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3. なんか捕まった

異世界転移で、人が全くいないところに拉致られることはあっても、人に会ったときにいきなり捕まるということは少ない気がします…

 草原の奥に明かりが見える。最初は地平線近くの星と見分けがつかなかったが、今では、その明かりが、人の手によるものであることがはっきりとわかった。


 さらに近くと、遠くから見えた明かりが焚き火であることが分かり、焚き火の周りに黒い家のような影と、十数人ほどの人だかりが見えた。

−助かった。

と思って、

「すみませーん。ちょっといいですか…」

と声をあげてその集団に駆け寄ろうとしたその矢先、峻太は顔を引きつらせた。


 振り返った人々の風貌が明らかに現代日本人じゃない。中央アジアかどっかかよくわからない民族衣装っぽい服を着ていたのだ!


 峻太の頭は一瞬の内に真っ白になって、本能のまま背を向けて走り出した。


「★τЙ圦仝Ю┓!!」


 背後で人々が意味のわからない声を発している。後ろから追いかけてくるドシドシという音が聞こえる。


 恐怖に心がいっぱいになった峻太は、

「アーッ、ヤバイヤバイ!何だよアレ!」

 と大声で叫びながら逃げるしかなかった。



 結論から言うと、峻太は捕まった。現在縄を巻かれて酋長?らしき男の前にひざまずかされている。横と背後には槍を持った男たちが控えていた。

 闇雲に走ったはいいものの、石か何かにつまづいて転んでしまったところを取り押さえられたのであった。

 その後、何かで強く打たれて気絶し、起きた時には頑丈な縄で縛り上げられていた。縄から脱出しようともがいていると、男がやって来て、峻太を酋長の元へ引き立てたのである。


 こうして明るいところで見るとよくわかるのだが、やはり彼らは日本人じゃない。肌の色はそう変わらないが、日本人よりも彫りの深い顔立ちをしている。髪は黒いのは同じだが、全員の髪が、後ろ側に編み込まれており、清朝の中国人が行なっていたような辮髪を連想させた。


 先ほど家のように見えたものは、家ではなくて、巨大な、それこそサーカスにでも使えそうな大きさの、白いテントであった。

 

 「Λμ┴鳰Фъμ齪。」

 酋長が何か言った。質問をしているようだ。

 峻太は無我夢中で首を横に振った。


その瞬間、周りの男たちが、一斉に槍を構えて峻太の方へ向ける。


 「宀лΨ輊d赱ぅ?」

 酋長らしき人物が再び何かを言う。とりあえず今度は首を縦に振っておいた。もうどうにでもなれと言う気分である。


ここで峻太は目を丸くする。酋長の後ろから、峻太が転ぶと同時に投げ出したカバンをもった男が現れ、酋長に手渡したのだ。


 酋長はカバンの中から、教科書を取り出し、ページをめくりながら峻太に再び質問を発した。

 峻太は必死で、それらが自分のものであることと、返して欲しいことを、手足は縛られているものの、何とか訴えようとした。


 男たちも、何となく察したらしい。それが峻太にとって重要なものであることを…。

 しかし、そうやすやすと返してもらえるものでもなく、峻太のカバンは再び酋長の後ろに下げられたのであった。


 その後も暫く、酋長と、問答を繰り返していたのだが、やがて男達も峻太と言葉が通じないことを察したらしく、質問は終わりになり、峻太は縛られたまま適当なテントの間に連れてこられ、そこの間に寝かせられた。


 取り敢えずは生かしておくことが決められたのであろう、毛布のようなものが峻太の上に掛けられ、そのあとは放置と相成った。

 峻太は、縄が頑丈であることは先ほど十分味わっていたので、解こうなどと言う無駄な抵抗はせず、先ほどの景色を思い返していたが、疲れが溜まっていたことと、取り敢えず命を失うことにはならずほっとしたのだろう、深い眠りにおちて行った。


前回から2年間も空いてしまいました…


1週間ほど毎日投稿して、パッと完結目指します…

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