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おまけ①

リクエストがあったので、ヒロイン視点をば。

おまけは全4話、2話がヒロイン視点でその後の話を主人公と王太子視点で入れる予定です。

ヒロイン視点は、本編読まなければ途中からややホラー?かもです。

本編読んでいれば、そりゃそうなるわ、と突っ込まれそう?な感じです。

その後の話はハッピーエンドにはならないけれど、もう少し救いがある感じにする予定です。

あくまで、蛇足なので本編だけで十分だと言うかたは読まない方がいいかも知れません。

興味がある方はお読み頂けたら、幸いですm(_ _)m

 

どうして?


どうして、こんな事に……。


何度考えても分からない。


いつからこの世界はこんなになってしまったのか。

こんな狂った世界を私は望んだわけじゃない────
















御詫びに君の望む世界に転生させてあげようと神様は言った。


『ごめんごめん、ちょっと手違いでさー。君、本当は後30年位は生きれる筈だったんだよねー。本当、うっかりうっかり』


「え…………」


いつも通り自分の家のベッドで眠りについた筈だ。

そして、私の前に現れた酷く整った容姿の少年。

整いすぎて人間味が全くない。

これは夢だろうか。

夢だとしたら、中々悪趣味だ。

うっかりで死んだとあっては、死にきれない。


『流石に可哀想だからさー。御詫びに君の望む世界に転生させてあげよう。君はどんな世界がお望み? 剣と魔法の世界で俺Tueee? それともSF世界でロボット対戦がお望みかな? 因みに君の前の子は、剣と魔法の世界で俺Tueeeだったよ!』


ずずいっと、私に顔を寄せて迫る少年。

ぼんやりとした思考で、うっかりはきっとこれまで何度もあったのだろうなと考えた。

こんな神が居てたまるか。

これはただの夢だ。

だから──


「なら、私は──」


自分の憧れを口にしたっていいだろう。


『ふーん、君は乙女ゲームの世界で逆ハーしたいんだね。女の子でそれ言う子結構いるんだよねー。……いいよ、君のお気に入りのゲームによく似た世界がちょうどあるし。君をその世界に転生させてあげる!』


少年がそう言うと、辺りが白く輝き出した。


『ついでに、うん。ゲーム期間限定で異性からほんの少し好かれやすくなる加護と、前の子にも上げたから君にも“セーブ”と“ロード“の能力をあげるね! 君が”ロード“と言えば、”セーブ“した地点に何度でも巻き戻れるよ! た・だ・し、”セーブ“は一回しか使えないからどこにセーブポイントを設置するかは十分に気を付けてね!』


変な夢だと思ったが中々気前がいい。

この能力があれば、本当にゲームのように遊ぶ事が出来る。

セーブが一回だけなのは少し面倒だが、セーブ箇所を考えればかなり有益だろう。

夢の中の筈なのに、気分が高揚してくる。


この夢が現実だったらいいのに……。


私はこの時、心からそう思った。


現実世界に未練はない。

毎日、毎日、働いて、恋人も友達も居ない。

つまらない人生だ。

このゲームのヒロインになれたら、きっとどんなにいいだろう。

きっと、私は幸せになれる。


私はそっと瞼を閉じた。 






『あ、ついでに言っとくと、僕は基本的に平等だからね。君だけを贔屓する事ないよ! ──だから、その力はせいぜい考えて使ってね?』



次に目を開けた瞬間、私はこの少年の言った通り乙女ゲームの世界へと転生していた。

憧れていた乙女ゲームのヒロインとして、あの夢の通りに──









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








「──お前が好きだ」


全ては順調だった。

幼少期のやり直しはひどく苦痛であったし、テレビや携帯のない生活は退屈なものであったが、目的であるゲーム攻略はこれ以上なく上手くいっていた。


「私も……私も貴方が好きです!」


セーブポイントはゲーム開始地点である、学園の入学式の少し前に設置した。

その方が攻略を進める上で都合がいい。

攻略に失敗しても初めからやり直せるし、別のキャラを攻略したい時もルート選択出来る。


「結婚しよう、俺の妃になってくれ」


「はい! 勿論です!」


私は頷いて、王太子に抱き付いた。

王太子は私の一番のお気に入りのキャラクターだから、攻略が上手くいって嬉しい。


王太子との結婚って、凄い盛大にやるんだろうなぁ。

きっと、何回もお色直しもするのだろうし。

ゲームではそこまでやってなかったから、今から楽しみ!


王太子の腕の中で、私はゲームでは見ることの出来なかったハッピーエンドのその先へと期待を膨らませていた。







「………どうして、こんな簡単な事が出来ないのですか? 基礎中の基礎ですよ、貴族の常識です」


私を責める声。

その目は嘲りと失望しか、写してなかった。


「だって、私、最近まで普通の暮らしをしていたんだもの。そんなの知らないし、すぐに出来るわけない……」


その位知っているのに、この人は私に厳しくあたる。

きっと、私のような元庶民が嫌いなのだろう。

あの人のように。

私がそう言うと、また溜め息をついた。


「……あの方はそんな言い訳はしませんでした。泣き言一つ言わずに、影で努力していました。貴方は、ほんの少しの努力一つせず言い訳ばかりでやる気もない……私では、貴方をお教えする事は出来ないようです」


他の者に代わらせましょうと、言い残すとそのまま部屋を去っていった。


「何よ、アレ。感じ悪い。私とあの人を比べて……」


あの人はこのゲームにおける悪役令嬢。

その役通り、悪なのだ。

それなのに、そんな悪役の味方ばかりして。

この事は王太子にも、ちゃんと報告しよう。




こうして、私は王妃教育を受け続けた。

けれど、いつまで経っても王妃教育は終わらず、そのまま3年もの月日が流れた。

私の憧れたロイヤルウェディングは、未だに挙げられていない。


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