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第2章 熱砂の要塞 Act7 現れる砦 Part4

ミハル達はIs-3に続いて岩山の中へと向かうのだったが・・・


季節を先取り?

挿絵(By みてみん)


「んっ!?ミハル先輩。Is-3が進路を変えました」


先行する車両が進行方向を変えた事に気付き、ミハルの横で観測をしているミリアが言った。


「うん・・・周り込む気なのかな?」


Is-3の進路を探っていたミリアもミハルもそれに気が付いた。


「どうやら内部へ続く道があるようね」


岩山の一部に大きな裂け目が観えた。


「あそこから中へ入れるのでしょうか?」


Is-3が向かう裂け目をミリアが観測しつつ、尋ねて来る。


「それは解らないけど・・・着いて行くしかないわ。

 でも、こちらの存在を敵が感付いていないとは思えないし。

 戦闘配置に就きましょう、ミリア」


敵の本拠に突入を図る自分達に攻撃を掛けてくるのは当然と思い、準備を命じた。


「はい!戦闘配置に就きます」


装填手ハッチを閉じ、車内へ戻るミリアが復唱する。

前方を走るIs-3に続行する車内に、緊張感が張り詰める。


「Is-3から発光信号!」


マモルの声が意外な事を知らせてきた。


「発光信号?何て言ってきてるの?」


マイクロフォンを押し、報告を求めたミハルの眼にも砲塔を此方へ向け続けている砲身内が点滅しているのが目に映る。


ー <我コレヨリ補給所入り口ニ突入ス>

 ・・・そうか、いよいよね。ここまでは何も動きはなかったけど。

 これから先はどうなるか、解らない・・・-


砦らしき岩山を見上げて、不気味に静まり返っている各砲台が気になった。


ーこちらの意図がバレていないのか。

 それとも敢えて私達を招き寄せているのか・・・

 正に、=虎穴に入らずんば虎児を得ず=って処ね・・・-


右手の魔法石に力を込めて、何か悪しき力が働いていないかを探ってみたが。


ー今の処何も感じないけど。

 きっと何かを企んでいるに違いない・・・気をつけないと -


邪な気は感じられず、余計に心配になってくる。


ーこの岩山が・・・この砦が敵の本拠地だとすれば。

 どうして今迄気が付かなかったのだろう・・・

 そもそもオスマン王都の、こんな近くに敵の本拠がある事自体が不自然な話だ・・・-


警戒心が余計に考えを惑わせる。


ーだいいち、こんな岩山があったなんて今の今迄知らないし。

 地図にも載っていなかった筈・・・だとしたら岩山は何処から出てきたの?

 どうして誰にも気付かれなかったというの?-


思考が謎を解き明かそうとするが・・・


「ミハル姉、Is-3が裂け目に突入した!」


マモルの声に我に返される。


「タルト、十分注意して私達も後を追い、突入するわよ。

 何があるか解らないから、Is-3を見失わないで!」


咄嗟にそう命じ、天蓋を閉め車内に入った。



岩山の裂け目は、戦車一台分が通れるだけの幅しかない。


先行するIs-3に続き突入したMHT-7は、その通路をひたすら進んだ。


「ミハル車長!徐々に登って行っているみたいです!」


タルトが速力が落ちて気が付いた。


「登っている?そうか、岩山の中を登りだしたという事か」


マモルが照準器を見詰めたまま答え、


「ミハル姉!このまま登って行くとすると、敵の中へ飛び込む事にならないかな?」


心配そうに振り返った。


「そうね・・・でも、他に道はないし、

 今から方向転換しようにも道幅がそれを許してくれないわ・・・

 このまま突っ込むしかないわね・・・」


キューポラのレンズを睨んだまま、ミハルが言う。


「ミハル先輩、咄嗟に発砲出来る様に弾を込めますか?」


ミリアも心配になったのか、射撃準備態勢を執るかと尋ねてくる。


「うん・・・よし。徹甲弾を装填して、ミリア」


求めに応じて命じたミハルは、先行するIs-3に乗るアンネの事を案じていた。


ーまさかとは思うけど。

 アンネはあのIs-3に封じられている魂に騙されているのでは?-


敵の基地内へ招き寄せられてしまったのではと、今更ながら心配になってきたミハルは、


「もし、Is-3がオカシナ素振りをみせたのなら。

 足回りを破壊してアンネを救出するわよ」


マモルにそれとなく命じる。


「まさか?一度は僕達を助けてくれたのに、裏切るなんて・・・」


マモルがミハルの言葉に抗ったが、


「それもこれも全て・・・敵の計画だったとしたら?

 相手はあのクワイガン・・・真総統なのよ。

 用心に越した事はないわ・・・」


ミハルはマモルを制して、再びIs-3を見詰めた。


それから数分。

何も無いまま通路を登る2両。

このままどこまでも上り続けるかと思われた・・・しかし。


先行するIs-3を見詰めるミハルの瞳に。


「あ・・・光だ。出口だわ・・・」


通路が切れ、その先から光が差し込んで来ているのが映った。


「各員戦闘準備!砲撃戦用意!」


ミハルが命じた時には、もうIs-3は光の中へと消えていた。


まばゆいばかりの光で、一瞬眼がくらむ。


その視野が戻った時。


「あ・・・」


ミハル達の前には先行したIs-3と、

突入して来た2両を包むように配された数十両の戦車群があった・・・

光に眼が馴染んだ時。


目の前に現れたのは、敵の戦車群だった!


ミハル絶体絶命!?


次回 現れる砦 Part5


君はその窮地をどうやって乗り切れるというのか?

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