・プロローグ
初投稿です。
生暖かい目で読んで頂けたら幸いです。
とりあえず、プロローグ～１話を投稿してみます。
『地球』と呼ばれる世界とは、別の次元に存在している剣と魔法、そしてカードの世界『リ・アルカナ』
旧世、この世界では王国という観念のもとで、国同士の争いが絶えなかった。
この世界には、神という存在が実在する。
神の名の下に行われる聖戦に、抗うことの出来る人など少ないのだ。
各国は、歴戦の英雄や指導者を陣頭に、いつ終わるとも知れぬ戦いを続けた。
エウル大陸暦６３８年。
『正義神ダイン』が治める、有翼種の王国『天空の聖域シャングリラ』と、『狂気の女神アギマイラ』が率いる、魔人種の国『砂漠の瞳』、『混沌の女神アザレア』を崇める、流人の街『暗黒都市グランバード』この三国が中心で起きた宗教戦争を皮切りに、『リ・アルカナ』史上、最大の戦争が勃発した。
エウル大陸リラ大平原で睨み合った三国を中心に、各同盟国、果てはまったく関係の無い小国すらも巻き込んで、実に３０年。
そう３０年もの間、命を対価にした泥仕合が行われたのだ。
この戦いは後に、『第一次エウル大戦』と呼称される。
しかし、その戦いは突然の終わりを迎えることとなる。
三賢者の一人『聖域の守護者』と称される、三枚翼の賢人『ティル・ワールド』が、敵味方無差別で放った・・・
超古代級究極破戒呪文『終末』
これにより、主戦場であったエウル大陸リラ大平原は、雑草も生えぬ荒野と化した。
その際、戦場に居たほとんどの英雄と指導者は死去、あるいは消息不明となる。
そして２０年後・・・
すべては伝説の中へと沈み、新しい時代が始まる。
だが、この新しい時代も、平和を手放しで喜んでいるわけではない。
先の大戦時、比較的被害の少なく済んだ『レイベース帝国』は、この５０年で豊富な鉱物資源と人材をもとに、強力な『魔導兵器』を研究、開発し全世界に向けて、宣戦布告を告げたのだ。
ほとんどの小国が、帝国の強大な兵力に打つ手もなく統合されてゆく。
もちろん、無血開城を選ぶ国も少なくはなかったが・・・
全面的な降伏を受け入れた国にも、帝国は容赦ない蹂躙で答えた。
帝国兵たちは口を揃えて言った。
「『戦神オーギュント』様は仰られた！これは聖戦である！高貴なる帝国民以外は人にあらず！」
そして帝国は、次の標的を決めた。
湖と森に囲まれた、美しき小国『精霊王国フローリア』
この国は旧世も、精霊の加護による神代級大型結界の力に頼り、永世中立を保った国だった。
強力な古の魔法はほとんど失われ、魔術師自体の弱体化も進んでいた。
そんな折の帝国の侵略、誰もが為すすべなしと思っていた。
しかしそんな中でも、まだ諦め切れない人々も居た。
そしてその中の一人、たった１５歳の少女の最後の賭けが、この世界を救うことになるとは・・・
誰一人予想だにしていないのであった。
■
20XX年、『地球』では一つの技術革命が起こっていた。
ＴＣＧと、ＶＲの融合である。
ＰＵＰＡ（パーソナルユートピアパイオニアアタッチメント）通称ピューパ、そう名付けられた、卵形の座席と、それを覆う２ｍほどの繭のような球体。
まだまだ荒削り、五感の内で共有できたのは視覚、聴覚、そして限定的な触覚のみ。
しかし、日本人の技術の粋と、オタク魂をぞんぶんに注がれたそのシステムは、一つのＴＣＧと運命的な出会いをする。
全世界で、２０万人のユーザーが居ると言われるＴＣＧ『リ・アルカナ』
～其れは古を喚ぶ力・箱の内より産まれる世界～
そう題打たれた不思議なＴＣＧ。
このＴＣＧ、製作者も発売元も不明に関わらず、いつのまにか世界に浸透していた。
美麗なデザインと風景、プレイヤーのスタイルによって千変万化する戦い、ド派手なエフェクト。
そしてＰＵＰＡとＡＩの出会いにより、まるで生きているかのように動き始めた、盟友たち。
日本の若者を中心として、全世界がこのゲームに熱中することになる。
そして、『リ・アルカナ』のトップランカーたちは、そのバトルスタイルや使用するカードによって、タロットカードの称号を受け、日夜その動向が注目されることになる。
それはもはや、ただのカードゲームとは言えない、全世界を巻き込んだ一大ムーブメントになっていた。
このお話は、そのトップランカーたちの中の一人、『悪魔』と称された少年が巻き込まれる物語である。
