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第2章 熱砂の要塞 Act7 現れる砦 Part2

挿絵(By みてみん)

画像は”チアキ”とシャルレット王女。

・・・なんだかなぁ・・・もう誰が誰やら・・・自滅です。


オスマンの砂漠に鋼の嵐が吹き荒れようとしていた。


いざ、決戦の刻!

キャタピラが砂を噛む・・・

砲身が敵へと向けられる。


双方の中戦車が互いの敵に向けて照準を定める。




「各車に告ぐ。

 この一戦が我がフェアリアにどんな利益を齎すのか教えよう。

 我が隊が勝利すればオスマンは、平和を手にする事が出来るだろう。

 そしてその平和を齎したのが、このフェアリア戦車隊だと知らしめれば

 世界が我がフェアリアを信頼する。

 ロッソアとの戦争で失った平和を愛する国家の名を再び手にする事が出来るのだ。

 失った信頼を回復する為に戦え。

 この一戦は祖国の為である。

 諸君!祖国の荒廃は掛かってこの一戦にあり。各員一層奮励、その任を全うせよ!」


マイクを握ったマジカ大使が命じる。

オスマン帝国の国旗と共に、フェアリアの青地に双頭の獅子を顕した国旗が翻る。


「全車、全軍攻撃開始!」


マジカの声と共にオスマン帝国内で、一大戦車戦の幕が切って落とされた。






「こちらラミル!我に続け!」


真っ先に突撃するパンター改Ⅱ型。

その88ミリ長砲身砲が、ファイアフライを狙う。


「目標、左舷のファイアフライ!距離2600、敵速20キロ。

 右舷方向に進んでいる・・・6シュトリッヒ前方を狙え!」


ラミルの命令にチアキが応じる。


「目標捕捉!射撃用意宜し!」


照準器に映るファイアフライに的を絞る。


「よしっ、撃ちぃー方ぁ始めっ!撃てぇっ!」


ラミルの号令と共に、チアキの指がトリガーを絞る。


「撃てぇっ!」


両軍併せて第1弾がMMT-9から放たれた。




「始まったわ・・・みんな」


ミハルの眼にも、元愛車MMT-9の発砲煙が映った。


「いよいよだね、ミハル姉」


ごくりと生唾を呑んだマモルが答える。


「さてと・・・いっちょうやりますか!」


タルトがギアを切り替えて舌なめずりをする。

ミハルの横で装填手ハッチから観測を続けるミリアが、目視状況を入れる。


「敵中戦車隊散開!

 敵は我が方を包囲する作戦に出た模様です!」


ミリアが報告するまでも無く、ミハルは敵の意図を読んでいた。


「先ずはこっちに来る奴を叩く!対戦車戦、相手は76ミリ砲装備のファイアフライ。

 奴の装甲なら徹甲弾で十分よ。ミリア、マモル戦闘用意!」


ミハルの号令で素早くミリアが車内へ戻る。

キューポラの天蓋てんがいを閉じ、観測レンズの倍率を上げたミハルが、攻撃準備を整えていく。


「タルト、射撃準備に入る。

 この距離からならアウトレンジ出きるわ。一時停車して!」


ミハルの命令に即座に反応したタルトが、敵に対して僅かに車体を傾けて停車させると、


「ミリアっ、徹甲弾装填!」

「装填っ!」


間髪要れずミリアが復唱する。


「マモル、目標は掴んだ?」


「目標っ1時の方向。距離3000、敵速20!」


マモルが敵M4ファイアフライを捕捉し、照準を併せて答える。

全てが流れる様に行なわれていく。


「うん。では奴等に教育してやろう!

 フェアリアの戦車道というものを!無敵の戦車道という物を!」


ミハルがマイクロフォンを押し、車内全員に告げる。


「攻撃開始!撃ちぃー方っ、始めぇっ!」


フェアリア本隊に続いて、MHT-7の10センチ砲が火を噴いた。

その徹甲弾は、魔鋼騎状態のファイアフライに対しても有効だった。

マモルの狙った車両の前面装甲に穴が開き、


     <<グゥワアァンッ>>


開口部から火災と黒煙が噴き出す。

フェアリア本隊に対しての布陣が、<魔女兵団>にとっての致命的失敗となる。


MHT-7の10センチ砲弾に対して、彼女達は全く手も足も出せなかった。

射撃しようにも距離が離れ過ぎていて走行中射撃では命中弾さえもおぼつかず、

発砲しては悪戯に砂煙を砂漠に上げる事しか出来なかった。


そしてフェアリア本隊のパンターⅡ型とパンターによって、

広く散開したファイアフライ隊は、各個撃破されていく。


     <<ズッドオォムッ>>


5発目の10センチ砲弾が5両目へと飛び、狙われた車両が噴き飛んだ。


「よしっ、これで道が開けた。

 Is-3に、アンネさんに連絡して!行動開始。

 作戦名<おにごっこ大作戦>を始めるって!」


アルムに命じるミハルが後方を観ると、そこには・・・


「来た来た!」


状況を掴んでいたのか、もうIs-3はMHT-7の500メートル附近にまで迫って来ていた。


「よーしっ、タルト。Is-3に続行するっ。

 距離を400メートル程に開けて追いかけて!」


ミハルの命令にギアを入れたタルトが答える。


「了解!400メートル後に、ピタリと着けて追いかけます!」


親指を立てて答えたタルトに頷き、


「バレ無い様に攻撃を継続します!

 マモル、目に入った敵に射撃して!」


マモルに命じた時に。


     <<ギュラララッ>>


側方50メートルの所をIs-3が走り抜いて行く。

そのキューポラには手を振るアンネの姿があったが、合図を終えたら車内へと消えて行った。


「よしっ、追跡開始!」


ミハルが叫ぶより先に、タルトがアクセルを踏み込んでいた。

<魔女兵団>の補給基地を叩く為MHT-7は進む。


一方、派遣隊の中ではラミル配下のMMT-9が、善戦していた・・・


突如としてミハル達の前に現れた岩山・・・

不自然な岩山に瞳を凝らすミハルが気付いた!


次回 現れる砦 Part3

君の前にたちはだかる岩山・・・だが、それは?

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