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第1章 New Hope(新たなる希望) Act3護るべきモノ Part3

チアキを救いに来たミハル。


訪れた先で男達に囲まれたミハルは?

碧い髪と紅い瞳。


ミハルは足元で倒れている4人を見降ろして。


「だから言ったでしょう。まかり通るって。」


手をポンポン叩いて奥のカーテンを睨んだ。


その時、外の様子を探るみたいに、チアキが顔を出した。


「あ、分隊長!?何があったのです?」


廊下に転がる参謀連中とミハルを見て尋ねる。


挿絵(By みてみん)



「ああっチアキ!大丈夫だったの?何もされていない?」


チアキを見たミハルが逆に問い掛けると、


「えっ?ええっ?分隊長が?

 この4人をしちゃったんですか?」


倒れた4人とミハルを交互に見比べながら訊く。


「そんな事よりチアキ。

 王女殿下に無礼を働いたそうね。何をしたというの?」


話が噛み合わないのに業を煮やしたミハルが、

声を荒げて訊くと、その答えはカーテンの奥から聴こえてきた。


「チアキは何もしていないよ。

 ”ボク”とぶつかっただけだから。」


ボクと呼ぶわりにはトーンが高い声が聞える。


「・・・ボク?」


中に居るのは確か王女の筈と、思ったミハルが。


「あなたは誰?

 チアキが無礼を働いたのは王女殿下の筈。」


そう言ってカーテンを捲ると、そこには。


「ああ。”ボク”って言ったからか。

 でも、ボクは確かに<オスマン帝国第3王女>シャルレットなんだ。」


ミハルの前には、椅子に腰掛けた軍服を着た美少年が居た。


「あ、あの、中尉。こちらがシャルレット・サルマン殿下です。」


チアキがミハルに教える。


「は?

 ・・・あ・・・いや。

 これは・・・とんだご無礼を・・・。」


目を丸くしたミハルが謝った。


「あはははっ、部下も面白いけど、隊長さんも面白い人なんだね!」


ミハルの態度に、その美少女(?)が笑う。


「いや、失礼。気を悪くしないでね。

 チアキさんには、お話を訊こうとして・・・悪かったね。」


シャルレットは悪びれもせず二人に言った。


「ボクは他の国に住む人と話をした事が無かったから。

 ついチアキさんと話がしたくなって・・・強引過ぎた事は謝りますよ。」


シャルレットは軽くお辞儀して謝意を表す。


「え? は? どう云う事?」


ミハルはチアキとシャルレットを見て慌てる。


挿絵(By みてみん)



「確か・・・参謀も言っていたと思うのですけど。

 ”詰問”・・・とね。尋問とは言ってなかったのではないですか?」


シャルレットの言葉に、ミハルが蒼ざめる。


「あ・・・私・・・なんて事を。」


動揺するミハルに追い討ちを掛ける様に、


「それに、我が国では。

 お詫びの証として相手の手に額をつけて許しを乞うのが決まりなのです。

 ご存じ無かったですか、ミハル隊長さん?」



      <ガァアアーッン>


ミハルは頭の中に、金槌で殴られたかのような衝撃を受けて、血の気が引く想いだった。


「あああああっ!しっ、知りませんでしたっ。

 何て事をしてしまったのでしょうっ!!」


眼を廻したミハルがふらつく。


「あはははっ、ご存じなかったのでしたら仕方ありませんよ。

 それにボクの部下達にも落ち度があるのですから。

 4人にはボクから言って聞かせます。どうか御気になさらずに。」


笑顔でシャルレットは、ミハルを宥める。


「もっ、申し訳ございません殿下。

 何とお詫びしてよいのやら・・・。

 それに倒れている人達にもどう謝れば良いのか・・・。」


何度もペコペコ頭を下げて、ミハルが謝る。


「ぷっくっくっ、あははははっ。

 ホント、君も隊長さんも面白い人だね。」


シャルレットは吹き出して笑う。


「じゃあね、ミハル隊長さん。

 一つお詫びのしるしに、お願いを聴いてくれないかな。」


笑顔のシャルレットが、ミハルに頼むのは。


「ボクが王宮へ帰るまでの一週間。

 偶にで良いからチアキさんを此処へ寄越して話し相手にして貰えないかな。

 フェアリアの面白い話を、また聞かせて貰えないかな。」


チアキの顔を観ながらミハルに頼んできた。


「えっ?それは・・・任務に差し障りが無ければ。ですが・・・。」


ミハルは横目でチアキを見て、


「チアキは・・・あなたはどうなの?」


嫌ではないのかと、尋ねる。


「はい、時間が許すのなら構いませんが。」


チアキは屈託のない笑顔で応えた。


「ホント?チアキ、ありがとう。」


満面の笑顔でシャルレットが喜ぶ。


「はあ・・・仕方ありませんね殿下。

 本人も承諾しましたから。

 ですが、我々には任務がありますので、毎日とはいきかねますよ。」


ミハルがため息を吐いて了承すると、


「うん。

 解っているよミハル隊長さん。

 それでも、嬉しいんだ、ボクは!」


喜色満面の王女が立ち上がり、チアキに握手を求め、


「チアキっ!そう呼ぶからねこれから。

 だからボクの事も<シャル>って呼び捨てて。

 ボク達は友達になろうよ。

 国は違っても大切な友達になろうよ!」


友となる事を願う。


「はい、王女殿下。

 いいえ。  シャル!私達はこれから大切な友達だよ、宜しくね。」


握り返した手に、力を込めて。

チアキも願った。


二人の仲を観て、ミハルがため息を吐く。

ずっと昔に交わした大切な誓いを想い出しながら。


「では殿下。今日の処はこれにて失礼致したいと思います。」


「うん、ミハル隊長さん、チアキも。

 また来てね。

 今度はちゃんと部下に言っておくから。」


シャルに告げられたチアキは頷く。

ミハルは苦笑いを浮かべる。


「では、失礼します。」


年下の王女殿下に敬礼を贈り室外へ出たミハルは、

倒れている人達にそっと術を放ってからチアキを連れて隊へと向った。

シャルの元から隊へと戻る時、


私はミハル分隊長に訊いたのです。


どうして昼と夜では人が換わってしまうのですかと。


どうして私だけを絶対に護ろうとされているのですかと・・・。


次回 護るべきモノ Part4


君はその訳を訊きたかった。どうして自分だけが特別扱いされているのかと。

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