忘れ物
…先月、私の親友が死んだ。彼女の名前は、白崎 夏乃。そして、私・園春 由月は、彼女の死に涙した。
私は近所の学校に通う中学二年生。夏乃が死んでから、これといった出来事はない。
* * *
学校が終わり、家に帰ると私のケータイに誰かからメールが届いていた。
「メール?」
ケータイを開き、メールを見る。そのメールには差出人は書かれてなかった。メールに書いてあったのは…
"ユヅキ タスケテ イタイ イタイヨ
コワイヨ タスケテーーーーー"
続きを読もうと、十字ボタンの下を押そうとしたときだった。
「早く塾行きなさいよ。」
母が台所で皿を洗いながら、私に言った。
「はっ、はーい。」
事実。私は今日塾だ。私はいそいで準備をし、家を飛び出して行った。
私が通う塾は、家から徒歩五分。しかし、今日は時間が時間だったので、走っていた。もちろんケータイは持って行ったが、あのメールは最後まで読んでいない。
塾で勉強しているときも、あのメールのことが気になり、いつもより勉強に集中出来なかった。
塾が終わり、帰り道私はあのメールを読みながら歩いて帰ることにした。
"ユヅキ タスケテ イタイ コワイ イタイ イタイ イタイ イタイ イタイ イタイーーーーー"
メールを読んでいるとだんだん怖くなってくる。それでも、メールを読み続ける。
"ユヅキ ワタシヲヒトリニシナイデ サミシイヨ ユヅキモキテ コッチニキテ"
歩いていた足を止める。人通りが少ない道。家はもうすぐ、なのに帰れない……足が動かない。
"イタイ タスケテ ユヅキ ヒトリニシナイデ ダカラ ワタシガイクネ ユヅキノワスレモノ トドケニイクネ"
足元を見ると何かがいた。黒いもの。いや、赤い。人だろうか。私に向かって近づいてくる。右手には、彫刻刀。その彫刻刀には、大量の血がついている。そして、私を…。
「いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーー。」
ケータイに新たなメールが届く。
"ユヅキ ムカエニキタヨ"