炎の番長
教室に集められて15分。
先生はいまだ教室には来ず、シーンとしていた。
すると剛田は急に立ち上がる。
「いつまでも待ってらんねー」
そう言って教室から出て行ってしまう。
しばらくして教室はざわざわとしだす。
まぁ、さすがに入学初日で無断早退とかふつーありえないだろうからな、と、折宮は考えていたが話題は違った。
折宮の席は窓側の1番後ろである。
ひとつ前の席の女の子が折宮に話かける。
「君、名前は?あたしは綾瀬 瑞希。」
肩まで伸ばした黒い髪に真っ白な肌。凛とした顔つきの少女。
「えっと、折宮 裕太だけど。。。よろしくな!」
「実はあたしも騎士志願者。折宮くん。あなたバカね。剛田くんのことしらないの?騎士同士の決闘じゃ負け無し。霧ヶ峰中学の炎の番長。その名前の通り、彼の能力は炎使い。大抵の騎士は攻撃ひとつあてられずに惨敗」
「そんなにすごいやつなのかー。俺、地元じゃ最強の5人の1人とか言われてたし、じいちゃんもめちゃくちゃ強いとか言ってたし、まぁ大丈夫だよ!」
「地元?」
「澪杉神宮中学。あー、えっと、ほら、澪杉区の!」
「めちゃくちゃ田舎じゃないの.....」
「まぁね」
まぁね、といいながら笑う。
炎の番長。彼の能力は炎使い。
地元の最高の5人と呼ばれた中の1人に、同じ炎使いがいた。
どう戦うか。剛田の強さはここらじゃ有名らしい。
とか考えていると、先生が教室に入ってくる。
しかも剛田を連れている。
剛田の無断早退は早速ばれていた。
「剛田。席につけ。」
はいはい、と席につく剛田。
「俺は皆川 達輝。これより、身体力テストを行う。入学初日だが、俺たちD組はそろそろだ。さきほどC組が終わった。手伝いをしていてな。遅れてすまない。」
かなり体育会系な感じの先生だ。
体格はかなりいかつい。坊主。柔道耳。鋭い目。身長は剛田よりいくらか高い。
「身体力テストは10分後に校庭で行う。ジャージに着替えて校庭に集合だ。以上。」
皆川先生はそう言って教室から出てってしまった。