた・・・


次回 真の姿 Part4


君はその話を信じる事が出来るのか?物語の深層部に迫る!

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