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リ・アルカナ ~彼方からの旅人~  作者: -恭-
・第二章 天空の聖域シャングリラ編
83/266

・第八十話 『魔力譲渡』

いつも読んで頂きありがとうございます!

ブクマ、感謝です。


※2/13 改稿しました><

なんというか・・・間違って下書き版を投稿してました。

ごめんなさい!


 異世界からこんにちは。

 おれは九条聖くじょうひじり、通称『悪魔デビル』のセイだ。

 美祈、助けてください。

 兄貴の仲間は一体どうなってるんでしょうか?

 神様よりむしろ、フレンドリファイアが恐ろしい今日この頃。

 過去のしがらみ云々はわかるよ。

 時間の概念で失敗したのもわかる。

 そっちに関してはおれのミスだろう。 

 だけどさ、なんとかしようとして・・・普通燃やす?

 ちょっと考えようよ。

 そこに行き着く前に、色々手はあったと思うんだ。

 今思うと、サーデイン・・・いや、サーデイン「さん」のありがたみが身に染みる。

 奴のあだ名は、「オーバーキル」改め「放火魔」で決定だ。

 とりあえずプレズント、お前正座なー!

 


 ■



 ええ、現在絶賛落下中ですね。

 『地球』で言えば三階建ての建物、その屋上くらいの高さからです。

 そうですね・・・約10mほどに感じます。

 このまま落ちたら普通に痛いでしょうなー。

 いやいや、あかんがな。

 落ち着いてる場合じゃなかった。


 やたらヒリヒリする右手と、「主!気を確かに!傷は浅いのである!」なんて言って、微妙に錯乱気味のロカさん。

 普段まともなのに、パニックに弱いのが最近判明。

 目が見えてないからはっきりとはわからないのかもしれないが、なんとなくの浮遊感に身を強張らせるサラ。

 とりあえずおれとロカさんは良いとしても、怪我+衰弱中のサラを地面に激突させる訳にはいかないだろ。

 おれは空中でなんとか体勢を制御し、『翔歩ウィンドウォーク』の効果で空中を蹴る。


 50年振りの外界だしな、怖がっているんだろう。

 サラがことのほかおれに抱きついて来るんだが、ポジションがちょっとよろしくない。

 こいつこんなガリガリなのに・・・どういう構造だ。

 まさに人体の神秘。

 いや、天使だけど。


 「サラ、悪いが少しだけ力弱めてくれるか?」


 おれの言葉に「え?」と聞き返すサラ。

 やむおえず確信を突く。


 「いや、当たってるんだ・・・色々と。」


 一瞬で耳まで真っ赤になった彼女が「ごめんなさい!」と手を離し、テンプレで落ちかけ「キャア!」となる。

 おかしい、テンプレマスターは下にいるはずなのに・・・。


 そんなこんなを注意しながら何度か繰り返し、約2mほどまで降りたところで力を抜いた。

 地面に降りる途中、ふわりと身体が軽くなる。

 プレズントの重力制御だろう。


 「マスター!」「セイ!」「セイさん!」


 お留守番組の面々が、慌てて駆け寄ってくる。


 「ロカさん、水出してくれ。」「承知。」


 おれは火傷を冷やすので忙しい。 

 「いやー、無事で良かったよ。」「そうだよセイ!また無茶して!それにまた、女の人・・・。」などと言ってくる、放火魔と残念にジト目を向ける。

 

 「とりあえず・・・お前ら正座。」


 「「「え?」」」


 おれはお留守番組へ、無情に告げた。



 ■



 「で、言い訳は?」


 しゃがむ事で正座中の三人と目線を合わせる。


 「いやぁ、なんとかしようと思って。ね?アフィナ君。」


 「そ、そうだよ!元はと言えば勝手に行っちゃう上に、皆にわからない時間を指示するセイが悪いんじゃないか!」


 「わ、私は止めようとしたんだ!セイさん、信じてくれ!」


 三者三様のお答え。

 因みにプレズントは一見申し訳無さそうにしているが、「てへぺろ」の表情が隠せてないからな?

