表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/141

第2章 熱砂の要塞 Act8 砂漠の要塞 Part8

その光は誰のもの?


紅き毛玉・・・再び!

それは轟音と同時だった・・・


何か重々しい射撃音が鳴り響いた時。

ミハルに伸ばされた闇の魔王ルシファーの手が、魂を奪おうとした瞬間。


  ((ビシッ))


何かが・・・魔王の手を弾いたのだった。


「ぐおっ!?」


魔王の驚きが叫びとなる。

弾かれた魔王の手が、消し飛んでいた。


魔王の手を弾き飛ばした何かとは・・・


「誰だ!余を<闇のルシファー>と知っての事か!」


ルシファーが消し去られた手を元に復元し、邪魔を企てた者に怒りを向ける。


「・・・そうか。

 お前が<闇のルシファー>と名乗る馬鹿者か。

 私の大切な者に危害を加える大馬鹿者なのだな・・・」


全く同じ声色こわいろが、ルシファーに向けられる。


「えっ!?」


ルシファーとミハルは耳を疑った。


ルシファーは馬鹿者扱いされた事に。

ミハルはその声に聞覚えがあったから。


「まさか!?」


2人は同時に叫んだ。


「よう・・・偽者。

 よくも私の姿を盗んだな・・・よくも私のミハエルを喰らったな!」


闇の中に浮ぶ紅き毛玉。

フワフワと浮ぶその姿は・・・


「ル・・・ルシファー!?」

「ル・・・ルシちゃんっ!?」


ルシファーが自らの名を呼ぶ。

それは自分が<ルシファー>ではない証。


「どこの魔王かは知らないが。

 我が名を騙るなんぞ・・・百万年早い!」


紅き毛玉は怒りの表情で偽者を睨んだ。


「ル・・・ルシちゃん・・・ルシちゃんルシちゃん」


こみ上げて来る涙をそのままに、ミハルは懐かしい友の名を呼び続ける。


「こらっミハル。私を毛玉毛玉と呼ぶなよ。

 折角再登場したのに、また毛玉になってしまったじゃないか」


怒りの表情を和らげた毛玉が優しく笑った。


挿絵(By みてみん)



「ああ・・・やっぱり私のルシちゃんだ。私の・・・」


両手を拡げて毛玉を求めるミハルに、毛玉がその胸に飛び込み。


「言うなミハル。今は言ってくれるな・・・頼むから」


<愛>の言葉を停めた。


「うん・・・」


少し寂しそうな顔をしたミハルが毛玉の変化に気付いた。


「あれ?何この金色こんじきの輪っか?」


毛玉の頭上にある金色に光る輪を観て尋ねると。


「ああ。私も今は<神>に戻ったのでな、一応」

「・・・」


ルシファーの言葉に声を失うミハル。


「・・・そういう事だ」

「・・・はい?」


全然解っていない・・・ミハル。


「むぅ・・・説明は後だ。先にミハエルを奪い返すぞ!」

「・・・はいっ!」


今度は解ったみたいな・・・ミハル。


<天のルシファー>が、ミハルと共に<闇のルシファー>に向かって構える。


「よっくも我が名を騙り、ミハエルを騙したな。

 それにミハルに危害を加えんとした事。なさに万死に値するっ!」


毛玉が<碧き瞳>で睨みつける。


「き・・・貴様。

 どうやって戻れたのだ?ベルゼブブと共に消えた筈ではなかったのか!?」


目の前に居る偽魔王ルシファーが怯える。


「人の姿を借る程度の魔王如きに教える必要は無い。

 さっさとミハエルの魂を解放して消えてしまえ!」


<天の輪っか>を冠した、毛玉の周りに金色の粒が舞う。


「ま・・・まさか!?そのちからは!」


怯えるルシファーの偽者が眼を剝く。


「言った筈だ。私は<神>に戻ったと。お前程度の魔王では役不足だ!」


荒れ狂う金色の粒が一点に集約され、


「ミハエルを還して貰うぞ、ニセ者!」


毛玉が力を放つ。


  ((ビシャッ))


有無を言わさぬ極大魔力が偽者を跡形も無く消し去った。


余りにも強大な力に、ミハルは何も出来ず固唾を呑むばかりだった。


「しゅっ・・・ごっおーいぃ!」


やっと出た声は裏返っていたのだが。


偽ルシファーが消え去った跡に、光の粒が残されていた。

紅き毛玉はその粒に近寄ると。


「待たせてごめんよミハエル。助けに来たよ」


優しく声をかける。

光の粒が震える様に答えを返す。


「ああ・・・ルシファー。私の方こそごめんなさい。

 あんな偽者に騙されてしまうなんて・・・赦して・・・許して」


震える金色の粒から涙の雫が零れ落ちる。


「ああ・・・許す、赦すから。私の元に還っておくれ」


毛玉が粒と一つになる。


「ああ・・・温かい。

 ルシファー・・・あなたは<神>になれたのね・・・私の御主人様に。

 天の使徒たる私のあるじと、なれたのね」


歓喜の声がミハエルから洩れる。


「ミハエル・・・天界へ戻り、体を休めるのだ。

 力が戻ったら、いつでも私の元へおいで。・・・いいかい?」


毛玉がミハエルの魂を天へと送る。


「うん・・・ルシファーの元へ来るから。

 ちょっとだけ待っててね、直ぐにあなたの元へ来るから・・・ね」


天へと昇るミハエルが喜びの声を贈って来たのを、


「大丈夫。私は地上界でやらねばならない事があるから。

 ミハルと共に待っているよ」


救い出されたミハエルの魂は、天界へと昇る。


が。


最後の瞬間、ミハルに叫んだ。


「ルシファーに手を出したら・・・オシオキしちゃるからなぁ、ミハルぅ!」


声が聴こえたルシファーとミハルが押し黙った・・・・

再びミハルの前に現れた毛玉。


神となったルシファーがミハルと再開を遂げる。


砂漠の要塞戦は新たな展開を迎える!


次回 Act9 真の姿 Part1


君はたった一瞬のチャンスを逃がさない!

 目標要塞砲っ撃てぇ!頑張れよ、隠れた主人公チアキ・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