 ふむ、反省0が二人ですね。

 まぁシルキーの場合、本当にこの二人・・・と言うかプレズントに押し切られたんだろう。 


 「とりあえずシルキーは立って良し。だけど・・・これだけは忘れるなよ。見てるだけも同罪だからな?」


 良い笑顔でシルキーを説教すると、目の端に涙を溜めながらブンブンと頭を振って頷いた。

 なんだかおれが苛めてるみたいじゃないですか、ヤダー。


 とりあえず二人はそのままに、おれは『図書館ライブラリ』を開く。

 中からレモンっぽい果物とハチミツを取り出し、『カード化』を解除。

 「ロカさん、水頼む。」「承知。」のやり取りをして、ヤカンに水を貯めコンロ型魔道具に魔力を流す。

 適度に調整した物に、塩をほんの一つまみ。

 ロカさんが居てくれると水周りが楽だなぁ。

 ロカさんが水をろ過・・・ダジャレではない。


 何をしてるかって言うと、まぁホットレモネードもどきを作っている。

 サラに飲ませるためだ。

 さすがに50年、飲まず食わずだった人間に固形物もアレだと思ってな。

 今サラは、丸まったロカさんをソファー代わりに身を預けていた。

 とりあえず念のため、シルキーに先に飲ませてみる。

 「うん、おいしいよセイさん。」と、満面の笑みで答えるシルキーを確認し、サラにもできあがったホットレモネードもどきを、カップに注いで振舞った。

 恐る恐る口をつけた彼女が、一口飲んで俯いてしまう。

 サラの瞳から流れたであろう雫が、彼女の膝元へポタリポタリと落ちた。


 「お、おい、大丈夫か?口に合わないなら止めろ。」


 慌てたおれに対し、サラは弱弱しく頭を振ると、消えそうな声で呟いた。


 「違うの・・・すごく、すごくおいしい。それに・・・温かい。この一杯から貴方の人柄、気遣い、それに優しさがわかる・・・。」


 そう言ってまた少しずつカップを傾けるサラ。


 「まぁ気に入ってくれたならなによりだ。」


 おれは随分な年上であろう彼女の頭を、なんとはなしにポンポンと撫でてしまっていた。

 それはともかくだ。


 「それでお前ら二人は、本当に火魔法で何とかしようと思ってたのか?」


 「アハハハハ。」


 「そ・・・それは、プレズント様がイけそうって・・・。」


 乾いた笑いの放火魔と、微妙に視線を逸らす残念。

 二人の行動は、意外な所から賛同を得た。


 「たぶんあのまま攻撃されていたら、あの空間は破られたと思うわ。」


 サラだった。

 思わず「マジで?」と聞き返すおれに、「ええ。」と端的に答えるサラ。

 プレズント・・・ドヤ顔をやめろ。

 

 「信じられない威力の火魔法だったわ。一体貴方がたはどんな力を有しているのかしら・・・。」


 そうなのか。

 まぁ、世界最強の火魔術師は伊達じゃないってことか?

 そこでアフィナがプレズントを紹介する。


 「それはそうだよ!『永炎術師クリムゾン・オブ・エターナル』プレズント様と言えば、世界最強の火魔術師って言われてる方だよ!まさかお姉さん知らないの?」


 うん、別にお前がすごい訳じゃないからね?

 サラも「ご、ごめんなさい。知らないわ。」と、反応に困っている。

 愕然とするアフィナに対し、プレズントは至極冷静だ。(お互い正座反省中だが


 「ねぇマスター。その女性って、もしかしなくても『銀髪の天女』サラさんだよね?」


 おれは首肯で答える。

 アフィナはサラの素性に気付いていなかったのか、目を見開き驚いている。

 「なるほど、なるほど。」と呟いたプレズントが、改めてという体で居住まいを正すと語り始めた。


 「『永炎術師クリムゾン・オブ・エターナル』は、サラさんが行方不明になってから付けられた称号だからねぇ。むしろその頃まだ生まれてないし・・・。たぶんこう言えばわかるよ。『真賢者』の弟子ってね。」


 『真賢者』ガウジ・エオ。

 人族でありながら一万年を生きたと言われる正体不明の人物。

 『聖域の守護者』ティル・ワールド、『氷の賢者』プリエイルと並び称される『三賢人』の一人だ。

 正確には他の二人と明らかに格が違うらしいがな。

 『地球』ではカードゲーム時代に、存在が公式に発表されたにも関わらず、誰一人所有者が見つからなかった事で、その存在も半ば都市伝説になっていた。 

 この世界ではやはり実在するのか・・・。


 「なっ・・・。」


 今度はサラが絶句した。

 


 ■



 その後、情報のすり合わせは滞りなく済んだ。

 説明はおれがするしかなかった。 

 サーデインが居ないと、面倒な事が全部おれの役目になる。

 本気であの腹黒エルフさんが恋しくなってきた。


 それはともかく、問題が発生した。 


 「じゃあ体力は、アフィナの回復魔法で十分なのか?」


 「ええ、助かったわ。それよりも・・・。」


 『南天門』を開くための魔力が、サラには全然足りなかった。

 そこでおれが魔力を譲渡しようとしたのだが・・・。


 「ま、ま、ま、待って下さい!」


 キアラが箱から飛び出してきた。

 

 「サラ様が、セイ様の強力な闇の魔力を直接受け取ったら死んじゃいます~!」


 えーなにそれコワイ。


 「・・・どういうことだ?」


 キアラの説明によると・・・。

 サラくらいの純粋培養に近い光属性の天使が、直接身体に闇の魔力を入れられたりすると、最早それは毒にしかならないんだとか。

 それもおれくらい強力だと、一瞬で死に至るレベルらしい。

 おれの魔力って一体・・・。


 「だけどシルキーは光属性なのに平気だし、キアラお前も、おれから魔力もらおうとしてたじゃないか?」


 「セイさん。私は光属性だけど分類上は魔物である『一角馬ユニコーン』だからね。」


 「私の場合はウララ様の魔力で耐性が付いているのと、元々雑種ですから・・・。」


 おれの素朴な疑問に答える二人。


 「ふぅむ・・・じゃあどうすりゃいいんだ?」


 「マスター、一回クッションを入れて光属性にすれば良いんだよ。」


 なるほど。

 プレズントの言葉に、それなら話は簡単だな。と思い、シルキーを見た所で横槍が入った。


 「ブルルン。」


 今まで沈黙を保っていた(その辺の草食ってた)リゲルだった。

 「なんだ?」と通訳を促すおれに、シルキーはついっと目線を逸らす。

 黙ってじっと見つめると、大きなため息をついた後に渋々通訳を始めた。


 「処女のサラさんには、リゲルが光属性の魔力を充填するから、その前にアフィナさんを挟めって・・・。」


 「・・・・・・。」


 場の空気が凍りつく。

 おれは黙ってシルキーの手を取った。

 何故顔を赤くする・・・。


 「ちょっと待ったーーー!シルキー、じゃんけんで勝負よ!」


 アフィナ参戦、ガチでウザい・・・。


 「あ、あ、あ、あの!私も!」


 キアラ?お前は魔力譲渡できませんよね?

 おれは残念に拳骨を落とし、キアラを箱に突っ込み、シルキー経由でサラへと魔力譲渡を始めるのだった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

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